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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

フィンランドからのゲスト

2006-09-04 | フィールドから
・フィンランドから2名の研究者を迎えて,林内案内.樹木園,直営現場,保存林,ミズナラ優良木,選木実習林,といった内容でエクスカーション.6日もK大の実習案内ということで,いよいよ案内業務が忙しい.案内は当然英語で行ったのだが,My英会話には日々の調子というものがあり,本日はどうにも調子がよろしくない.リスニングの方はというと,彼らの話すスピードは決して速いとは思わないのだが,なぜか頭に入って来ず,まだまだ修行が必要である・・・.

・現在,直営現場は1910年代に発生した山火事後に更新した広葉樹林である.ここでは1名のゲストの専門ということもあって,土場での生産方法や機械について熱心な討議が繰り広げられる.当方はやや蚊帳の外ということもあり,その隙にベテラン職員Sさんからウダイカンバの丸太生産の奥義について教えを乞う.丸太の曲がり,節などをどのようにうまく外して,いい素材を生産するか,その真剣勝負に感銘を受ける.いつも思うことだが,そこには厳然たるストイックな世界がある.

・4時から講義室にてセミナーをしていただく.日本とフィンランドの比較という観点で概要を説明してくれたので非常に分かりやすい.国土面積や森林率は似ているが,林業がGDPに占める割合などはもちろん大きく異なる.林業対象樹種は、ヨーロッパアカマツ,ヨーロッパトウヒ,カンバの3種類と単純である.興味深かったのは,機械化が進んでいるフィンランドではオペレータや運材車のドライバーの労働力の確保が重要で,逆に,そこにはきちんとした需要があるらしい.

・若い研究員は,Un-even forestの施業を研究しているとのこと.フィンランドではかつては択伐が行われたが,良木伐採が一般的であったため,残された森林の価値が下がった.そのため,施業方針は皆伐+植林(とくにヨーロッパトウヒ)か,皆伐+天然更新が中心らしい(その2つのシステムの割合は半々とのことである).

・こちらでは,択伐+天然更新だけではうまく整合しない場合も多いので,群状択伐+植林,群状択伐+天然更新補助作業といった,小面積皆伐を取り入れた方針転向も必要か?と考えているだけに,その方向性はまるで逆である.皆伐+天然更新で問題がないのであれば,なぜに難しそうな択伐に挑戦するのか,やや理解に苦しむのだが.フィンランドでは私有林のオーナーの要望やNGOの皆伐に対する否定的な意見も多いらしい・・・

・とかく,ここ北海道の天然林施業にとって参考になるのか,参考ならないのかはよく分からぬが,一度,フィンランドに行ってみたい気にはなってくる.そういえば,アメリカで知り合ったNikkanenはフィンランドだったか・・・.今度,確かめてみよう.

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