ウクライナ戦争が国際秩序を根本的に変えている。
米国と同盟国、そのパートナー諸国は、ロシアに対して全面的な制裁を断行した。
ロシアの経済・金融システム、科学技術開発は深刻なダメージを受けた。
バイデン大統領は、ゼレンスキー大統領が休戦しようとしたとき、ポーランドに飛んで戦い続けるよう励ました。
今週もブリンケン国務長官とオースティン国防長官がキーフに行って戦いを督励した。
ロシアが苦しむ以上に、欧米の先進諸国も苦しみ始めた。
世界GDPの上位10カ国中、1位の米国、10位のカナダを除き、中国、日本、ドイツ、インド、フランス、イギリス、ブラジル、イタリアは市場と資源の対外依存が非常に高い。
高い対外依存度は、平和時には非常に効率的だが、戦争が起こると効率はそのまま危機になる。
EUが依存していたロシア産のエネルギーと農産物も供給が中断された。
ロシアと第三世界が米国とEUに屈服する前に、EUの分裂が現実化する。
EU加盟国はロシア産の石油・天然ガスの供給を遮断したが、これを代替する供給国を見つけられない。
ロシア産エネルギーへの依存度が低い米国とイギリスは強力な制裁を発動した。
ポーランドとバルト三国も、ロシア産のエネルギー依存度が低い。
一方、ドイツ、ベルギーなどは状況が違う。
ドイツは天然ガスの55%をロシアに依存する。
ドイツの鉄鋼業はEU最大で世界8位規模の産業だ。
鉄鋼は他の製造業の基礎素材となる。
鉄鋼産業に制動がかかると、建設・金属・電気・自動車産業や傘下の下請け会社らにも制動がかかる。
化学業界の問題はもっと深刻だ。
2020年に世界を襲ったコロナ事態は、グローバルサプライチェーンの弱点を赤裸々に露出させた。
大量生産の時代に慣れた消費者は、商品をいつでも望むほど買えない状況が発生し得ることが分かった。
コロナが終わる前にロシアとウクライナ戦争が起きた。
グローバル分業体系の改編はもう避けられない。
工業先進諸国が市場と資源の両方を安定して維持することは難しく、不可能に近い。
西欧左派が「キャンセルカルチャー」で始めたロシア制裁が、ブーメランとなっている。
西側が主導する秩序に逆行するロシアを懲罰する意図だったが、彼らが主導してきたグローバル化が決定的に退歩するとは予想できなかった。
ベルリンの壁が崩壊後、30年間推進されたグローバル化は、今回のロシア・ウクライナ戦争で世界が二分されながら事実上、原点に戻っている。
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