ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『あの胸が岬のように遠かった』『あちらにいる鬼』

2023-02-25 21:53:57 | 
『あの胸が岬のように遠かった 河野裕子との青春』 永田和宏 新潮社
 「二人の人を愛してしまへり」――没後十年、歌人の妻が遺した日記と手紙300通から夫が辿り直す、命がけの愛の物語。
 濃密で激しい愛。ここまで赤裸々に書いて大丈夫なのかと思うほど。これほど真剣に愛し合えた二人は間違いなく幸せだったと思う。
 若き二人を覗き見するというよりは、日記や手紙、和歌で当時の二人の関係の答え合わせをする感じ。すごいものを読みながら、時々クスリと笑ってしまう。いやはや、参りましたという感じだ。
 「関ジャム」で坂本龍一教授が「音で自分の気持ちを表現する」「字ではなく音で日記を書く」というようなことを言っていた。それと同じように、歌人は歌で自分の気持ちをよんでいたのだろう。私も俳句で写真のようにその日の一瞬を記していけたらと思った。

『あちらにいる鬼』 井上荒野 朝日新聞出版
 父・井上光晴、母、そして瀬戸内寂聴をモデルに、逃れようもなく交じり合う三人の〈特別な関係〉を、長女である著者が描く。一九六六年、講演旅行をきっかけに男女の仲となる二人の作家、白木篤郎と長内みはる。繰り返される情事に気づきながらも心を乱さない篤郎の美しい妻、笙子。みはると笙子、二人の愛と〈書くこと〉に貫かれた人間たちの生。
 「あちらにいる鬼」とは?普通に考えたら、愛人のみはるだが、妻と愛人の共通の相手の篤郎とも 三人の関係を描き切った作者こそかもと思ったりする。
 三角関係のドロドロではなく、どうしようもない篤郎をどうしようもなく愛してしまった妻・笙子と愛人・みはるが交互に淡々と語る。そして、お互いを認め合うような不思議な関係の話だった。
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『夜に星を放つ』 | トップ | 「小牧源太郎」「芭蕉」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事