ヤマアジサイが境内に並び始めると、ついそちらに目もレンズも向いてしまうのですが、ヤマアジサイ以外の花もいろいろ咲いています♪
その中の一部ですが、お蔵入りになってしまう前に急いでご紹介。。
鎌倉を歩いていると今の時期、道ばたや民家の庭、寺社の境内で普通に見ることのできる花「シラン(紫蘭)」です。
色は名の通りの紅紫色の他に、淡い紅紫、白にほんのり紅紫、そしてほぼ真っ白など、良く見ると様々です。
シソ科タツナミソウ属の多年草だということまではわかるのですが、民家の庭や道ばたで良く見かける「コバノタツナミ(小葉の立浪)」か「タツナミソウ(立浪草)」のどちらなのかは私にはよくわかりません。
光則寺の境内には白花の方が多く生えているように思います。
和名の“立浪草”は、花が片側を向いて咲く様子を、泡だって寄せてくる波に見立てたものだそうで、なるほど納得…です。
「セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草)」です。
葉が芹(せり)の葉に似ていて、花の形が燕の飛ぶ姿に似ているところからついた名だそうです。
いつも参考にしている山と渓谷社の“日本の野草”や他の図鑑にも載っていないので、近年入ってきた帰化植物かと思っていたのですが、明治時代に中国から入ってきたとのこと。
繁殖力旺盛で、最近では鎌倉のあちらこちらで見られるようになりました。
光則寺では以前、完全な白花が数株生えていたのですが、雑草と間違えられて(雑草には違いないのですが…)排除されてしまったようで、それ以来姿をみることができなくなりました。
画像の右2枚は土牢へ行く途中に生えていたものです。“白花か♪”と思って良く見ると、陽が当たらないために色が出ずに白っぽくなっているように感じました。
どちらも同じ花のように見えますが、実は左は「フタリシズカ(二人静)」の花で、右は「ヒトリシズカ(一人静)」の果実です。
どちらもセンリョウ科センリョウ属の多年草。
ヒトリシズカが草丈10~30cmに対して、フタリシズカは30~60cmと大柄ですし、葉の厚みもフタリシズカの方がごわごわとした感触で厚めです。
フタリシズカの名は、花穂が2個のものが多いので、ヒトリシズカに対してつけられたものだそうですから、ヒトリシズカの名の方が先につけられたということになるのでしょうか。
フタリシズカの、白い果実のように見えるのはれっきとした花で、短い花糸が内側に曲がって雌しべを包んでいる姿で、これ以上開くことはありません。
サトイモ科ハンゲ属の「オオハンゲ(大半夏)」です。
カラスビシャクに似ていますが、全体に大きく、葉は3つに深く切れ込んでいます。
2枚とも同じオオハンゲで、左を撮った一週間後の姿が右で、仏炎苞が少し大きくなっています。
オオハンゲと同じ仲間の「カラスビシャク(烏柄杓)」で、オオハンゲより細く小さいので、足元に生えていても見過ごしてしまいます。
カラスビシャクの名は、仏炎苞(ぶつえんほう)をひしゃくに見立てたもの。
別名の「ハンゲ(半夏)」は、漢方での呼び名で、球茎を吐き気止めなどの薬用にするのだそうです。
境内に入るとバナナのような甘い香りがしますが、香りの主は「カラタネオガタマ(唐種招霊)」です。
モクレン科オガタマノキ属の常緑小高木。
中国南部原産で中国名は“含笑花”、江戸時代中期に渡来し、暖地の神社や庭に植えられたそうです。
花弁はちょっと固め、咲き進んだ花を触ると、ぱらっと散ってしまいます。
キョウチクトウ科チョウジソウ属で、川のそばのなどのやや湿った草地に生える多年草です。
鎌倉では、光則寺のほか東慶寺でも植えられていますが、それほど湿気のある場所ではないように思います。意外に丈夫で、適応性があるのかもしれませんね。
参道から境内の中の駐車場へ入る道です。手前は楓と梅、右奥はソシンロウバイの木、どれも今は緑の葉で茂っています。
境内で撮影を終え帰路につく前に、振り返り眺める景色です。
( 2012年5月12日撮影 鎌倉・光則寺 )