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韓米FTA:トランプ政権の宣戦布告に韓国政府は当惑

2017-07-14 16:45:12 | 日記
記事入力 : 2017/07/14 08:32

韓米FTA:トランプ政権の宣戦布告に韓国政府は当惑

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

 13日午前5時(韓国時間)、産業通商資源部の通商担当書記官は携帯電話の音で目を覚ました。在米韓国大使館から突然かかってきた電話だった。

米東部時間で12日午後4時。電話の用件は米通商代表部(USTR)が韓米FTAの改定交渉について話し合うための特別共同委員会の招集を要請してきたというものだった。

韓国政府の通商関連官庁は直ちに騒然となった。

当初再交渉の通告を約1年後と予想していた産業通商資源部は戸惑いを隠せずにいる。

梨花女子大の崔源穆(チェ・ウォンモク)教授は「これまで両国は相手の戦力を場外で探り合ってきたが、リング上で本格的な攻防を繰り広げなければなくなる瞬間が近付いている」と述べた。


■自動車・鉄鋼を集中攻略か

 USTRのライトハイザー代表が特別共同委の招集を要求するに当たり、最も問題視したのは米国の貿易赤字が増大していることだ。

米国の対韓貿易赤字は韓米FTA発効前の2011年には116億ドルだったが、昨年は233億ドルに増えた。

米国は乗用車の燃費規制、韓国経由の中国製鉄鋼のダンピング輸出を代表的な「不公正貿易」の事例として挙げている。

米国はこのほか、法律市場の開放、外国映画の上映を制限するスクリーンクオータ制、新聞・放送などに対する外資の投資容認などサービス分野の開放を求め続けてきた。


 これに先立ち、トランプ政権は発足以降、反ダンピング関税、セーフガード(緊急輸入制限)などさまざまな輸入規制を講じ、通商圧力を強めてきた。

米商務省は韓国を含む16カ国との貿易赤字を分析した報告書を近く発表する予定だ。

現代経済研究院の韓相完(ハン・サンワン)専務は「米国が報告書を根拠に韓国への圧力を強め、FTA改定交渉の根拠として使う可能性がある」と述べた。

 韓国政府は米国側の主張の大半を誤解だと主張している。

まず、韓国の対米貿易黒字は15年の258億ドルから16年は233億ドルに縮小しており、今年1-5月には前年同期比37%減の69億ドルと2年連続で減少傾向を示している。

また、韓米FTA締結後、米国車の韓国への輸入は37.1%伸び、伸び率は韓国車の米国への輸出(12.4%)の3倍近くに達する。

韓国経由で米国に輸出される中国製鉄鋼は韓国の鉄鋼輸出全体の2%余りにすぎない。韓国政府は共同委でこうした数値を挙げ、米国側に項目ごとに説明していく計画だ。

■通商政策の司令塔不在

 韓国政府は当初、韓米FTAの改定交渉要求の時期を来年以降と読んでいた。

トランプ政権が北米自由貿易協定(NAFTA)の改定交渉を最優先課題に掲げてきたからだ。

それが6カ月以上前倒しされ、米国が韓米FTAの改定交渉を急ぐのは、米国内の政治状況が反映された結果だとの見方がある。

韓国貿易協会のチェ・ハンジョン博士は「労働者の票で当選したトランプ大統領は支持率が最近下がっており、韓米FTA改定交渉で支持層を再結集させる意図がある。

米国にとってはみだりに攻撃しにくい中国、ドイツよりも、韓国はたやすい相手だと考えたのではないか」と話した。


 その上、韓国は新政権発足後、通商政策の司令塔が不在な状況で韓米FTAの改定要求に直面した。国会で政府組織法の成立が遅れ、通商交渉本部長が空席となっているほか、産業通商資源部長官に内定している白雲揆(ペク・ウンギュ)氏は通商関連の経験が皆無だ。


■サービス分野の不均衡主張を

 韓国の通商専門家は韓米FTAが相互に利益をもたらしたという点を強調すると同時に、米国に要求すべきことは堂々と主張すべきだとアドバイスした。

ソウル大国際大学院の朴泰鎬(パク・テホ)教授(元通商交渉本部長)は「FTAを再交渉するというよりは、アップグレードすることを目指せば、韓国に都合が悪いことはない」と述べた。

ソウル大国際大学院の安徳根(アン・ドククン)教授は「特に米国に有利に設計されたと評されている投資家対国家の紛争解決(ISD)制度など韓国が攻撃的に改善を求める分野もある」と指摘した。

仁荷大の鄭仁教(チョン・インギョ)教授は「米国に対する投資拡大と雇用創出努力で米国の攻撃を避ける必要がある」と分析した。


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