北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

地域配備師団には地対艦ミサイル連隊が必要だ【3】北部方面隊は地対艦ミサイルを排し装甲機動連隊に重点

2023-05-04 20:01:44 | 防衛・安全保障
■有事の際に何をするのか
 地域配備師団は有事の際に何をするのかという素朴な政治や国民の問いに正面から向き合うこの試案を別の角度から。

 地域配備師団の普通科連隊を地対艦ミサイル連隊中心の沿岸警備連隊へ改編する、こうした試案を示しますと、ちょっと待て、という反論が出てくるかもしれません、防衛力が瓦解しロシア軍に有利になるという反論です。そう、お気づきの方も多いでしょうが北海道、北部方面隊に地域配備師団や地域配備旅団は置かれません。今回はこの視点について。

 第1特科団の地対艦ミサイル部隊、第1特科団が将来的に廃止されるという動きがありますが、思い切って地対艦ミサイルを北海道から撤去することができるのではないか、と考えます。これこそラジカルすぎると反論が出るでしょうが、現状の射程200㎞の地対艦ミサイルを東北地方に配置したとして北海道北部には届きません、しかし反撃能力はどうか。

 2000㎞の射程を持つ地対地ミサイルであれば、青森県から、いや東京近郊の富士地区に展開させたとしてもロシア沿海州まで十分届くのです。ロシアにはより射程の大きなミサイルがありますが、敢えて北海道に配備してロシア内陸部を射程に置かずとも、北海道には現在の総合近代化師団を重点的に維持し、重戦力の拠点とした方がいいようおもうのです。

 ロシアを刺激しない、という側面もないにはないのですが日本本土への着上陸の蓋然性が唯一残るのが北海道であり、政府の安全保障戦略においても東千歳の第7師団は機甲師団として維持されます。わたしはこの部分で思い切って、旭川の第2師団、帯広の第5旅団、真駒内の第11旅団が即応機動師団や即応機動旅団に改編される流れを強化すべきと思う。

 装甲機動師団、という名称と装甲機動連隊という、即応機動連隊の機動戦闘車隊を戦車2個中隊基幹の機械化部隊へ置き換えてはどうか、という試案をわたしは過去に何度か提示していますが、戦車定数を300両とする場合、縮小編成戦車隊で20両編成とした場合に15個装甲機動連隊を置くことが可能だ。こうした思い切った機動連隊改編も進めるべきだ。

 第2師団隷下の第2戦車連隊と第3即応機動連隊、第25普通科連隊、第26普通科連隊。第7師団隷下の第71戦車連隊と第72戦車連隊と第73戦車連隊に第11普通科連隊、第5旅団隷下の第4普通科連隊に第6普通科連隊と第27普通科連隊、第11旅団隷下に第10即応機動連隊と第18普通科連隊に第28普通科連隊、これで14個、偵察隊に戦車を置ける。

 北海道を去る第1特科団などの地対艦ミサイル連隊もすべて師団へ統合し統合運用する統合運用も理想的となるでしょう、この場合は師団あたり5個沿岸警備連隊を保持できます。統合運用の必要性というのは、師団には独自の情報隊という無人偵察機部隊がおかれますし、兵站支援能力でも後方支援連隊として編成に有している師団の有する能力は大きい。

 師団あたりの発射装置は80両、弾薬車と段列地域集積で、まあなんとかなる、という数字でしょう。一方、この編成は陸上自衛隊の現状での難点である戦闘工兵の不足下でも適した運用が可能となります、射程2000kmのミサイルであれば敵前渡河や地雷原を突破して相手に近づく必要は無く、逆に必要なのは掩砲所の構築をになう建設工兵の能力です。

 掩砲所、場合によっては地域配備師団は方面隊隷下にある施設団を管理換えする必要が出てきます、掩砲所とは、要するに坑道掘削装置などにより構築するトンネル陣地や、せめて車体を地下に埋めて上に天蓋を構築する必要があります、なぜなら、冷戦時代の地対艦ミサイル連隊はソ連軍各攻撃を想定し地下退避すべく坑道掘削装置を導入したのですから。

 建設工兵としての施設団装備ならば十分に保有している陸上自衛隊には、地対艦ミサイルをもととした反撃能力というものは非常に扱いやすい装備といえるのかも知れない。もちろんそれで戦闘工兵装備が不要になるというようなものではなく、即応機動連隊の機動力確保へこれから相当数の戦闘工兵装備が整備してゆかねばならなくはなるのですけれども。

 警備隊とともに地対艦ミサイル連隊ではなく沿岸警備連隊とするのは、もう一つ、地対艦ミサイルそのものが攻撃目標となるためです。この為、警備隊と高射中隊とを統合運用する試案を示しましたのは地対艦ミサイルを直接侵攻により破壊されないためというもの。例えばイスラエルの戦車に負けた第四次中東戦争のエジプト軍防空砲兵部隊のようにです。

 地域配備師団、有事の際に何をするのか、と揶揄されないように、地対艦ミサイルを増強するという政府の指針とともに、思い切った地域配備師団のミサイル重点配備化を提示しました。あまりにミサイルを増強しすぎるのではないか、という指摘があるかもしれませんが、政府が目的とする通常戦力による反撃能力は、これでも最低限度の整備数なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:滋賀-米原,駅前は肉料理と葡萄酒の店で頂く分厚いカツレツ

2023-05-04 18:18:15 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 はるなさん、ゴールデンウィークということでちょっとだけ遠出しつつ渋滞や混雑の無い場所を散策してみました。

 米原駅、岐阜や横須賀へ向かう際、東海道本線の東側と西側を大きく分ける正に境界線となっていまして、北陸本線の始発駅、青春18きっぷ自由な旅を楽しむ際にはお世話になる駅となっています。しかし、ここは単に乗換えるだけというには勿体ないのかもしれない。

 フモトブロスという。一昨年駅前を夜に散策していた際に、肉料理とワインの素敵なお店を見つけまして、ちょいと一杯やるかは迷ったのですが、なにしろ時機がコロナの時代で東京や大阪でばたばたやられている時代、惜しいけれども自重したという次第でした。

 ビワイチというか、自転車で琵琶湖を一まわりするツーリングの際などに良いのだろうか、そして米原駅周辺を見ますと、庭園拝観が出来る寺院もありますし、いや米原市も町村合併でいろいろ広くなりましたので、ちょっと山手を散策してみるのもいいのかもしれない。

 ランチタイムはランチメニューを手頃に供している、こういうことでミラノ風カツレツというワンプレートランチを頂きます。ここ、本当に米原駅から近く西口の東横イン、その駐車場の向かい側にある、テラス席もありテーブル席もあり、店内は奥にも広い配置だ。

 ミラノ風カツレツ、すごいなこれ、ポークの場合は兎に角熱して食べなければという前提で考えるのですが、まだ赤身の色彩が残っていて、これが肉ならではの酸味を醸し出す、わたしこういうの好きなのだけれども、それは牛肉だけだと思っていた、ポークもできる。

 ランチでも手抜きは無い、というよりも家後部熱いものを上手く料理に仕上げている、この赤みの残し方も巧い揚げ方があるのだろうか、兎にも角にもこの色合いはトンカツ屋さんではなかなか愉しめないような感覚で、しかし美味しいので一皿でも一瞬で平らげそう。

 カツレツも切って或るものを軽くナイフとフォークで更に細切れにして頂くのだけれども、やわらかい、トマトソースともよく馴染んでいる。そしてなにより、レタスがふわふわで歯ごたえのある、凄い所のレタスが有るものだと、ちょっとおどろいてしまいましたね。

 ポークにもこんなカツレツが、と驚いたのだけれども、もう一つ、フォカッチャとバゲットが、これ、柔らかいのです。バゲットは少し前に岐阜県のパン屋にて硬すぎるBLTサンドで顎を痛めただけに、そうこれだこういうのがいいんだよ、という変なところで感動だ。

 フクモトブロス、だったのね、フモトブロスという山麓ゆえの名でないのか、と変なところで気付くのですが。フクモトさんは彦根市にもケーキ専門店を出しているようでして、ここなんかは彦根城散策の際には甘いものを頂く穴場なのかもしれません。たのしみです。

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クレムリン宮殿に無人機攻撃-ロシア大統領府が報復宣言,近距離用クワッドドローンでの攻撃の可能性

2023-05-04 07:00:23 | 国際・政治
■臨時情報-クレムリン攻撃
 モスクワ軍管区は地対空ミサイルの密集地域であり安易には近づけない、とは冷戦時代に云われたものです。1987年に西ドイツの少年がセスナ機で赤の広場に着陸した事が有りましたが。

 クレムリンが無人機攻撃を受けた、ロシア大統領府は3日夜、ロシアの首都モスクワにあるクレムリン宮殿が攻撃を受けたと発表しました。更に攻撃の様子とされる、旗掲揚台近くで無人機が爆発する様子などの映像が出され、そしてロシア大統領府はウクライナの攻撃であったと断定し報復を行うと発表しています。なお、被害はないとの事でした。

 クワッドドローンにみえる、映像を見ますと飛行している無人機の様子が“フリスビーのような飛び方”をしていまして、これはご覧になった方など判るとおもいますが“富士総合火力演習における無人機の低空飛行の様子”に非常に似ているのです、同じ富士総合火力演習でも高空を滞空するスカイレンジャー70とは異なる、みれば分かる飛び方なのです。

 クワッドドローンがウクライナ国境からモスクワまで450kmを飛翔できるのか、固定翼方式の無人機は兎も角として、ウクライナ軍は確かにクワッドドローンを多用しています。しかしここまで行動半径の大きいものは固定翼式のものしかなく、回転翼式と定義を広くした場合でもアメリカのMQ-8Cファイアスカウトの行動半径280kmでしかありません。

 日本からハワイに飛行する旅客機航路にヘリコプター航路が無いのは何故か。唐突に思われるかもしれませんが、今回のクレムリン攻撃にクワッドドローンが使用された事への疑問はこの問いと重なります、理由は一つ、固定翼式の旅客機と比較して飛行効率が悪い為です。また、ロシアもウクライナへの長距離無人機攻撃は固定翼機型を用いています。

 ウクライナ特殊部隊が警戒厳重なモスクワ市内まで浸透し大統領府から10km以内の近距離で発進させた、というならばクワッドドローンである事の説明にはなります。しかしそれ以上に説得力ある説明は、日本の1931年柳条湖事件の自作自演の様に被害が出ぬようロシア側がウクライナの攻撃に見せかけた偽旗作戦を行ったのではないか、ということです。

 リットン調査団のような国連主体の調査団をロシアが報復攻撃を行う前に派遣すべきではないか。1931年柳条湖事件に際し、中華民国政府が南満州鉄道爆破事件などは中国軍の破壊工作ではなく日本側の偽旗作戦だとして調査団を派遣要請し国際連盟が派遣した調査団です。もっとも、画像解析により、少なくとも450km程度飛行できる固定翼無人機である事が判明するならば別なのですがね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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