●綾小路きみまろさん
昨日から、日経新聞夕刊の「人間発見」は、漫談家の綾小路きみまろさんである。
私も何度もTVやDVDを見て、腹を抱えて笑った経験がある。
漫談を収録したCDやDVDの販売枚数は500万枚を超え、関連書籍の売上げも193万冊に上るそうだ。
それだけ、中高年に人気がある証拠である。
話芸だけで、これだけ人気があるプロも少ないのではないか?
日本のチャップリンと言っても良いと思う。
きみまろさんは、プロ中のプロである。
そんなきみまろさんもメジャーデビューしてやっと10年。
それまでは不遇時代はあったそうだ。
ご本人は「潜伏期間」と呼んでおり、地道な努力を続けてきたと言われている。
今回、きみまろさんが好きだから、ブログに取り上げたが、それ以外にも理由はある。
話し方のプロを目指す私にとっては、貴重な体験談が書かれており、成長するための課題が盛り沢山垣間見ることができる。
●きみまろさんの経営戦略
きみまろさんの経験を経営戦略として考えてみよう。
○市場戦略
まず、狙った市場である。
多くも漫才が、若者を対象にしているが、きみまろさんは中高年を対象としている。
中高年市場には、「心から笑える場所が少ない」と分析している。
別な見方をすれば、若者対象の市場は、供給過剰であり、一方中高年市場は供給不足である。つまり、将来、中高年市場は有望であると戦略を立てている。
○差別化戦略
新聞記事にあるキーワードは
「毒舌漫談」
「独自の芸風」
「講演で1時間ずっと笑ってもらう私の芸風は、かなり違う」
これは、まさしく差別化である。
他の芸人との違いを出しており、一番大切な戦略である。
他人と違うことを如何に行うことができるか、これが今一番求められている。
その点、きみまろさんと同じ芸風の人は、見たことない。
おそらくきみまろさんの毒舌漫談は日本でただ一人、世界でただ一人である。
ブルーオーシャン戦略そのものである。
○達成手段
次のどのように達成するかである。
そのヒントになるキーワードは、様々あるので2つに分ける。
・問題点
問題点として、きみまろさんは、次のことを上げている
「話の順番を覚えるのも大変」
「たくさんのファンを満足させる構成を考えるのは本当に難しい」
「ネタを作るのは本当に大変」
「100思いついても使えるのは一つ」
「お客さんに受けるかどうかは、やってみないとわからない」
・具体的対策
問題点を解決するための対策として、様々な切り口から実施ししているようだ。
「地道な努力」
「ステージに上がる数時間前、一番良かった講演の録音を聴き、集中力を高めるトレーニングをしている」
「自分のライブはすべて録音している」
「講演が終わったらすぐに録音を聴き返す」
「ネタを忘れた・滑舌が悪い・リズムに乗れないなど反省ばかり」
「夫婦の日常にありそうな、ごくありふれた話を選ぶ」
「ネタ作りは毎夜、布団の中」
「枕元にメモ帳と鉛筆を置いて、ふと思いついた言葉を書きとめる」
「巣鴨や浅草で「生態観察」をしていた」
「新聞や本を読んだり、TVを見たり、あらゆる機会を通じて、中高年の姿や行動を凝視し、イメージを膨らませる」
●決め言葉
「特別の才能がない私は、努力を惜しみなく続ける以外にない」
きみまろさんのようなプロが、このような言葉を述べている。
自分を振り返ってみると、まだまだ努力が足りない。
きみまろさんのこの言葉に対して、返す言葉はない。