芥川龍之介の「子供の病気」は、息子の多加志が病気になって入院する事態となったときのことを書いたもの。ノンフィクションである。
次は「白」、犬の話である。
「白」という犬が散歩しているとき、隣家の犬が「犬殺し」につかまえられそうになるのを見た。「黒」という犬である。「黒」は助けてと叫んでいたが、「白」は逃げてしまった。臆病者だったのだ。自宅に帰ると、飼い主の子ども二人が遊んでいた。しかし「白」は黒くなってしまっていたので、飼い主たちは「白」を追い払った。
「白」は家を出て都内をふらついていると、「助けて」という声。その声が、
「きゃあん、きゃあん。臆病者になるな!」というようにも聞こえた「白」は、子どもたちから首に縄をかけられて引きずられている犬を、果敢に助けたのである。
その後「白」は、あちらこちらで踏切事故になりそうだった子どもを助け、軽井沢では富豪のアメリカ人の飼い猫が大蛇に呑み込まれそうになっているのを助け・・・・各地で人助けをし、善行を働いたのである。
秋、心身と共に疲れ果てた「白」は自宅に帰った。自分の小屋の前で、「白」は月にこう云うのだ。
お月様!お月様!わたしは黒君を見殺しにしました。わたしの体のまっ黒になったのも、大かたそのせいかと思っています。・・・わたしは・・この黒いのがいやさに、この黒いわたしを殺したさに、或は火の中へ飛びこんだり、或は狼と戦ったりしました。が、不思議にもわたしの命はどんな強敵にも奪われません。・・・・
独白が終わると、「白」は寝入ってしまった。
飼い主の二人の子どもが「白」を発見して、
「お父さん!お母さん!白が又帰って来ましたよ!」
めでたし、めでたし、である。要は、臆病風を吹かすな、ということである。臆病になるということは、正義ではないのである。
次は「白」、犬の話である。
「白」という犬が散歩しているとき、隣家の犬が「犬殺し」につかまえられそうになるのを見た。「黒」という犬である。「黒」は助けてと叫んでいたが、「白」は逃げてしまった。臆病者だったのだ。自宅に帰ると、飼い主の子ども二人が遊んでいた。しかし「白」は黒くなってしまっていたので、飼い主たちは「白」を追い払った。
「白」は家を出て都内をふらついていると、「助けて」という声。その声が、
「きゃあん、きゃあん。臆病者になるな!」というようにも聞こえた「白」は、子どもたちから首に縄をかけられて引きずられている犬を、果敢に助けたのである。
その後「白」は、あちらこちらで踏切事故になりそうだった子どもを助け、軽井沢では富豪のアメリカ人の飼い猫が大蛇に呑み込まれそうになっているのを助け・・・・各地で人助けをし、善行を働いたのである。
秋、心身と共に疲れ果てた「白」は自宅に帰った。自分の小屋の前で、「白」は月にこう云うのだ。
お月様!お月様!わたしは黒君を見殺しにしました。わたしの体のまっ黒になったのも、大かたそのせいかと思っています。・・・わたしは・・この黒いのがいやさに、この黒いわたしを殺したさに、或は火の中へ飛びこんだり、或は狼と戦ったりしました。が、不思議にもわたしの命はどんな強敵にも奪われません。・・・・
独白が終わると、「白」は寝入ってしまった。
飼い主の二人の子どもが「白」を発見して、
「お父さん!お母さん!白が又帰って来ましたよ!」
めでたし、めでたし、である。要は、臆病風を吹かすな、ということである。臆病になるということは、正義ではないのである。