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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

母子里のアカエゾマツ

2006-08-25 | フィールドから
北海道大学雨龍研究林にYさんを訪問.母子里の森林を見せていただく.もっぱら案内業務ばかりのこの時期に,こうして案内していただく側になるのは新鮮だ.森に入ってまず目に付くのはササの厚さである.ここ母子里では,積雪が2m以上になるとのことで,そのぶんササの高さは富良野とは比較にならない.標高400mくらいでクマイザサからチシマザサに変わると聞いて驚く.富良野では700m付近に境界があるのだが,それだけ厳しい環境なのだろう・・・

・長期モニタリングを行っているサイトでは,アカエゾマツの巨木が目に付く.富良野では,湿地,蛇紋岩帯,高山帯など,他の植生が入ることができないところにひっそりと集団を作っているのだが,ここでは富良野におけるエゾマツの役割(?)をアカエゾマツが果たしているようだ.それにしても,どうしてここにはエゾマツがないのだろう・・・.ミズキ,オニグルミ.ウダイカンバなども欠くと聞き,何か納得できるシナリオがないだろうかとしばし考える(が,なかなかいいアイデアは浮かばない).

・地はぎ処理後の実生定着の様子を見せていただく.地はぎ面積は0.3-0.6ha程度と富良野とほぼ同じ.ダケカンバ,トドマツ,アカエゾマツが目立つ.アカエゾマツが普通に更新していることに少し驚くが,枯死していく割合はやはり高らしい.地がきの方法などについて現場でしばし議論する.

・富良野の地はぎ論文について,相談に乗っていただく.論文を作成するためには,何がその論文の「オリジナリティ」なのかを明確に位置づけることが大事だが,案外本人には見えなくなってしまっていることもある.この論文では,400-750mくらいまで標高別に地はぎ処理を行っているのが一つの面白さであり,凸,平,凹という3つの地形を人為的に設定したというのがもう一つの面白さなのだが,議論するうちに,地はぎする標高によって更新する樹種構成などが異なることが「(世界的にみれば)面白かったのだ!」と整理できる.やはり,その分野で既に論文を書いておられる方のアドバイスには重みがあり,「何事にも先達はあらまほしけれ・・・」と実感したのであった.

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