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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

学力評価研究機構

2019-12-22 18:49:44 | 政治
 安倍政権が行おうとする様々な施策は、あまりに杜撰である。

記述式試験の採点を行う学力評価研究機構はペーパー・カンパニー!? 野党有志が所在ビルを訪問!総合案内板に社名もなく、何階にあるかも「わかりかねる」!?~12.16 第7回 記述式試験導入問題 野党合同ヒアリング

 を視聴していると、要するに記述式入試の業務委託をベネッセにするという目的があって、つまりベネッセにもうけさせるということがはじめにあって、文科省・政府は具体的な入試についてはベネッセにすべて任せてしまう、という無責任なものであることがわかる。

 この間の野党の調査活動をみると、学力評価研究機構はベネッセと一体のもので、学力評価研究機構が独立して存在していないことが十分に推測できる。

 あまりにずさんな文科省に腹が立つが、それ以上にベネッセを儲けさせるようにした安倍政権に腹が立つ。高校生や受験生が反対するのは当然である。

 安倍政権がベネッセをもうけさせるためにこういう杜撰なことをすすめようとしていること、やめさせなければならない。

ドイツと日本

2019-12-22 08:54:11 | 近現代史
 『毎日新聞』記事に、「この国はどこへ これだけは言いたい 東京女子大名誉教授・芝健介さん・72歳 「ナチスの歴史」にこそ学べ」があった。12月17日の記事である。

 そこに、芝さんの「ドイツは今でこそ加害の歴史に向き合う『お手本』の国ですが、その道のりは険しかった。50~60年代の高度成長期、国民はみじめな過去、加害の歴史を忘れようとしていたからです」という文言があった。確かに、戦時下、つまりナチス体制下の加害の歴史を、日本よりはるかにしっかりと追及した。

 しかし、相対的には、である。日本と同じように、ナチス体制下に甘い蜜を吸った者たちが戦後も同じように蜜を吸い続け、さらに退職後は高額の年金生活を送り、そしてこの世を去っていった者たちがたくさんいる。

 先に紹介した『RED』という本で引用されていた『ヒトラーの裁判官フライスラー』(ヘルムート・オートナー著、白水社、2017年)を図書館から借りて読んでみた(以前は本を読んでいて、これはと思う本を購入していたのだが、10%の悪税を払いたくないために、こうして図書館を最大限利用するようになった。)。

 日本では、戦時下、治安維持法などの治安立法により、多くの人々が逮捕され、拷問を受け(そのなかで殺された者もいた)、そして刑務所にたたき込まれた。特高警察の悪行を、検察官や裁判官はそれを支えていたのである。日本の警察や検察は、現在も同じように、証拠を重視するのではなく、関係者の証言を引き出してみずから事件の枠をつくりそこに被疑者らをあてはめていくという強引な手法で弾圧してきた。明らかになった横浜事件のように、多くの出版人や学者らが拷問を受け(拷問で殺された者もいた)、捜査当局により事件が捏造され、被疑者にはひどい判決が下された。
 そうした捜査を主導した警察官、検察官、そしてそれを黙認し捜査当局が描いたとおりの判決を書いた裁判官、戦後の民主化の中で、彼らの戦時下の悪行についての責任は追及されたのか。ノーである。そうした者たちが、戦後も日本の司法を担っていた。日本の司法に問題点が多い理由は、人的に戦時体制を引き継いでいるからでもある。それは官僚も同様である。

 さてドイツはどうか。ドイツも大同小異であることが、『ヒトラーの裁判官フライスラー』でわかった。極悪非道のフライスラーは戦争末期空襲で亡くなったが、彼と同じような悪行をおこなった者たちは、戦後も司法界に生き、そして高額な年金をもらっていたというのだ。

 「俺たちは法に従っただけだ。悪いのは悪法をつくった国会だ!」というのである。彼らには贖罪意識は皆無であった。

 官僚や司法官は、法令に従っていただけ、上司の命令に従っていただけ、と弁明する。かれらには悪行と善行との区別はないのだ。タテの関係にみずからを委ねるだけであって、そこには自分はないのである。要するに「歯車」であること、他の「歯車」にみずからをあわせて、物質的な生活を豊かに過ごせればいいのである。

 残念ながら、日本やドイツだけではなく、こういう人間は無数にいる。主体的な意思にもとづいて行動しないから、責任意識がないのである。たとえみずからの責任が問われようとも、彼らには被害者意識しかない。

 「桜をみる会」に関わっての官僚の答弁をみていると、同じことが繰り広げられていることがわかる。

 闇は深い。この闇にはたして光は射し込むのだろうか。