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半導体で苦しむサムスン 新規のAI家電開発も力不足

2019-05-08 17:10:41 | 日記

半導体で苦しむサムスン 新規のAI家電開発も力不足

 
                    
2019/5/8 2:00
情報元
日本経済新聞 電子版

半導体やスマートフォン(スマホ)など主力事業の業績低迷が続くサムスン電子がもがいている。

2年前から新規事業を立ち上げ、次世代の稼ぎ頭を育てようと人工知能(AI)を使ってロボットや家電分野で新たな試みが続くが、いまだに不発。

焦りも見える。とはいえ、ほかに新規の有力事業が少ないなか、引くには引けない状況だ。

サムスンは、自動で料理をしてくれるロボットを開発中だ

サムスンは、自動で料理をしてくれるロボットを開発中だ

米国のとある都市に構えられた研究開発用のサムスンの施設――。

今ここで同社がひそかに進める新規事業がある。

巨額投資がかかる半導体の巨大工場とは正反対。

同社が大まじめに今進めるのは家庭用の台所で進める、キッチン革命だ。

仕組みはこうだ。

キッチン上部の食器棚近くから、開発中のロボットのアーム(腕)がニョキニョキと伸びてくる。

何をするのかと見ていると、台所に置いた調味料の入った容器を器用につかんだ。すると今度は電気コンロの上のフライパンの真上に腕が移動し、容器の中に入った調味料を食材にふりかけた。

名付けて「シェフロボット」。サムスンが2年前から進めるAI開発最前線の一コマだ。

ロボットにAIを組み込み、臨機応変に人間と同じように料理ができるのが目標だ。

作りたい料理のレシピを入力すれば、ロボットが包丁を握り、材料をカットし、調味料を加えてフライパンでいためたり、鍋で煮たりもできるようにする。

主力の半導体の生産現場で培ったノウハウもうまく活用して現在開発を急いでいる。

例えば、同ロボットは、料理が得意な人間の料理ノウハウをカメラやセンサー、アルゴリズムを通じてまねて学習を進める。

その過程では、AIのデータ解析で、半導体のチップの生産不良の原因や対策を見つけるノウハウも応用し完成度を高める手法だ。

ただ現状では、人の好みに合わせて調味料の量を加減したり、こんにゃくのようなカットに微妙な力の加減が求められたりする動きがまだ難しい。

サムスンは商品化の時期を「未定」とするが、家電業界に詳しい韓国のアナリストは「早ければ3年後に完成する」と指摘している。

同拠点では、小型野菜の栽培室を備えた新型の冷蔵庫「シェフガーデン」の開発も急いでいる。

ルッコラなどをつくる野菜工場と同様に栄養を含んだ水と光で栽培する。

野菜の育成状況に合わせて水量や光量、温度、湿度を最適化する機能をAIに委ね開発を進める。

韓国では、マンションのベランダでつくる家庭菜園が無農薬で安全だとして人気。

安全性の高い野菜を家庭でつくるニーズは今後、世界でも高まるとし開発を急いでいる。

サムスンの開発の方向性が悪いわけではない。

無論、隠し玉もあるはず。

とは言え米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなどは自社開発したAIスピーカーを家電に簡単に搭載できるようにする半導体を外部の家電メーカーに対し、安く提供を始める時代となった。

どのメーカーも音声認識機能を家電に簡単に盛り込め、もはや家電にAIを搭載するだけでは違いを打ち出せなくなった。

ただでさえ、サムスンの家電部門の営業利益は半導体の22分の1、スマホの5分の1ほど。サムスンの最前線といわれるAI現場からは、まだ新たな一手が見えてきたとは言い難い。

(ソウル=山田健一)


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