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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「中古典」

2020-12-10 21:58:32 | 読書

 斎藤美奈子さんの本は好きだ。『東京新聞』のコラムにも、週一回書いている。文学評論家という肩書きになるのだろうか。その齋藤さんが『中古典のすすめ』(紀伊國屋書店)を出した。

 私は購入しようと思って、アマゾンなどをみたのだがなかった。そこで図書館にあるかと思って調べたらあった。他の人が借りだしていて、今日初めて手にした。

 「古典」というと岩波文庫に入っているようなものをいうが、「中古典」とは、まあ「古典」ではないが、注目されたり、少しは読む価値があるかなと齋藤さんが思ったものをいうのだろう。

 いろいろな本が紹介されている。読んだ本も読んでいないものもある。

 最初に紹介されているのは、住井すゑさんの『橋のない川』である。これは私は読んでいる。ただし全部ではない。齋藤さんは、第二巻までは読んだ方がよいとあるが、私は第四巻まで読んだはずだ。読んだはずだというのは、くっきりとした記憶がないからだ。しかし主人公が育った場所のイメージは、今ももっている。

 言うまでもなくこの小説は差別の問題を扱ったものである。私も当然読むべき本だと思う。差別というものがどういうものであるかを、体感的に知ることができる。

 今日手に取って読んだ紹介文は、柴田翔『されどわれらが日々・・』、高野悦子『二十歳の原点』である。いずれも学生運動に関わるものだ。

 学生時代に読んだ本は記憶に残り、また読んだときの感覚を思い出すこともできる。学生運動に関わっていた私にとっても、この本は思い出深い。この頃の柴田翔の本は今も書庫にあり、『されどわれらが日々・・』よりも私は『贈る言葉』のほうが好きだ。『贈る言葉』は青春の苦い思い出と一緒くたになっている。

 私の青春時代は、学生運動の波だけではなく、いかに生くべきか、恋愛、性など様々なものが一挙に押し寄せてきて大きな荒波にもまれていたような気がする。その波の中を生きぬき、こうして老いてきているのだが、今になって振り返ることがよくある。

 この齋藤さんの本を読み、そこに紹介されている本を、私自身がどのように読んだのかということと、つきあわせてみようと思う。

 もう一冊、図書館から借りてきたのは『有島武郎』(岩波新書)である。買うべきかどうかを迷い、とりあえず借りてみて良かったら買おうと考えた本である。

 私は芥川龍之介の後は、有島武郎を読んでみようと思っている。彼に当該時代の「歴史」がどのように刻まれているのか、私の研究対象としたいと思っているからだ。

 有島武郎の作品は、「古典」である。

 

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