ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『パープル・ハイビスカス』

2023-03-28 20:36:39 | 
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『パープル・ハイビスカス』 チママンダ・ンゴズィ・アティーチェ くぼたのぞみ訳 河出書房新社
 舞台はナイジェリア。新聞社の社主にして大工場を経営する狂信的なカトリックの父を持つ15歳の少女カンビリ。両親・兄と共に裕福な暮らしをしているが、厳格な父にその全てを管理されている。それが愛ゆえの行為だと盲信する父に暴力で支配されていても、自分の意思を持たない。カンビリは、預けられた叔母の家で、自由な価値観を知り、自己を肯定していく。
 父親は、家族を愛している。親戚や近所の人など他の人を助けることを惜しまない。でも、狂信的なカトリックであり、彼が神父に受けた教育を全て正しいと思っていて、不寛容。自分の意に沿わないと激しい暴力をふるい、家族を支配している。父親に支配されている子どもたちが、叔母の元で自由をしり、自分を取り戻していく様子が瑞々しい。それに対比するように父親のすさまじい暴力と自分の行為に対して流す涙が悲しい。
 ハイビスカスの花の色に紫があることを知る。一色ではなく、いろんな色があるということを知ることが、テーマなのだろう。
 日本人にはわからない、ナイジェリアの食べ物や文化がいっぱい出てくる。注釈があれば、助かったのだが、なくて残念だった。
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