ここ2週間以上、最高気温が22℃以下の涼しい日が続いています。
その代わり雨・にわか雨・強風の日が多めで、まるでもう秋になってしまったかのよう。
それでもこの気候は、暑がりの私には大歓迎です。
イングランドで観測史上初めて40℃を超えた去年の夏のような暑さが再来しないよう、
祈るような気持ちで過ごしています。
今日は、私の住み込み介護の元顧客・ベティーさん（仮名）のところに、午前11時半から午後4時まで、
ジョアン（仮名）が外出中のカバーに入りに行ってきました。
ジョアン（67歳）は、昨秋から、ベティーさんに直接（＝自営のヘルパーとして）雇われ、
3週間住み込んだら3週間休んで・・・の頻度で、ベティーさんの住み込み介護をしています。
今日は、乳癌検診のためブリストルまで行かなければならないので、
その間ベティーさんに付いていてほしいということでした。
ベティーさん宅に向かう途中、放牧されている牛に通行を妨害されました 
一泊二日の住み込み・ふたたびに書いたように、前回私がベティーさんに会ったのは、ほんの2ヶ月ちょっと前。
3月に96歳になられたベティーさんは、さすがに動作が以前に増してゆっくりになり、
介助の必要度もかなり上がったな、とは感じていました。
それでもベティーさんは独立心旺盛なので、たとえ時間がかかっても、
自分でできることは、できるだけ自分でされていたんです。
ところが先週、ジョアンからメッセージが入りました。
ベティーさんがひと月ほど前にほぼ歩けなくなり、その後は体調が急速に悪化。
居間に介護用の病院ベッドが入ったのが2週間ほど前で、それ以降はずっとベッドで過ごされているそうです。
ベッドを離れられないので簡易トイレも使えず、介護用オムツを使用、食事や清拭などの介助も、すべてベッドで。
そして3日ほど前から固形物は一切口にしなくなり、水だけで過ごされている・・・ とのことでした。
ガーデナーにきれいに手入れされている、ベティーさんの庭
もう読書したり、クロスワードをしたり、テレビを見たりすることはまったくないそうで、
一日の大半を眠って過ごされているとのこと。
それでも、2ヶ月ちょっとぶりに会ったベティーさんは、ジョアンが言ったように、
頭の中は以前とまったく変わらず、クリアーでした。
私が着いたときはたまたま起きていらして、血色も良く、瞳をきらめかせながら私の家族のことや、
ムスメの車の運転の実技試験の結果や、ムスメが帰郷して初めてのマイカーを買ったことなど、
楽しげに聞いてくださいました。
やがてお疲れになり、お水を少し口にしたあと、お休みになられて、
結局私が付き添っていた4時間半の間に直接した介助といえば、
3回お水を飲むのをお手伝いしたことと、枕の位置を変えることくらいでした。
あまりにも時間が余って申し訳なかったので、ベティーさんが眠っておられた間に、
ベティーさんに呼ばれた場合に備えて聞き耳を立てつつ、
シンクまわりや冷蔵庫やバスルームの掃除をしました。
それでも大量に時間が余りましたが。
ジョアンによると、ベティーさんの主治医は明日も往診に来る予定ですが、
先週半ばに往診してくれたとき 「あと2日から4日（の命）」 と言っていたそうです。
だから主治医さん自身も、ベティーさんが長らえていることに驚いているとのこと。
今年3月に96歳の誕生日を迎えたベティーさんは、ジョアンにはっきりと、
「本当にいい誕生日だったわ。でもこれが最後の誕生日になるように、心から祈るわ・・・」
と言ったそうです。
関節炎のため、常時手や膝や足首に痛みのあるベティーさんは、鎮痛剤を手放せない生活でした。
でも 「痛い」 と口にすることも、泣き言を言うことも一切なく、顔をしかめることすらなく、
苦痛は自分の中ですべて自己処理し、人と話すときは常に明るい笑顔。
なかなか出来ないことですよね。私だったら絶対無理です。
ベティーさんは鎮痛剤の錠剤を呑み込むことができなくなったため、
現在は液状のモルヒネが処方されていました。
が、私がいる間はベティーさんは、鎮痛剤を要求することはありませんでした。
朗らかで優しくて、ご友人も多いベティーさん。
誰もが思うことでしょうが、私もベティーさんには、
苦痛を感じることなく、安らかにまるで眠るように、
天国に旅立って欲しいです。・・・
