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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

体育会系ソフトCERVUS

2006-09-20 | 研究ノート
・広島大4年生のSさんをゲストに迎えて,学生が所内にいるという久しぶりの健全な状態(?)になる.ここ富良野では,色んな樹木のジーンフロー研究を集中的に展開している岩魚沢という世界的に有名な(いやもとい,有名にしたいと当方が勝手に思っている・・・)研究サイトがあるのだが,Sさんはこの岩魚沢でカツラのジーンフロー研究を行ってくれている.主な調査やサンプリングを既に終了しており,今回の滞在期間中にはデータ解析,論文執筆準備,フィールド調査の残務処理がメインである.

・カツラの研究はSさんの先輩にあたる,これまたSさんが修士課程で行っていたものを引き継いだという格好になっている.マイクロサテライトの場合,人が違うと読み方が違ったりして,まずはその整合性をチェックするのに一苦労,ということが多い.今回も,エクセルのIF式などを駆使して,おかしな座やアレルをつぶしていく.一通り整理したところで,まずはCERVUSというシカの親子解析用に作成されたソフトを使って,実生や種子の親子解析に挑んでみる.

・このCERVUSというヤツ,非常に優れたソフトなんだが,途中の過程がブラックボックスになっていて(というよりも,常人には理解できずにブラックボックス化してしまっていて・・・),答えがでてくるのはいいのだが,「ほんまかいな!?」という不安がつきまとう.また,「IDがダブっているぞ」なぞと警告が発せられて解析が止まったりするのだが,ここであきらめずに全く同じINPUTファイルをいったん開いて上書き保存するだけで今度は進んだりする,という妙に体育会系なソフトなのである.

・あれこれと試した結果.ついに答えらしきものが出る.何度やっても,この瞬間は楽しく,二人して妙なテンションになってしまう.手にしたと思った答えが実は幻だったりすることが結構あるわけなんだが,とっかかりとしては上首尾であろう・・・.明日はいよいよ種子散布と花粉散布の実態に迫っていくか!ということで,本日はこれにて閉店.

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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CERVUS (とみー@川渡)
2006-09-22 00:48:45
CERVUSはたしかに便利だけど,排斥できないときの検定結果には,「えっ?」って思うことがよくありますね.しかも,2番めと3番めのサンプルで尤度比検定かけても有意になるし….やっぱし,父性解析の基本は,「有能」なマーカをたくさんつかって,きちんと排斥してやることなんでしょうね.と,いまつくづく感じてます.うちのサンプルは9座つかっても全然排斥できないので,しかたなくCERVUSの尤度比検定をつかってます.今度,ヒマがあるときに最近Mol. Ecol.にでた,Bayesianな父性解析を試してみよと思ってます.
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ベイズ論文のその後 (goto_note)
2006-09-22 23:38:47
・コメントありがとうございます.Mol EcolのBayesian論文についてはイギリスのシェフィールド大学のTさんからの情報で,まもなくRでのプログラムを公開する予定(もう公開ずみだったりします?)らしいです.

 個人的には,目的によっては,必ずしも親を決める必要はないと思っているのですが,とりあえず無理やりでも決めて概観をみるにはCERVUSはやはりありがたいですね.
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