韓国、来年から人口減に 2065年に高齢化で日本逆転
2019年3月28日
【ソウル=鈴木壮太郎】
韓国統計庁は28日、将来人口推計を発表した。
総人口は早ければ2019年の5165万人をピークに減少に転じる。
人口に占める65歳以上の高齢者の割合も65年に46%に達し、高齢化では日本を抜いて経済協力開発機構(OECD)加盟の先進国のなかで首位になる。
急速な少子高齢化は韓国経済にも影響を与えそうだ。
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韓国は5年ごとに人口推計を発表している。
前回発表は16年で、次回は21年に予定していた。
ただ2月末に発表した18年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)が想定以上に低い0.98となり、
初めて1を下回って世界で最低水準に落ち込んだことから、人口を推計し直して発表を前倒しした。
出生率と寿命を低く見積もる「低位シナリオ」の場合、16年の発表では23年が人口のピークで、その後減りはじめると予想していた。
今回の発表では人口減が4年早く訪れる。
総人口は67年に3365万人まで減り、1972年の7年時点の65歳以上の人口比は14%。
国連の人口推計(15年)と比べると日本のほぼ半分の水準にとどまる。
OECD加盟国の中でも低い方だが、65年にはほぼ2人に1人が65歳以上となる見通しだ。
生産年齢人口(15~64歳)も17年は73%と、OECD加盟国のなかで最高だが、少子高齢化によって65年は46%(中位シナリオ)と、日本(51%)を抜いて最低になる。
韓国で少子高齢化が急速に進んでいるのは、子どもを産み育てるのが難しい社会になっていることがある。
15~29歳の青年失業率は18年に9.5%に達し、若者の就職難は社会問題化している。
経済力の問題から結婚しない人も増え、20~44歳の未婚率は男性が58%、女性は48%(15年)に達した。
結婚しても教育費負担が重く、出産をためらう夫婦が多い。
急速な少子高齢化は経済の活力低下につながる。
現在の潜在成長率は2.7~2.8%だが、現代経済研究院の洪俊標(ホン・ジュンピョ)研究委員は「30年以降は潜在成長率が1%台まで下がる可能性がある」と予測する。
国内では「通貨危機以上の危機だ」(韓国大手紙の朝鮮日報)と警戒する声が強まっている。
韓国政府は少子高齢化対策に16~18年の3年間で117兆ウォン(約11兆円)をつぎ込んだが、施策が総花的で即効性がなく、出生率は目標の1.5に上向くどころか低下に歯止めがかからなかった。
文在寅(ムン・ジェイン)政権は昨年12月「低出産・高齢社会政策ロードマップ」を発表。
出産・養育費支援の増額や小学校入学までの医療費無料化、育児休暇時の給与引き上げなど、ニーズの高い施策に財源を集中配分し、出生率の引き上げに腐心する。
ただ急激な出生率の回復は難しいのが現実だ。
延世大の成太胤(ソン・テユン)教授は「このままでは年金制度の維持も難しい。移民の受け入れなど、既存の政策を転換する必要がある」と指摘する。
洪氏も「潜在成長率を高めるには女性が働きやすい環境づくりのほか、移民政策の緩和に加え、規制緩和や新産業の創出などで投資をしやすい環境づくりをさらに進める必要がある」と、産業政策との連携が重要だと強調する。
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