『植物 オヤジ』

日々出会う植物たちの「たくましさ」と「美しさ」を再発見する、ハードボイルド・ボタニカルライフ。音楽、美食なども。

三つ目の花

2018年05月22日 | 植物

約束のように三つ目の花が静かに開いた、アマリリス。
二つ目の開花から三日という絶妙な間を置いて。
二つ目まではどちらも出張中で開花に立ち会えなかったのでとてもうれしい。
別嬪さんの三姉妹のように華やかで美しい。
あともう一つ楽しみが残っている。
球根もそろそろお疲れかと思うが、最後の蕾を無事に咲かせてほしいものだ。



トアロード デリカテッセン

2018年05月21日 | 日記

神戸は元町にあるトアロード デリカテッセン。
近隣にに20年以上住んでいるが初めて伺った。
きっかけは村上春樹さんだ。
春樹さんはかなりの食通(小説を通してしか知りませんが)で
サンドウィッチやオムレツなど平凡かつ難解な料理に関する記述が多い。
「世界の終わりとハードボイルド ワンダーランド」には美味しいサンドウィッチの記述がある。

私はソファーに対するのと同じようにサンドウィッチに対してもかなり評価の辛い方だと思うが、そのサンドウィッチは私の定めた基準線を軽くクリアしていた。パンは新鮮ではりがあり、よく切れる清潔な包丁でカットされていた。とかく見過されがちなことだけれど、良いサンドウィッチを作るためには良い包丁を用意することが絶対に不可欠なのだ。どれだけ立派な材料を揃えても包丁が悪ければおいしいサンドウィッチはできない。マスタードは上物だったし、レタスはしっかりとしていたし、マヨネーズも手づくりか手づくりに近いものだった。これほどよくできたサンドウィッチを食べたのはひさしぶりだった。
(本文より引用)

20年くらい前に読んで感動した一冊。
どうもそのサンドウィッチのモデルになっているのがこのお店らしい。
春樹さんのエッセイに「生涯で一番美味しいサンドウィッチ」だと出ていたので間違いないだろう。
一階が切り売りのハムやチーズ、ワインの店舗、二階はレストランだ。
サンドウィッチとレーベンブロイ、白ワインをいただいた。
パンの耳は香ばしく軽くはじけるクリスピー感があり
中はしっとりとして、また弾力がある。
こんなに薄いのに軽く噛んだ歯を跳ね返すほどだ。
チーズは口の中でいつのまにかとけて後味だけを残す。
サーモンもローストビーフも美味しかった。
春樹が言うように今までで一番美味しいサンドウィッチだった。
私の表現力では言葉にならないので、上記の引用文を参考にしてみていただきたい。
その通りだと思いました。

レストランはサンドウィッチ ルームといわれていて、最初はサンドウィッチ教室的な場所だったようです。
落ち着いた良い部屋だった。
接客も申し分なかった。
帰りに一階で買った品物を持って玄関まで送り出して頂いたほどだ。
創業は昭和24年というから私よりも一回りも先輩なのだ。
20年前に心の何処かに届いた手紙が今開いたような気がする。
しかもこんなに近い場所で。
文学の力とはすごいものですね。
いや、それ以上にこのお店のあり方が素晴らしいのだろう。
しばらくは通うことになりそうだ。




生きる

2018年05月20日 | 植物

一週間前に摘心した日々草。
器の中で今も元気に咲き続けている。
切り落とした時にはまだ硬い蕾をどんどん開いてくれる。
健気というほかない。
明日をも知らぬ天真爛漫な少女のように。
永遠があるかのように懸命に学ぶ老人のように。
生きているということ。
今生きているということ。

日々草殿、そういうことですね。

アマリリスの至福

2018年05月20日 | 植物

アマリリスに2つ目の花が咲いた。
もうかわいくてたまらない。
全体的な雰囲気は清純だが細部は官能的。
質感のある花弁は光を透かして柔らかく映る。
触れずにはいられないほどの吸引力だ。
そして3つ目、4つ目の蕾が膨らんできた。
ああ、アマリリスの至福はまだ続く。