信州子ども山賊キャンプの想い出会(報告会)を、名古屋、東京で開催しました。
両会場、あわせて600人くらいの参加でしょうか。
参加者には山賊キャンプの報告書も配布されました。
その報告書に掲載している私の挨拶を紹介します。
法人グリーンウッド自然体験教育センター
代表理事 辻 英之(最長老 だいち
2011年度の夏の信州こども山賊キャンプが、関係各位のご理解ご協力をいただき、8月29日を持ちまして大過なく終了いたしました。この場をお借りしまして、キャンプを支えていただきました皆様に、主催者を代表して心より御礼申し上げます。
さて、今年も全国から1137人の子どもと343人の青年ボランティアリーダーが参加し、質量共に充実したキャンプを運営することができました。近年、日本でも有数の規模と内容を持つキャンプに成長しており、当センターの教育活動に対するご理解とご期待の広がりを感じております。
ご存知の通り、キャンプが開催される泰阜村は、今なお国道が走っておらず、信号もなければコンビにもありません。人口も1,900人を切った、まさしく「何もない」と揶揄されるほどの典型的な山村です。このような村に、ひと夏で村の人口に迫りそうな青少年が参加する山賊キャンプについて、「このようなへき地にどうしてこんなに青少年が集まるのか」という疑問が多方面から寄せられております。
その疑問に対する答えはいたってシンプルで、山賊キャンプでは「自分たちのことは自分たちで決めることができる」からだと考えます。期間内のプログラムを自分たちで知恵を絞って決める。毎日毎日食事のメニューは自分たちで決める。暮らしの仕事の役割も自分たちで決める。キャンプが始まったばかりのときは自分で決めることに戸惑い気味の子どもたちが、最終日にはキャンプの時間やスケジュールが「自分たちの手にある」という確かな実感を抱くようです。この実感が、山賊キャンプが人気がある大きな理由です。
この実感を現実の暮らしのなかで抱くことのできる村が、山賊キャンプのおひざもとである泰阜村です。この村の人々は、少ないながらもそれぞれの財(時間、労働、食料、情報、お金など)を持ち寄って、力を合わせて豊かな地域コミュニティをつくり上げてきました。困ったときはお互い様、何かあったら寄り合ってみんなで決める。その時に大事なことがあります。それは、一人一人を集落自治の主権者として尊重し「支えあう」ことです。
お互いを尊重し、認め合い、支えあうからこそ、自分たちで決めることが可能になるのです。村の人々が積み重ねてきたこの「支えあい」と「自己決定」の文化と歴史が、山賊キャンプを土台から支えています。
今春発生した東日本大震災におきましては、この「支えあい」「お互い様」の文化を持つ泰阜村の教育力を、震災支援に役立てたいと強く想い、福島県のこどもたち47人を山賊キャンプに招待しました。
自然の猛威におびえきった東日本の子どもたちに、自然との接触を断たれてしまった福島の子どもたちに、もう一度自然の素晴らしさを伝えたい。友達と離れ離れになることを余儀なくされた子どもたちに、もう一度仲間の素晴らしさを伝えたい。そして全国の子どもたちに、過酷な状況に陥ってもなお周囲の人と協調をとりつつ生き抜くための「支えあいの気持ち」を育成したい。そしてすべての子どもたちと共に希望・未来を語りたい。そう強く願い、被災したこどもたちのキャンプ招待に取り組んできました。
この招待キャンプの実現には全国から多くの支援金や支援物資、そして「支えあいの心」が寄せられました。「支えあい」「お互い様」の文化を持つ泰阜村に、さらに「支えあいの心」が集まり、そのなかで山賊キャンプが開催されました。この「支えあい」の文化のなかに身をおくと、ことさらに心地よいものです。きっと、山賊キャンプに参加したすべてのこどもたちとすべての青年ボランティアリーダーは、今後周囲の人たちに対して「支えあいの心」を発揮してくれることでしょう。
時代はこどもたちへの質の高い教育活動を求めています。今後も山村の暮らしの文化に内在する教育力を信じぬき、参加する子どもたちはもちろんのこと、その保護者の皆様や、青年ボランティアや学術機関、泰阜村の人々など、関わる人々すべてが良質な学びを培うことのできる山賊キャンプを目指して、より一層努力して参ります。今後の益々のご理解とご支援をお願い申し上げ、御礼のご挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。
両会場、あわせて600人くらいの参加でしょうか。
参加者には山賊キャンプの報告書も配布されました。
その報告書に掲載している私の挨拶を紹介します。
御礼に代えて
法人グリーンウッド自然体験教育センター
代表理事 辻 英之(最長老 だいち
2011年度の夏の信州こども山賊キャンプが、関係各位のご理解ご協力をいただき、8月29日を持ちまして大過なく終了いたしました。この場をお借りしまして、キャンプを支えていただきました皆様に、主催者を代表して心より御礼申し上げます。
さて、今年も全国から1137人の子どもと343人の青年ボランティアリーダーが参加し、質量共に充実したキャンプを運営することができました。近年、日本でも有数の規模と内容を持つキャンプに成長しており、当センターの教育活動に対するご理解とご期待の広がりを感じております。
ご存知の通り、キャンプが開催される泰阜村は、今なお国道が走っておらず、信号もなければコンビにもありません。人口も1,900人を切った、まさしく「何もない」と揶揄されるほどの典型的な山村です。このような村に、ひと夏で村の人口に迫りそうな青少年が参加する山賊キャンプについて、「このようなへき地にどうしてこんなに青少年が集まるのか」という疑問が多方面から寄せられております。
その疑問に対する答えはいたってシンプルで、山賊キャンプでは「自分たちのことは自分たちで決めることができる」からだと考えます。期間内のプログラムを自分たちで知恵を絞って決める。毎日毎日食事のメニューは自分たちで決める。暮らしの仕事の役割も自分たちで決める。キャンプが始まったばかりのときは自分で決めることに戸惑い気味の子どもたちが、最終日にはキャンプの時間やスケジュールが「自分たちの手にある」という確かな実感を抱くようです。この実感が、山賊キャンプが人気がある大きな理由です。
この実感を現実の暮らしのなかで抱くことのできる村が、山賊キャンプのおひざもとである泰阜村です。この村の人々は、少ないながらもそれぞれの財(時間、労働、食料、情報、お金など)を持ち寄って、力を合わせて豊かな地域コミュニティをつくり上げてきました。困ったときはお互い様、何かあったら寄り合ってみんなで決める。その時に大事なことがあります。それは、一人一人を集落自治の主権者として尊重し「支えあう」ことです。
お互いを尊重し、認め合い、支えあうからこそ、自分たちで決めることが可能になるのです。村の人々が積み重ねてきたこの「支えあい」と「自己決定」の文化と歴史が、山賊キャンプを土台から支えています。
今春発生した東日本大震災におきましては、この「支えあい」「お互い様」の文化を持つ泰阜村の教育力を、震災支援に役立てたいと強く想い、福島県のこどもたち47人を山賊キャンプに招待しました。
自然の猛威におびえきった東日本の子どもたちに、自然との接触を断たれてしまった福島の子どもたちに、もう一度自然の素晴らしさを伝えたい。友達と離れ離れになることを余儀なくされた子どもたちに、もう一度仲間の素晴らしさを伝えたい。そして全国の子どもたちに、過酷な状況に陥ってもなお周囲の人と協調をとりつつ生き抜くための「支えあいの気持ち」を育成したい。そしてすべての子どもたちと共に希望・未来を語りたい。そう強く願い、被災したこどもたちのキャンプ招待に取り組んできました。
この招待キャンプの実現には全国から多くの支援金や支援物資、そして「支えあいの心」が寄せられました。「支えあい」「お互い様」の文化を持つ泰阜村に、さらに「支えあいの心」が集まり、そのなかで山賊キャンプが開催されました。この「支えあい」の文化のなかに身をおくと、ことさらに心地よいものです。きっと、山賊キャンプに参加したすべてのこどもたちとすべての青年ボランティアリーダーは、今後周囲の人たちに対して「支えあいの心」を発揮してくれることでしょう。
時代はこどもたちへの質の高い教育活動を求めています。今後も山村の暮らしの文化に内在する教育力を信じぬき、参加する子どもたちはもちろんのこと、その保護者の皆様や、青年ボランティアや学術機関、泰阜村の人々など、関わる人々すべてが良質な学びを培うことのできる山賊キャンプを目指して、より一層努力して参ります。今後の益々のご理解とご支援をお願い申し上げ、御礼のご挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。
代表 辻だいち