昨年の秋に、住み込み介護の仕事から足を洗った私。
今日は、その最後の顧客さんだったベティーさん(仮名)のお見舞に行ってきました。
(今日は仕事で行ったわけではありませんが、ベティーさんとは仕事を通じて知り合ったので、
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受付の方の話では、ベティーさんは一昨日嘔吐されたので、念のため訪問者には、日を改めて出直すか、あるいは
PPE(Personal Protective Equipment=使い捨てのマスク・エプロン・手袋などのこと)を着用してほしいとのこと。
もちろん私は、PPEを着用して入室させていただきました。
こういったバリアー・ナーシングは、病院で働いていたときたまにありましたから、慣れっこです。
せっかく訪ねたのだもの、ベティーさんに会えずに帰れますかって!
ベティーさん(96歳と5ヶ月)がほぼ歩けなくなったのが、6月末頃。
固形物を一切口にしなくなったのが、7月17日頃。
往診してくれたお医者さんが、住み込んでいたジョアンに「あと2日から4日(の命)」と言ったのが、7月20日頃。
私が外出する用のあったジョアンのためカバーに入ったのが、7月24日。
ふたたび往診してくれたお医者さんが、ジョアンに「あと1日か2日(の命)」と言ったのが、7月27日頃。
ジョアンから「ベティーさんは養護施設に移った」と聞いたのが、8月3日。
ベティーさんが自宅を出られてしまった以上、ジョアンがベティーさん宅に留まる意味がなくなったからでしょう、
先週末ジョアンから、「今は父親の家にいる」とメールをもらいました。
ジョアンは養護施設と頻繁に連絡を取っているようで、ベティーさんはもうひと月近くも水だけで過ごしているとは
思えないほど頭がはっきりしている、とのこと。訪問も許されているそうなので、
遅ればせながら私も、今日、お訪ねさせていただいたわけです。
ラッキーなことにベティーさんは、私が到着したとき目を覚ましておられて、ナースコールボタンで、
ナースに鎮痛剤を要求しようとしているところでした。
3週間ぶりに会ったベティーさんは、大分お痩せになられていましたし、会話もかなりゆっくりでしたが、
相変わらず頭の中はクリアーで、びっくりです。
私の家族(ムスメとか義母とか)のことを尋ねたり、ご自身のお友達の近況を話してくださったり。
とろみをつけたオレンジ飲料を所望されたときは、スプーンで介助し、背中が痛むとおっしゃったときは、
余分の枕を背中の下に押し込んだり。そんなことをしながら、一時間ほどお邪魔しました。
お友達が多く、近所にも仲良しが多いベティーさん。
病室には花瓶に活けられた花束が3つ、鉢植え(←イギリスですから・・・)がひとつ、
カードが何枚か、飾られていました。友達が無きに等しい私には、眩しいような光景でした。
「最後まで自分の家で暮らしたい」 と、よく言っておられたベティーさん。
自宅と比べたらやはり、殺風景と言わざるを得ない病室に横たわるベティーさんを見ていて、
何ともいえない気持ちになりました。
ベティーさんに、速やかに永遠の眠りが訪れることを、お祈りします。
* * *
帰途、ネイルズワースに立ち寄って、町をぶらつきました。
昔ながらの商店街もあって、好きです、こういう町
ショーウィンドウの中にいたワンコに心惹かれましたが、年齢的に、モノは増やすのではなく減らさなければならない身。
写真だけで我慢です。
それにしてもカワイイ・・・
ネイルズワースに舞い戻って買っちゃったりしないよう、自分を制さねばっ!