浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

核のごみ

2024-08-29 16:35:19 | 政治

 「一度決めたことは変えない」ーこれは近代現代を通じる日本の支配層の宿痾である。これが1945年の敗戦をもたらした。

 途中でやめることもしない、方向転換もしない、決めたことがうまくいかなくても、破滅するまで突き進む。戦争も、原発も、あらゆる場面でその姿が見られる。

 核のごみの最終処分場の「文献調査」に立候補した北海道の寿都町、その姿を追ったドキュメンタリーがある。今日届いた『週刊金曜日』で、発行人の植村隆さんが紹介していたドキュメンタリー、

 「ネアンデルタール人は核の夢を見るか

をみた。よくできたドキュメンタリーである。

 最後は、寿都町長選が描かれるが、おそらく文献調査に立候補した片岡町長のバックには、大きな力がついているはずだ。

 役場職員をやめた大串さん、海産物の店をやっている吉野さんら、良心的な人びとがいるが、「大きな力」がはたらくと、「大きな力」についたほうが「トク」だと考える人びとがでてくる。その後ろにはカネがあるのだろうが、それに目が眩むのだ。

 今まで生きてきて、わたしは「大きな力」の側に一度たりともついたことはないが、たしかに「大きな力」の側についた人びとには、何らかのかたちでカネが入ってくる、あるいは「トク」するようになっている仕組みが存在していると思う。

 そういう仕組みを拒否できる人たちはそんなに多くはない。だが拒否する人たちは、カネにも「トク」にも惑わされないが、しかし夢を見る人びとである。わたしも夢を見続けたい。

 

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【歴史講座レジメ】欧米の帝国化と開国、そして討幕(その1)

2024-08-29 13:34:17 | 歴史

 わたしは日本(人)が、白人の文化に心酔する様子をみて、日頃「アジア人の自覚を持つべきだ」と言っていた。豊かなアジアが何故に「貧困」、「停滞」、「遅れている」などというネガティブなレッテルを張られるようになったのか。その背景には、欧米の侵略、収奪があったことを忘れてはならないと思う。

◎欧米の変動 覇権の移動

 16世紀 スペイン←ラテンアメリカの銀、プランテーション

 17世紀 オランダ←アジア貿易、東ヨーロッパ=穀物供給地

 18~9世紀 イギリス←アジア(インド支配、中国との貿易)

※ ウォーラーステインの「中核」「周辺」「半周辺」の「近代世界システム論」

◎大航海時代以降、世界はヨーロッパ中心の世界分業体制に組み込まれていく。

 ①アジアへの侵出=「アジアの富」の収奪

 ②新大陸への侵出=新大陸の銀・生産(砂糖、綿花、タバコ・・)←奴隷労働

 ③文化革命

 ④ヨーロッパの思想(哲学、政治思想、経済思想)と自然科学の発達=16世紀の文化革命

 ⑤継続し頻発する戦争→武器の発達・思想や文化への影響

◎「主権国家」の誕生

国境線に囲まれた領域を国土とし、その内部に生まれ住む人々を国民として、その内部の政治的決定において国外からの支配や指図を受けずに独自の判断を下しうる、という原則を保持した国家。

国家の存立に関わる独立至高の決定権を「国家主権」という。←16~17世紀に成立

【その内実】

  ① 絶対王政(人と人との主従関係が原則であった中世的秩序から、国王権力が台頭)。国家主権の担い手は、国王。

  ②属人主義から属地主義。

  ③皇帝権の後退(神聖ローマ帝国など)

  ④ローマ法王の権威の後退

国家理性」の登場=国家利益の追求

◎18世紀ヨーロッパの戦争

「王位継承戦争」(例 オーストリア継承戦争)=国家主権の担い手としての国王の戦争、しかし戦争の目的は「国家利益」の追求。国王の勢力拡大=国家の勢力拡大

絶対王政ではあるが、国王は絶対無制限の存在ではない。

イギリス=立憲王政(国王は国家主権の担い手ではあるが、議会の意思に反した政治を行うことはできない。恣意的な政治をすれば、否認・排斥される)/フランス・プロイセン・ロシア=啓蒙王政 「君主は国家第一の下僕なり」

国王・皇帝の権威、身分制を温存しつつ、経済的な近代化を図る

◎「国民国家」の誕生=「国民」の誕生

・「国民」=その国に住む民が、その国家に帰属していることを意識する、その属している国家にidentityをもつ。

・均質な空間(民族性、言語、文化、国境内における経済=「国民経済」など)と時間

・「国民」は、ナショナリズム、愛国心(他国との「差異」の強調)をもつ←「人々にそのために死ぬことが永遠に生きることを意味するような気持ち」(柄谷行人)をもたせる

市民革命と産業革命が推進力となる

 

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