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韓国人がウォンを売り始めた 政府が「通貨危機は来ない」と言うも信用されず

2022-10-10 15:32:46 | 日記
韓国人がウォンを売り始めた 政府が「通貨危機は来ない」と言うも信用されず

鈴置高史 半島を読む 国際 韓国・北朝鮮

韓国通貨市場の地合いが変わった。

2度に亘る通貨危機の暗い記憶を思い起こした人々が、ウォンをドルに替えているのだ。

韓国観察者の鈴置高史氏が来るべき「韓国危機」を読む。 

鈴置:9月に入り、韓国各紙の社説が一斉に通貨危機への警鐘を鳴らしました。

8月の通関統計で5カ月連続、過去最大の貿易赤字を記録したからです。

1997年と2008年の通貨危機はいずれも貿易赤字の最中に発生した。韓国人はその苦い経験を思い出したのです。

 9月1日発表の「2022年8月の輸出入動向」(通関統計)によると、同月の輸出は前年同月比6・6%増の566・7億ドル。

輸入は同28・2%増の661・5億ドルで、貿易収支は94・7億ドルの赤字でした。

 史上最大の赤字の原因は輸入の急増です。

日本と同様に原油などエネルギー価格の上昇に直面したのです。

ただ、韓国の場合、それに加えて「中国」と「半導体」という赤字要因が発生した。

そこでメディアが危機感を募らせたのです。

 朝鮮日報の社説

「66年ぶりに最大となった貿易赤字、経済体質を変えよとの信号だ」(9月2日、韓国語版)のポイントを訳します。

・[巨額の貿易赤字は]エネルギー価格のせいだけではない。

エネルギー・中国・半導体という3大要因が同時に悪化し、韓国経済の脆弱さが一度に噴出したためだ。

・対中輸出が5・4%減少し、輸出の孝行息子品目である半導体の価格が26カ月ぶりに低下した結果、2ケタで伸びてきた輸出が1ケタに鈍化したのだ。

我が国の輸出の25%が中国市場に依存する。

輸出1位の品目である半導体は全体の20%を占め、半導体の40%を中国に輸出するという偏向ぶりが深刻だ。

・新型コロナ封鎖で中国向け輸出は減るというのに、中国からの輸入は一向に減らず、

韓中修好30年間、ずっと黒字だった対中貿易収支が一気に4カ月連続の赤字となった。

 韓国の主力産業である半導体の市況悪化が輸出の先行きに暗い影を落としています。

さらには中国産業の国産化が進展し、韓国から輸入していた中間財を自分で作るようになりました。

それどころか、そうした中国製品の対韓輸出が増えています。

 貿易赤字が通貨危機を呼ぶとの危機感を念頭に、韓国の貿易黒字はいつまで持つか分からないと朝鮮日報は訴えたのです。
「政府を信じて」と訴えた大統領
――こんな記事を読んだ国民はぎょっとしたでしょうね。

鈴置:尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は直ちに反応しました。この新聞が配達された9月2日朝、出勤途中のぶら下がり会見で以下のように語りました。

聯合ニュースの「尹、『対外債務の健全性を大げさに心配する状況ではない…政府を信じて欲しい』」(9月2日、韓国語版)から発言を拾います。

・昨日の夕刊と今日の朝刊を見ると、史上最大の貿易赤字を扱っている。我が国は8月に史上最大の輸出を記録した。

しかし、ウクライナ事態をはじめとする供給網の不安により、原油と原材料の輸入価格が急上昇したため、商品交易での貿易赤字幅が大きくなった。

・[今年は]サービス部門を含む経常収支においては約300億ドル以上の黒字を見込んでいる。
・原発・防衛産業、特に海外建設の受注に拍車をかけ、中長期的には輸出規模をさらに大きくする戦略を立てる。国民の皆さまにおいては政府を信じ、不安に陥る必要はないだろう。
「貿易赤字は短期的な現象」と安心させたのです。経常収支に言及したのは「貿易収支が赤字でも、それ以外の稼ぎも含めた経常収支が黒字だから通貨危機には陥らない」と強調する狙いでした。

怪しげな「経常黒字300億ドル」

――国民は「政府を信じた」のでしょうか。
鈴置:信じませんでした。

何せ、肝心のウォンが下がり続けているのです。9月7日には不気味な統計も発表されました。「2022年7月の国際収支(暫定)」です。

 モノの動きから輸出入を見るのが通関統計。これに対し、おカネの出入りを記録するのが国際収支です。

この一部が大統領も言及した経常収支で、この統計には通関統計の貿易収支に相当する「商品収支」という項目があります。
 韓国の場合、貿易収支とは異なって商品収支は黒字を続けてきたのですが、ついに7月、11・8億ドルの赤字を出しました。

2012年4月以来、10年3カ月ぶりの赤字です。これにより尹錫悦大統領が約束した「300億ドルの経常黒字」への疑念がわいたのです。

 今年1月から7月までの累計の経常黒字は258・7億ドル。うち、サービス収支は8・4億ドルの黒字に過ぎず今後、外国旅行への規制が緩和されるにつれ、赤字化すると予想されています。

 配当や利子の出入りを見る第1次所得収支も累計で79・8億ドルの黒字とはなはだ頼りない。

8月以降、商品収支の赤字幅が膨らめば「300億ドルの公約」の実現は危なくなります。

「通貨の自動安定装置」は機能せず

 中央日報は社説「商品収支が10年ぶりに赤字、複合危機に直面する韓国経済」(9月8日、韓国語版)で、赤字に転落した商品収支を急落するウォン相場と絡め危機感を煽りました。

・昨日[9月7日]、取引時間中に外為市場でウォンの対ドル相場は1388・40ウォンまで下落した。

昨年1月の1080ウォンに比べ、28%も安くなったのだ。

・昨日発表の「2022年7月の国際収支(暫定)」によると、輸出と輸入の差である商品収支が昨年同月よりも67億3000万ドルも減って11億8000万ドルの赤字となった。

 為替と、商品収支なり貿易収支との関係は重要です。

これまでなら何かの拍子にウォン安に陥っても、それをテコに輸出が増えて貿易収支が好転、その結果ウォンが買われる――という通貨安の自動的な補正が期待できた。

 しかし今は、他通貨もドルに対し一斉に下がっており、輸出増によるウォン安修正は見込めないのです。

下手すればウォン安が韓国に対する信任を落とし、さらなるウォン安を呼びかねません。これはまさに、通貨危機の最後の段階です。

 なお、9月7日は前日比12・50ウォン安い1ドル=1384・20ウォンで引けました。終値基準では2009年3月30日の1391・50ウォン以来の安値水準を記録したのです。9月8日は韓国のお盆である、秋夕(9日―12日)の休日入りを前に少し戻しましたが。

短期外債が急増

――基本的な質問です。日本を含め、多くの国も通貨安に陥っている。なぜ韓国だけが通貨危機を心配するのでしょうか。

鈴置:外国からの借り入れにまだ、頼る部分があるからです。韓国は債権国に転じてはいますが、日本のように巨大な対外債権を持っているわけではない。世界で金融不安が起きると、韓国からおカネが逃げ出す可能性があります。

 そんな不安を率直に告白したのが朝鮮日報の社説「ウォン急落の中、短期外債急増、『安全ベルトをしっかり締めろ』という警告だ」(9月6日、韓国語版)でした。肝心な部分を訳します。

・1年以下の満期の短期外債の外貨準備高に対する比率が10年ぶりに再び40%を超えた。これを軽く見てはいけない。国内の一般投資家が海外の株式

・債券の投資を増やしており、これらにドルの実弾を供給するために国内の銀行が短期の海外借り入れを積み上げたのだ。
・もちろん我が国の場合、外貨準備高が4000億ドルを超え、対外負債よりも対外資産の方が多いため、通貨危機を心配する状況ではない。

しかし、ウォン急落は物価を押し上げ弱者階層の生活難を加重する一方、外国人投資の流出を招いて金融不安を誘発しうるという点で経済の「危機警報」と見るのが正しい。
 金融が不安定になれば、短期の外債は借り換えに応じてもらえず、おカネを一斉に返す羽目に陥りがち。

下手すれば外貨準備が不足して、債務不履行(デフォルト)が発生します。そこで1年未満の外債と外貨準備高との比率を、国の健全性を示す指標として使います。

78・4%を記録した2008年

 この社説が指摘した「短期外債の急増」というデータは韓国銀行が8月18日に発表した「2022年第2四半期国際投資対照表(暫定)」から採ったものです。

 韓国語のグラフは「短期外債の[外貨準備高に対する]比率と[対外債務全体での]比重」で、iiページから画像をそのまま引用しました。

――確かに、赤い線――短期外債の比率は2022年第2四半期に「41・9%」に跳ね上がっています。

鈴置:数字を補足しますと、2021年第3四半期が35・2%、第4四半期が35・6%、2022年第1四半期が38・2%ですから、急増していることが分かります。

 ただ、日米中からスワップを付けてもらい、かろうじて凌いだ2008年の通貨危機――リーマン・ショックの際に78・4%にまで高まっていたのと比べれば、「まだまだ」といった感じです。

――韓国は通貨危機に陥るのでしょうか、大丈夫なのでしょうか?

鈴置:状況次第です。朝鮮日報の社説も「通貨危機を心配する状況ではない」と書きましたが、今後もそうならこんな社説を載せて国民に警告する必要はないはずです。

 要は「外貨準備高が4000億ドルを超え、対外負債よりも対外資産の方が多い」状況がいつまで続くか、がポイントです。

確かに8月末の外貨準備は4364・3億ドルある。

 しかし、通貨安を食い止めるために韓国銀行がウォン買いに乗り出せば、外貨準備は着実に減っていきます。

2021年末の4631・2億ドルと比べ、すでに6%ほど減少しています。

また、ドル高で発展途上国が経済危機に陥れば、韓国の外貨準備も減ってしまいます。

発展途上国との連鎖

――なぜ、ほかの国の危機が韓国の通貨危機を呼ぶのでしょうか?

鈴置:韓国の通貨当局が外貨準備を使って発展途上国に投資しているからです。

それが焦げ付けば、「帳面には載っていても使えない外貨準備」になってしまうのです。

 中央日報の「韓国投資公社社長『外貨準備高、新興国のインフラに投資増やす」(2020年7月2日、日本語版)によると、

韓国の外貨準備を運用する韓国投資公社は2020年の時点で15・6%を新興国のインフラや不動産、私募ファンドに当てています。

 韓国の通貨当局は「バクチ」好きで、高い運用益を求め怪しい債券に外貨準備を投入する癖があります

2008年の通貨危機の原因のひとつもそれでした。

外貨準備でウォンを買い支えようとした時、実際に使えるドルは残っていなかったのです。

 もっとも、一番怖いのは国民が自分の国を信用しなくなって自国通貨を売ることです。

通貨危機というと、欧米のヘッジファンドがどこかの国の通貨を売りまくって起きる、とのイメージが強いのですが、それはきっかけに過ぎないことが多い。

 ヘッジファンドが売っても、しょせん空売りが中心で、限界があります。

一方、国民が売り始めれば、現物ですから理屈の上では通貨供給量相当の、外貨準備とはケタ違いの売りが発生します。

核心は普通の人のウォン売り

――「自国通貨売り」は韓国でも起きるのでしょうか?

鈴置:朝鮮日報の社説をもう一度、読んで下さい。

「国内の一般投資家が海外の株式・債券の投資を増やしており」とあります。すでに国民の自国通貨売りは始まっているのです。

 2022年第2四半期の短期外債は1838億ドル。

2021年第3四半期の1635億ドルと比べ、200億ドル増えています。

4000億ドル以上の外貨準備から考えれば小さな伸びに見えますが、国民がパニックに陥れば、一気に膨らむでしょう。

 実際、2020年春に新型コロナによる通貨危機を懸念したウォン売り・ドル買いが起きました。

韓国の検察関係者によると、金融当局の高官もウォン売りに加わっていたそうです。韓国銀行が死に物狂いでウォンを買い支えていた時というのに。

 この時は世界的な金融緩和で外からホットマネーが入り込んで、事なきをえましたが、今回は逆に米国が猛烈に引き締めている最中。

韓国に逃げ道はありません。

 朝鮮日報が真に問題にすべきは「短期外債の急増」という結果ではなく、それをもたらした「国民のウォン売り」だと思います。

もっとも、それを正面から書けば、国民こぞってのウォン売りが始まるのは間違いありません。

だから朝鮮日報も「短期外債の急増」という的をずらした指摘にとどめたのでしょう。

――不動産バブルの崩壊はどうなりましたか?
鈴置:「不動産バブルがはじけた韓国 通貨売りと連動、複合危機に」で指摘したマンション価格の急落は止まりません。グラフをご覧になると分かりますが、下げ幅も日増しに大きくなっています。

 韓国紙もマンションの暴落を報じ始めました。ただ、これが通貨危機につながるとの指摘は、依然として見当たりません。

また、この暴落が生産年齢人口の減少による構造的な現象との分析もあまり見ません。

――生産年齢人口の減少がバブル崩壊を呼ぶ?

鈴置:日本でも1990年代に発生したことです。不動産バブルの崩壊は多くの金融機関の破綻を呼びました。

――韓国でも同じことが起こる?

鈴置:『韓国民主政治の自壊』の第4章第3節「ついに縮み始めた韓国経済」で詳述しています。

韓国では貿易収支の悪化による通貨危機と、人口減による金融危機が同時並行的に鎌首をもたげているのです。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)
韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。















民主化の現場にいた鈴置高史記者に近著『韓国民主主義の自壊』を聞く

2022-10-10 15:11:52 | 日記
韓国は李氏朝鮮以来の「党争」に明け暮れ始めた

7/10(日) 15:30配信

【ニュースソクラ編集長インタビュー】


民主化の現場にいた鈴置高史記者に近著『韓国民主主義の自壊』を聞く

尹大統領
 日経新聞での先輩記者で朝鮮半島ウォッチャーとして有名な鈴置高史さんが『韓国民主政治の自壊』(新潮新書)を6月20日に 出版した。

1987年の韓国の民主化を現場から報じた鈴置さんに、尹錫悦(ユン・ソ ンニョル)政権でも自壊現象が見られる「韓国の民主政治」を聞いた。

(聞き手はニュースソクラ編集長、土屋直也)

  ――本書執筆の動機は  韓国の民主主義があやしくなってきた。

「韓国は民主国家」との認識を持ち続けると、日本は判断を誤る。

東アジアの安定のためには、韓国が安定した民主国家であったほうがいいのだが、もう、それを期待できないことを日本人に伝えたかった。

  ――本書で取り上げている民主主義の崩壊は主に前の文在寅(ムン・ジェイン)政権のときに起こっています。

新政権には期待できないのですか。  期待できない。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権もさっそく「権力の私物化」に乗り出した。

検察幹部を大統領に近い人にすげ替え、法律で定めた任期の残る検事総長も辞任させた。

左派政権に近い警察トップも辞任させた。

最高裁の長官の首をすげ替えるのは難しいが、任期が切れる2023年9月には保守色の濃い人物が任命されるのは確実だ。

李氏朝鮮以来の宿痾(しゅくあ)である仁義なき権力闘争――「党争」がぶり返したのだ。 

 ――確かに与野党間の争いは日本人からみると激しすぎますね。

前の大統領たちが刑務所に入れられてしまうのですから。 

 政治は権力闘争だ。だが、闘ってもどこかで妥協しないと国が壊れてしまう。

韓国の与野党はライバルというより、刑務所に送り込むべき敵(かたき)同士となった。

1987年の民主化の後、「妥協」を生む政治風土に生まれ変わるかと思われたが、そうはならなかった。

  日本の「55年体制」は戦後の左右対立の混乱から抜け出すことに力を発揮した。

保守が支配するが左派の意見も積極的に取り上げ、コンセンサスを形成する仕組みだ。

民主化後の韓国もそれを真似ようとしたが、妥協を嫌う風土もあって「韓国版55年体制」は育たず、勝った者がすべてを取る、むくつけの権力闘争に突入した。 
 この本の第2章の見出しを「あっという間にベネズエラ」としたのは「韓国の今」が、ベネズエラの民主政治崩壊の初期と驚くほど似ているからだ。

何と、政敵を倒すために登用した検事総長が最後には政権追及に回るという点でも共通する。

ただ、ベネズエラの検事総長は隣国に亡命した半面、韓国では大統領になった点は異なるが。 

 日本では韓国人が民主主義をたっとぶうえ、海洋勢力(日米サイド)側を選ぶと誤解する人が多いが、それは誤った見方だ。

韓国は中国サイドに立つことに何の抵抗感もないだろう。

朝鮮半島の歴代王朝は中国大陸の王朝に朝貢してきたのだ。

「海洋側に属することが韓国人の幸せだ」と考える日本の政治家も多いが、日本人の勝手な理屈だ。

韓国人は1000年以上も中国の属国としてそれなりに安定した地位を享受してきたのだから。 

 韓国には李朝ドラマと言うジャンルがある。

これを視聴すると「中国に従うのは当然」という気分になって来る。

韓国の「恐中病」が今も続くのは当然なのだ。

西側に戻らないのではなく、地政学的にみても歴史的にみても「戻れない」立場なのだ。 

 ――しかし、尹新政権は親米を鮮明に打ち出しています。

  「反米従中」から「親米従中」に変わったということだ。

米日豪印のクアッドに結局、韓国は加わっていない。

中国はクアッドを対中軍事同盟とみており、加わればどんな報復をされるか分からない。

一方、ホワイトハウスのサキ報道官も「クアッドとは4つという意味でしょ」と、

韓国の加盟を拒絶した。

尹政権が打ち出した「クアッド準加盟」こそは、米中二股という卑怯な手口と見なしたからだろう。

  ――韓国はIPEFには加わっています。 

 IPEFは半導体を中国封じ込めに使うから、半導体大国の韓国をはずすわけにはいかなかった。

米国が韓国を脅して対ロ制裁に参加させたのも、半導体の対ロ輸出を阻止するためだ。

IPEFはTPPの代替というよりもココムの再現と考えた方がいい。

「参加するとか関税で得をする」のではなく「参加しないと西側の国と見なされず、損をする」組織なのだ。  

――NATOの首脳会議に尹大統領が加わったことはどう評価しますか。 

 韓国はもともとオブザーバー。大統領自身が出席した点が新しいだけだ。

日米韓の首脳は、北朝鮮の核・ミサイルに対し3国の安保協力強化で対抗することを約束した。

しかし7月2日、韓国は「3カ国の軍事協力は情報交換で」とトーンダウンに動いた。

岸田首相が「北朝鮮が核実験したら3国で合同訓練を実施しよう」と提案したのと対照的だ。

韓国はいまだ、中国の顔色を見ている。

もし3カ国で軍事訓練を実施したら、中国が「文政権時代に結んだ約束に違反した」と怒りだすのは確実だ。 

 NATO首脳会議直前にホワイトハウスは日米豪にNZと英国の5か国で太平洋諸国との経済・外交関係を強化するパートナーズ・ブルーパシフィックを発表したが、韓国は加わっていない。

これも「西側に戻っていない」証拠だ。

  ――本書の第四章では韓国の課題を取り上げていますが、それはそのまま日本にもあてはまるように思えますが。 

 少子化を原因とする経済の縮小現象は共通する。

だがすでに課題を認識している日本と、手つかずの韓国との差は大きい。 

 注目すべきは核武装だ。

保守政権だろうが左派だろうが、韓国は自前の核兵器を持とうとする可能性が高い。

日本でも、米国の核兵器持ち込みやドイツ型の核兵器共有の問題が議論され始めたが、韓国は実態面で先行している。 

 核兵器を搭載できる中距離ミサイルを保有し、東京、北京も射程内だ。ミサイル潜水艦もある。

潜水艦発射型ミサイルの実験にも成功した。

自国への核の脅威が高まった瞬間に核武装するという「宣言抑止」の準備を完了した。 

 3月24日に北朝鮮は米本土まで届くとされるICBMの発射実験に成功した。韓国は米国の核の傘が当てにならないと判断したら、いつでも「自前の核」の保有に動くだろう。


 ■鈴置高史(すずおき・たかぶみ) 韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95~96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。

18年3月に退社。著書に『韓国民主政治の自壊』『米韓同盟消滅』(ともに新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。

2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。デイリー新潮で「半島を読む」を連載中。

 ■土屋 直也(ニュースソクラ編集長) 日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。

バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設




朝5時、段ボール集める老後 大丈夫?声かける39歳 韓国の貧困

2022-10-10 14:42:21 | 日記
朝5時、段ボール集める老後 大丈夫?声かける39歳 韓国の貧困

ソウル=稲田清英2022年7月31日 6時00分

 韓国の街中で時折見かけるのが、廃品の段ボールなどを集めて歩くお年寄りだ。

業者に売ってわずかな収入を得るその姿は「高齢者の貧困問題の象徴」とも言われている。

 経済は急速に成長したものの、年金など「老後の支え」となる社会保障の充実が後回しになってきた韓国。

平均寿命が83歳を超えた世界有数の長寿社会の一つの断面だ。

いなだ・きよひで 経済部、オピニオン編集部、国際報道部などを経て5月から2度目のソウル。

休日にはふらり街歩きが楽しみ。

 平日の朝、ソウル市内のリサイクル業者が廃棄物を引き取る施設を訪ねた。

高齢者らが道ばたなどで集めた段ボールや古紙などを売りに来る。

大量の段ボールを積んだリヤカーを引いてくる人もいる。

 市内で1人で暮らす女性(76)もここを利用している。

夫と離婚し、家族はいない。若いころは食堂で働いたが、年を重ねると雇ってもらえなくなった。

段ボールなどを集め始めて20年ほどになる。

「この年でもできる仕事は、ほかにない」と言う。

 この日は朝4時半に家を出た。出遅れると、他の人たちに先に回収されてしまう。

必死だが、足の痛みなどで歩き回れる時間にも限界がある。

毎月の収入は10万ウォン(約1万円)ほど。年金とあわせても40万ウォンに届かない。

 年金はほぼ家賃に消え、福祉団体などが無料で提供する給食を頼ってなお、ギリギリの生活だ。

それでも「家でじっとしていても体中が痛む。

外で段ボールを集め、人の様子を見ていると忘れられる」と淡々と言う。

 韓国政府は、段ボールや古紙などの収集をなりわいに生きる高齢者が全国に7万人近くいると推計している。

ただ実態は十分につかみきれておらず、実際はもっと多いとの見方もある。

 特別な技術や経験がなくても始められるが、ひと月当たりの収入は平均で20万ウォン程度という。

極度の貧困で食事にも事欠いたり、体の調子が悪くても医者に行けなかったりする人が珍しくない。

リヤカーを引いて道路を歩き、交通事故のリスクも高いと指摘される。

経済成長「漢江の奇跡」

年金は後回しに
ソウルの公園で過ごす高齢者たち。

「家にいてもやることがない」と話す人も少なくない。

老後の孤独の解消なども高齢社会の課題になっている

2019年10月、

7月29日、最近まで沸騰していた韓国の不動産市場が突如として暗転

2022-10-10 14:31:08 | 日記

焦点:韓国不動産ブームが利上げで暗転、借金抱えた消費者に重圧


ロイター編集

[ソウル 29日 ロイター]

 - 最近まで沸騰していた韓国の不動産市場が突如として暗転し、世界有数の規模の借金を背負っている消費者に重圧がのしかかっている。

引き金を引いたのは、記録的なペースの利上げだ。

 7月29日、最近まで沸騰していた韓国の不動産市場が突如として暗転し、

世界有数の規模の借金を背負っている消費者に重圧がのしかかっている。

首都ソウルのマンション価格は先週、過去2年2カ月間で最も大幅な下落に見舞われた。

6月の売買件数は前年同期比で73%減少している。

2600兆ウォン(約270兆円)に上る不動産関連債務が今、金利上昇の洗礼を受けている。

不動産市況が低迷し、住宅ローンの支払い額が増えれば、消費を冷やす恐れが強い。

韓国では家計資産の4分の3近くが不動産市場にひも付けられている。

このため政策当局者は、住宅ローン金利の上昇に伴って債務不履行が増え、経済危機が近づきかねないと危惧する。

一般市民は既に痛みを味わっている。生後6カ月の子どもを抱え、ソウル中心部に住むジェーン・ジョンさん(36)は、住宅ローンの支払いが膨らんだため厳しい選択を迫られた。

「夫の給料だけでは月々の返済に間に合わなくなったため、私は産休を早めに切り上げて職場復帰せざるを得なかった」とジョンさん。

当初は産休を1年3カ月取るつもりだったという。

ジョンさん一家は5億ウォンの住宅ローンを抱えており、月々の返済額は昨年に比べて72万ウォン増えた。

ブローカーからは、月間返済額は年末までにさらに増えて400万ウォン近くになりそうだと聞かされている。これは、夫の月給の70%に達する額だ。

金融監督当局の推計では、住宅ローン金利の平均が現在の5─6%から7%に上昇すると、債務不履行に陥る人の数は50万人増えて190万人に達する見通しだ。

韓国では不動産投資関連のサービスとモノの消費が経済活動全体の約15%を占めている。

不動産不況と輸出不振が重なれば、経済成長の大きな足かせとなりかねない。

キウム証券のアナリスト、セオ・ユンスー氏は「韓国の金融システムは世界で最も金利上昇に弱い部類に入る。パンデミック期間中の債務増加幅は世界有数だった」と語る。

「最も大きな問題に直面するのは、最近になって住宅ローンと(投資のための)融資の両方を受けた人々だ」

<住宅ローン金利はさらに上昇へ>

韓国銀行(中央銀行)は昨年8月以来、累計175ベーシスポイント(bp)の利上げを行った。

今月は過去最大の50bpの利上げを実施している。

現在2.25%の政策金利は、年末までに2.75%に上昇してピークを迎えるとの見方が多い。

既に9年ぶりの高水準に達している住宅ローン金利はさらに上がり、多額の債務を抱えた家庭を締め付けそうだ。

ソウルの住宅価格は過去5年間で2倍以上に高騰した。

景気刺激策にあおられた住宅購入から始まり、やがて不動産投機は国民的な「娯楽」へと発展。

融資規制が強化され、30代を中心とするミレニアル世代の多くが経済的苦境に陥っても投機は止まらなかった。

韓国の家計債務の対国内総生産(GDP)比率は第1・四半期に104.3%と、世界屈指の高さだったことが、国際金融協会(IIF)が示す主要36カ国のデータで分かる。

規制当局は家計債務が金融システム全体にもたらす影響を和らげようと、固定金利での借り換えを可能にする措置を導入した。

この救済策が発表されたのは、韓国中銀が予想外に50bpの利上げに踏み切って2週間たってからだ。

秋慶鎬・企画財政相は今週、「家計債務の構造を迅速に改善する」と表明。

「借り換え策が始動すれば、家計債務に占める変動金利債務の割合は78%から73%弱へと、最大5ポイント低下するはずだ」と述べた。

可処分所得に対する債務の比率は、昨年末に206%に達した。

前出のジョンさんは「私たちの財産はマンションが全てだから、何とかやりくりしていく。ソウルから出て行くなんてまっぴら」と語った。

(Cynthia Kim記者)



韓日の国力は本当に逆転したのか

2022-10-10 13:54:10 | 日記
記事入力 : 2022/10/08 11:18
【萬物相】

韓日の国力は本当に逆転したのか

 10年余り前、日本で『バブルへGO!!』というコメディー映画がヒットした。

1980年代後半から1990年ごろにかけてのバブル時代に対する日本人の郷愁を刺激したのが奏功した。

深夜にタクシーをつかまえようと1万円札の束を振る会社員、入るつもりのない会社を数社回りながら面接費を受け取って遊興費につぎ込む大学生たちが登場する。

1980年代当時、米国は日本の産業競争力に恐怖を感じ、日本の半導体産業をつぶし、強制的に円高の方向へ持っていこうとした。

 円高のおかげで、日本の国民所得は2000年に世界2位(3万9173ドル=現在のレートで約570万円)まで上がった。

当時の韓国の国民所得は日本の3分の1程度(1万2263ドル=約180万円)だった。

それから20年、韓国の所得は3倍(3万3801ドル=約490万円)になったが、日本はマイナス物価のせいでわずか167ドル(約2万4000円)の増加にとどまった。

購買力基準の1人当たりの国内総生産(GDP)は韓国(4万3319ドル=約630万円・2020年基準)が日本(4万1775ドル=約607万円)を既に上回っている。

 米国の名門ペンシルベニア大学ウォートン校とマーケティング企業が共同調査した「2022パワー・ランキング(世界国力ランキング)」で、韓国が6位となり、8位の日本を抜いた。

国の敏しょう性や起業家精神など10の要素をまとめ、主観式の点数により順位をつけたものだ。

国力の衰退は日本人自身も痛感している。

日本経済新聞がこのほど実施した国力評価世論調査で、日本人は政治力(「強い」5%、「弱い」58%)、軍事力(「強い」9%、「弱い」50%)、外交力(「強い」5%、「弱い」61%)などあらゆる分野で国力が衰退したと自ら評している。

 韓国の成長と日本の衰退は、デジタル転換期適応の有無が分かれ道になったという見方が多い。

半導体、スマートフォン、5Gなど先端情報技術(IT)分野で韓国は日本を追い越した。

世界を制覇した日本の漫画産業は、IT競争力を前面に押し出した韓国のウェブトゥーン(ウェブ漫画)の前に崩れつつある。

日本における漫画アプリ利用率1位と2位は韓国のネイバーやカカオの子会社だ。

韓国が新型コロナウイルス支援金の支給を2週間で完了させた一方、日本は全国民に同支援金を10万円ずつ配るのに6カ月もかかった。

 だからといって、日本を見下すことはできない。

日本の対外純資産は3兆1500億ドル(460兆円)で、韓国の7倍に達する。

韓国が高給取りだとしたら、日本はとてつもない資産家だ。

日本には100年を超える長寿企業が3万3000社、世界市場シェア1位の中小企業が1000社以上ある。

韓国はやっと独自のロケットを開発したが、日本は小惑星に宇宙船を送り込み、土を持ち帰るほどの技術力がある。

日本は依然として技術大国だ。その競争力を見くびれば、ひどい目に遭うかもしれない。

金洪秀(キム・ホンス)論説委員


朝鮮日報/朝鮮日報日本語版