いいことみ~つけた

小さな喜びみつけて、"幸せ!"って感じられたらいいな!

津波だ! いなむらの火を消すな

2011-03-15 10:26:18 | 日記

私たち ボランティアグループ「わらべ」は

小泉八雲作 「稲むらの火」を 紙芝居で 防災教育の大切さを 訴えている

 また 津波後 住民の手による防災と復興という視点からも 意義のある教材である

 

<津波だ!いなむらの火を消すな>

海辺の村です。

それは、江戸時代の末のこと、11月のはじめ、ある日の夕方でした。

紀州和歌山の広村では、秋の取り入れが終わり、田んぼには、いくつもの稲むらが並んでいました。

「米がたくさんとれたし、いいわらも残ったし、ありがたい、ありがたい。」

村人たちは、こう言って喜びました。

刈り取ったあとの稲わらは、大切な使い道があって、たばにして高く積み上げておきます。

これが「稲むら」です。

そして、村人たちは、そろそろ冬の準備にとりかかっていました。

ごおーっ

地鳴りがして、大地がはげしく揺れ動いたのです。

「おおっ 地震だ! 大地震だ!」

村人たちは、家の外にとび出しました。

「きゃっー。」 

「こわいよう。」

子供たちは、親にしがみつきました。

 

壁がくずれ、かたむいた家から、 けむりのように、ほこりがまい上がりました。

 

広村をおさめる庄屋として、村人に慕われている浜口儀兵衛も、家族と一緒に家の外に出ました。

「我が家は大丈夫だが、村人たちは無事だろうか・・・。」

空には、黒い雲と白い雲とが、あやしく入り混じって広がり、遠くの雲を切りさくように、するどい光が走りました。

しかも、遠い海の向こうから

ドドン ドドン ドドン

大砲がとどろくような音が、聞こえてきたのでした。

「これは恐ろしいことになる・・・。」

儀兵衛は家族に、

「いますぐ、丘の上、一本松から広八幡神社の方へ、避難しなさい。」

と命じて、自分は家の中に入りました。

「な、何をなさるのですか。」

儀兵衛は、たいまつに火をつけながら、

「津波だ。まもなく、津波が押し寄せてくる。

 村中に、危険を知らせて歩く間はない。 田んぼの稲むらに、火をつけて合図するのだ。」

儀兵衛は走りました。

稲むらの一つに、火をつけます。

よくかわいている稲むらは、ぼっと燃え上がりました。

次から次へ、つぎの田んぼへ。

儀兵衛は、走って走って・・・・。

「みんな、早く集まってこいよ。そして丘へ避難するのだ。」

「庄屋さまの所が火事だぞ。」

「庄屋さまに、何かあったら大変だ。」

「それ、火を消しに行け。」

村人たちは、すぐさま集まってきました。

こんな時には、村中一人残らず、火消しに加わることになっているのです。

「庄屋さま~。」

真っ先にやって来た若者たちが、火を消そうとすると、儀兵衛がおしとどめました。

「津波だ! 稲むらの火を消すな。」

「庄屋さま、どうしてですか。」

「津波だ! 津波が来る。 村のみんなが、集まってきたかどうか、確かめるのだ。

 そして、一本松から、広八幡神社の方へ、みんなを避難させるのだ。」

「はい、庄屋さま。」

こうして村人たちが、高い所に避難した時、

「あれを見ろ!」

儀兵衛が、海の向こうを指さしました。

「なんだろう!」

村人たちは、恐ろしいものを見ました。

まさに、暗くなりかけた沖の海に、長く黒い帯が広がり、こちらに、ぐんぐん迫ってきます。

どどどどぅん

「津波だ!」

「津波が来る!」

ぐぅうおーん

 

つづく 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿