浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】林克明『ブラック大学早稲田』(同時代社)

2014-10-10 22:20:48 | 
 『現代思想』10月号、討議「労働現場としての大学」を読んで、すぐに図書館から借りだして読んだ本がこれ。

 大学の講義が多くの非常勤講師によって行われていること、そしてその講師たちの給与がとても低いことが詳しく討議されていた。早稲田大学も同様で、とりわけ早稲田は5年で雇い止めにするとか、非常勤講師の持ちコマ数を4にするとか、あるいは偽装請負で語学を教えているとか・・・数限りない反労働者的なことを行っているようだ。その最大の目的は、人件費の削減。しかし早稲田の専任教員の平均年収は1500万円。
 
 読んでいてわかったこと、それは早稲田の理事の中には、労働法の専門家が二人いて、彼らがその反労働者的な手法をやらせているようなのだ。そのうちの一人は、ボクの同期であるが、ある時彼の論文を読む機会があって読んでみると、そこには新自由主義的な内容が書かれていた。そうか、彼も「変身」したんだと思った。ボクは彼の自宅に泊まったこともある。彼の父は労働法学者で、常に労働者の権利を守る位置にあり続けたのに・・・。

 1991年の大学院在籍者数は約10万人、2012年には約26万3000人。大学院進学者がこれだけ増えているのに、彼らを正規の研究者として迎える機関はない。そのほとんどは、非正規の非常勤講師として大学などで低賃金労働者として生きていかざるを得ない。文科省の大学院生の増加策は、大学や研究機関での低賃金労働力確保を考えていたのではないか、と思う。

 日本は、もうどこも「ブラック化」している。若者は、未来に期待を持てない、不安の日々を生きていかざるをえない。時代閉塞の状況。

 どう打開していくか。


 

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