ハリソン君の素晴らしいブログZ

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「七曲署捜査一係‘81」ー1

2022-08-21 22:33:11 | 刑事ドラマ'80年代

ボス(石原裕次郎)、山さん(露口 茂)、ゴリさん(竜 雷太)、長さん(下川辰平)、スコッチ(沖 雅也)、ドック(神田正輝)、ロッキー(木之元 亮)、スニーカー(山下真司)という、七曲署史上最強メンバーの勢揃いが観られたのは、1981年春まで。

運命の5月、まず沖雅也さんが過労を起因とする(?)交通事故でいったん離脱され、続いて石原裕次郎さんが解離性大動脈瘤により生死をわける大手術→半年に及ぶ入院で、大黒柱まで長期不在という最大の危機が、いよいよ訪れてしまいます。



スコッチをリーダーとする若手カルテットも、これで見納め。‘81年に入ってから既に、スコッチは若手チームよりベテラン勢と一緒に行動する機会が増えてました。

たぶん芳しくなかった沖さんの体調に配慮した制作陣が、アクションよりも謎解きでスコッチを活躍させる方針にシフトチェンジした結果と思われます。



ベテラン勢と並んでる方が画的にもしっくり来ちゃうスコッチ。演じる沖さんは山下真司さんよりも歳下で、実はチーム最年少なんだけどw



前回レビューした#451『ゴリ、勝負一発!』でも我々ファンを痺れさせてくれた、ゴリ&スコッチの最強コンビもこれでほぼ見納め。ドックとの俺天コンビも!  惜しいなぁ寂しいなぁ。



スコッチは6月末にいったん復帰するけど、10月頭にまた離脱。そして年明けに殉職を迎えることになっちゃいます。無念!



しかしこのシーズンは特に力作が多かった! まず、東京上空で浮遊するダイナマイト搭載の風船を藤堂チームが追跡する#448『風船爆弾』。特撮がチャチい!っていう声もあるけど、パニック映画的なアプローチがすこぶる新鮮で私はワクワクしました。



#449『ドック刑事 雪山に舞う』と#450『ドック刑事 雪山に斗う』は志賀高原ロケの前後編。プロ顔負けと言われる神田正輝さんのスキーテクもさることながら、あの山さんがなんと地方ロケに参加した!(大嫌いな飛行機に乗らなくて済むからw)っていうレアさでも忘れ難いエピソードです。



そして前出の#451『ゴリ、勝負一発!』を挟んで、当時高校生だった女性ファンによる投稿シナリオが採用された、#452『山さんがボスを撃つ!?』と#453『俺を撃て!山さん』の前後編。

ボスを恨む犯人が山さんの愛息子を誘拐し、その生命と引き換えに「ボス射殺」を山さんに命じるという衝撃作。ファン(素人)ならではの奇抜な発想で、プロのライター陣はきっとショックを受けただろうと思います。

以降、ほかの刑事ドラマもこぞって真似したけど、山さんがボスを撃っちゃう衝撃は超えられませんでした。そりゃそうでしょう、丸10年かけて描かれて来た2人の絆、その信頼関係があればこその衝撃ですから。



結局、本気で上司を撃ち殺そうとし、本気で部下に殺されようとする2人に圧倒された犯人が復讐を諦めるワケだけど、その直後のやり取りがまた超絶カッコいい!

肩を負傷したボスに「すべて終わったよ」って言われて、私らみたいな凡人なら「ボス、すみません!  仕方なく撃ったんですホントです殺す気は無かったんです!」って、まずは必死に許しを乞うであろうところを、山さんはただ黙って頷くだけ!

で、逆にボスの方が気を遣って「山さん、進退伺いなんて妙なこと言わんでくれよ」って言っても、ただニヤッと笑って「ボス」と一言返すだけ。



で、2人それぞれ自分の車に乗り込んで、別々に帰っていくという素っ気なさw  まるで何事も無かったかのように! カッコ良すぎる! 大人か!? ハードボイルドか!?

それもまた、10年かけて絆が描かれて来た、その前提があればこそ成立するシーンだと思います。いくら人質を救う為とはいえ、上司を撃った部下が一言も謝らないなんてw、この2人でなきゃ有り得ない!

ただ1つだけ、このエピソードを観るたび胸が痛むのが、沖雅也さんの尋常ならざる疲弊ぶり。眼の下にクマが出来て表情も虚ろで、心身の不調がもろ顔に出ちゃってる。

ほかのエピソードでも前年みたいな覇気は感じられないけど、このときが絶不調だったに違いありません。

そのスコッチは#457から、そしてボスは#459から欠場となり、この2人のツーショットは二度と見られなくなっちゃいます。



そんな史上最大の危機に居合わせちゃったマスコットガール=ナーコ(友 直子)は、相変わらずスニーカーの隣にいることが多いです。



しかしセミレギュラー陣は皆さんお元気! ボスも山さんもスコッチも昔から迷惑かけっぱなしで頭が上がらない、署長の西山警視(平田昭彦)。これからボス不在により出番が増えていきます。



山さんちのお手伝いさん(今で言うホームヘルパー?)の加代子さん(千野弘美)も元気です。



なかなか活躍させてもらえない、スニーカーの妹=早苗ちゃん(山下幹子)も、ちょこちょこ元気な姿を見せてくれます。ようやくマトモに活躍できたのがスニーカー編の最終回で、あんなことに……



そしてロッキー夫人でドクターXに似てきた令子さん(長谷直美)はなんと、しばらく見ない間にお腹が!



生まれてくる赤ちゃんが毛むくじゃらだったらどうしよう!?って思うと、笑けて昼寝も出来ない令子さんなのでした。



その令子さんが3ヶ月ぶりに登場された#458『おやじの海』が、大手術前の裕次郎さん最後のご出演となりました。

ボスが本当に死んじゃうかも!? そしたら『太陽にほえろ!』は一体どうなるの?って、考えずにいられなかったあのとき、日本じゅうがザワついたあの空気を、私は今でも鮮明に憶えてます。もう40年近く経つんですねえ……


 


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2 コメント

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Unknown (1938goo)
2022-08-23 13:41:41
M59を構えるドック、良い表情です。色気を感じます。
ファンが作った脚本があるとは…。ボスと山さんのやり取りも全てその方の脚本なんでしょうか。たまらない良さです。最近の俳優ではこうは行かないと思います。
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Unknown (harrison2018)
2022-08-23 18:01:59
ファンの方の脚本は、おそらく骨格だけ残して大半はプロのライターが直したと思われます。特に後半の展開はほぼプロの手によるものらしく、件の掛け合いもおそらく……

ただ、山さんがほとんど喋らないのは、きっと露口さんの要望があって、セリフがかなり現場で削られたんだろうと推察します。本気でボスを殺しかけた=精神的に極限状態だったから、とても言葉は出ないだろうと判断されたんでしょう。

それでドラマが成立するのはおっしゃる通り、露口さんと石原さんだからこそですよね。
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