待ってました! 待ちくたびれましたw 新型ウィルス問題で2020年4月スタート予定が延びに延びて7月7日、春ドラマの筈が夏ドラマとなってようやくスタートしてくれました。TBS系列の火曜夜10時「新火曜ドラマ」枠です。
原作は電子書籍サイト「コミックシーモア」で連載配信中の、四ツ原フリコさんによるWEBコミック『家政夫のナギサさん』。そして主演は結婚してから初の連ドラ登板となる我らが多部未華子さん! だから待ってました。
今回、多部ちゃんが演じるのは「天保山製薬」の横浜支店に勤める優秀なMR=相原メイ、独身で一人暮らし。MRっていうのは医薬情報担当者のことで、要は会社が売り出したい薬の効能を取引先の病院に出向いて説明する、言わば営業回りみたいな役職。
で、仕事に邁進するあまり家事は放ったらかし、部屋は散らかり放題、食事もファーストフードばかりで「そのうち死んじゃう」と心配した妹の唯(趣里)が、メイ28歳のバースデープレゼントとして一流家政夫のナギサさん(大森南朋)を送り込む。
そうとは知らずにメイが帰宅すると、見知らぬオジサンがブラジャー片手に突っ立ってるもんだから驚いた!……っていうのが序盤の大まかな流れです。
その辺りまでは事前情報で知ってましたから、私はてっきりドタバタコメディー調のドラマだと思い込んでたんだけど、初回を観るとそんな単純にジャンル分け出来るような作品じゃなさそうです。それが吉と出るか凶と出るか?
まず、家事代行業のみならず、これまであまり掘り下げられて来なかったMRという仕事の内容も詳細に見せる職業ドラマとしての側面。そしてメイの隣室に引っ越して来た住人で他社の有能なMR、すなわちライバル関係にある田所(瀬戸康史)と展開していくであろうラブコメとしての側面。
そして恐らくメインになりそうなのが、幼い頃から母親(草刈民代)に「仕事がデキる女にならなきゃダメ」と言われ続け、半ば洗脳されて「仕事がデキなきゃ自分は生きる価値がない」と思い込んでるメイが、ナギサさんとのふれあいによって呪縛から解き放たれていくセラピードラマとしての側面。
母親に完全否定されてしまった「お母さんになりたい」という幼き日の夢を、男性でありながら率直に実践してるナギサさんの存在は、メイの人生に大きな影響を与えること必至。もしかすると彼を通してジェンダーの問題についても考えさせられるかも知れません。
だからこれは予想してたよりずっと深いドラマであり、それがコメディーとしては(やや重くなって)足枷になるかも知れないし、盛り沢山すぎて焦点がボヤけてしまう可能性もある。
だけど同じように深くて盛り沢山だった『トクサツガガガ』なんかはコメディーとしても一級品だし、『凪のお暇』みたいにベタな恋愛ドラマに傾きさえしなければ、きっと期待を裏切らない作品になると私は思います。
(そういえば『トクサツガガガ』も『凪のお暇』も母親の精神的支配から娘が脱出していく話でした。それで苦しんでる人がいかに多いかですよね)
……とまぁ、理屈っぽいことを色々書きましたけど、どう転んでも多部ちゃんが中心にいる限り駄作には絶対ならないし、やり手のキャリアウーマンを演じる多部ちゃんが新鮮だし、初共演となる大森南朋さんや趣里さん、高橋メアリージュンさん、舞台で共演したばかりの瀬戸康史くん、そして映画『君に届け』でお母さん役だった富田靖子さん(今回は上司役)等との掛け合いを見てるだけで、タベリストとしては充分に楽しめます。
いや、タベリストでなくたって、これだけ一流の俳優さんが揃えばその演技を見てるだけで退屈はしない筈。言っちゃ悪いけど学芸会みたいな『未満警察/ミッドナイトランナー』等とはレベルがまるで違いますから。
☆今週のツボ
「同じリモコン5個」に「リップクリーム10本」(実際にそういう人いるんでしょうね) と、あと「おじさんの靴!」w
☆今週の気づき
私はドラマや映画にお笑い(ネタ番組)のノリを持ち込む役者さんを快く思わないんだけど、多部ちゃんはお笑い好きにも関わらず絶対に持ち込まない。お笑いとコメディーは全く違うってことを本能的に解ってらっしゃる。そういうところが本当に好き!
そんなワケで、これからしばらく毎週火曜日を楽しみにしたいと思います。セクシーショットはメイのMR仲間=陶山さん役の高橋メアリージュンさんと、天馬さん役の若月佑美さんです。
だから本文にも書いたように、お笑い番組のノリを持ち込むことは有り得ない。笑わせる気がないんだから。そういうところに「一流」を感じるワケです。
そんな私の心配など、暁のかなたにぶっ飛んでしまった第1回でした。
卸さんから会社に出社し、事務所の扉を開けてから、会議の席に着くまでのカメラには見ほれました。床上10cm(近くにあったテーブルの高さ比)くらいからずうっと昇っていき、3m30cmくらいの天井(多部未華子さんの身長比)から流れるように向きを変え、移動し、ミーテイングルームにいる松平さんを枠いっぱいに押さえるまで。実に素晴らしい!
そしてその会議の席にいるメアリージュンさんと若月さんを従えた形で映ってる(ハリソン君の記事の写真8枚目)ときの、多部未華子さんのキャリアウーマンはまりぶり!実に素晴らしい!
新支店長の富田さんが、なんだか腹黒そうに見えるのは気のせいでしょうか?瀬戸くんはもちろん話の中心になっていくんでしょうけど、意外に眞栄田クンが周囲も驚くほど力をつけて成績を伸ばし、瀬戸くんを脅かす存在になるんじゃないだろうかとか、妄想は膨らむばかりです。
ただこれだけは。
ナギサさん役の大森南朋さん。私にとっての彼は、『フィッシュストーリー』でのレコード店の店長から一歩も外に出ていず。。。ブラジャーを持ってたたずむナギサさんと店長とのギャップを埋めるのに、しばらく時間が必要と思われます。
それはそれ、これはこれとして。
多部未華子さんはご結婚されてもやはり多部未華子さんでいらした。当然といえば当然なのですが、彼女のファンでいてよかったと、自分をほめてやった第1回でありました。
思えば我々が多部ちゃんのトリコになったのも『デカワンコ』と他作品との激しいギャップに驚いたことがキッカケですから、そういう役者さんが揃ったこの作品に失望させられる事はまず無さそうです。
富田さんが腹黒く見えるのは、たぶん草刈さん=メイの母親の影を感じてしまうからかも? 本人に悪気は無くても知らず知らずメイを追い詰めていきそうな感じがします。だから『君に届け』で多部ちゃんの母親だった富田さんをあえてキャスティングした?っていうのは考え過ぎでしょうけどw
これと404はすごく好きです!