hakuunの未来ノート

将来のため、人生やビジネスに関して、考えたこと、感じたことを綴ります。

人を生かす 稲盛和夫の経営塾 その4 無私の心

2012-08-01 | 企業経営
今日、引用するテキストは、稲盛和夫氏:著「人を生かす 稲盛和夫の経営塾」(発行:日経ビジネス文庫)である。
(なお、引用は、『 』で示した部分である)

今日は、「第四章 自らを高める」について検討する。
サブタイトルは、「尊敬されるリーダーとなる」である。


●従業員を惚れさせることができるか

『人をたらし込むくらいに魅力ある人間性を持っていなければ、従業員はついてこない。従業員がついてこなければ、事業を成功させることも、会社を大きく発展させることもできない』

『資源が乏しい中小企業は、いかに従業員の力を結集させるか、事業成功のカギとなる』

『中小企業の場合、持てる資源は人しかいない。今いる従業員の力を最大限に引き出し、事業を成功させていかなければ、会社を伸ばしていくことはできない。そのためには、何よりリーダーが、仕事の面でも、人間性の面でも、信頼され、尊敬されることが必要である』

そのとおりである。
今までにお付き合いした会社で、成功している会社は、社長がしっかりしている。
一方、二代目、三代目社長で、すでに倒産した会社を何社か知っている。
今考えてみると、社長の人間性について、何らかの問題があったことはいとめない。
残念ながら、当時は、私にはコンサルタントのようにアドバイスする能力もなく、ただただその様子を伺っていたにすぎない。今であれば、何とか助言をすることができたと思うと、残念でならない。


●先人の教えに学ぶ

『従業員を引っ張っていくには自分自身が尊敬されなければならない。未熟な自分(稲盛氏)が人間的に成長するには、人間のあるべき姿を学び、心を高めていかなければならない。そこで私(稲盛氏)は、哲学や宗教なども一生懸命勉強するようになりました』

『お酒を飲んで帰った時でも、寝る前には必ず哲学書や古典などを1ページでも二ページでも繰る。そうして、先人の残してくれた教えを日々ひもといた。また、知識として学ぶだけでなく、日々の経営においても、性格においても、そのあるべき姿を目指して努力を続けた』

私(ブログ筆者)にとって、先人とは、まさに稲盛和夫氏であり、ドラッカー氏であり、カーネギー氏である。偉大な先人の教えを、ブログを通じて引用することで、その考え方の基本を学び、何があるべき姿なのかを考えている。
その結論は、「人格を高めることである」と、最近とくに思うようになってきた。
稲盛氏の言葉によれば、ここに出てきた「心を高める」であり、ドラッカー氏の言葉を借りれば、「真摯さ」である。
ドラッカー氏は、この「真摯さ」は、生まれ持った能力と言っているが、稲盛氏のように日々古典や哲学書を紐解くことで、後天的にも身につけることが可能であると思う。
ということは、この「人格を高める」ことも、「スキル」として、とらえることができないだろうか。スキルであれば、日々トレーニングすることで、「人格形成」を高めることができる。
この場合のトレーニングは、ときには読書であり、座禅であり、修行であり、修養でもある。また便所掃除も該当するだろうし、親孝行もこれに当たる。


●「無私」の心のリーダーシップ

ここでは、稲盛氏は、西郷南洲翁(西郷隆盛)の言葉を引用している。
『己を愛するのは、善からぬことの第一也』
『自分自身を愛することは、一番よくないという意味である』

つまり、自分自身のことしか考えない利己主義はダメである、ということである。

『事業がうまくいかなかったり、失敗したりするのは、自分自身を大事にしすぎるからである。リーダーとして立派な仕事をしようと思えば、私心を挟まず、人間として正しいことを正しいままに行うことが大事である。これは、現代においても通じる、リーダーが持つべき心のあり方だと思う。事業を行うリーダーが、「自分は金儲けしたい」「自分に都合のいいいようにしたい」という考えであっては、従業員から信頼され、尊敬されるはずがない。そのようなリーダーのもとでは、企業経営は上手くいかない』

『リーダーとなり集団をまとめ、集団を発展させていくためには、自己犠牲を厭わない「無私」の心が必要である。そうすることができる勇気を持った人でなければ、リーダーは務まらない』

『地位や名誉、金といった利己の欲望を抑え、集団のために謙虚な姿勢で尽くす、「無私」の心を持ったリーダーであれば、部下は尊敬し、心から従ってくれるはずである。人を動かす原動力は、公平無私なリーダーの姿なのである』

『自分を磨き、人格を高め、尊敬されるようになれば、リーダーの指し示す目標に向かって、従業員はリーダーと一体となり、自然と努力してくれるようになる。このような尊敬されるリーダーとなれるかどうかが、会社の発展を決めていくことになる』

さすが稲盛氏である。

当時、電電公社が独占していた通信事業に対して、私財1000億円を投じて第二電電(現au)を創設した際も、「国民のためになるか」「私心は無いか」と自問自答したという。
さらに、日本航空の再建にしても無償で、尽力をつくされている。
本当に、頭が下がる思いである。

より多くの経営者の方々が、稲盛氏のような考え方に基づき行動すれば、日本はよくなると思う。
また、私自身も、稲盛氏の考え方を学び、社会に貢献していきたいと考えている。



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