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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

ヒノキ採種園の球果採取

2008-10-14 | フィールドから
・先週で研修も終了したということで、秩父の天然性ヒノキの挿し木個体による採種園の球果採取。Sさんからの引継ぎである。3人で一列に並んで、球果を残さず採取しては紙袋に入れる。採種園は合計230個体ほどであるが、球果を1つ残らず採取するので慎重に調査する。



・今年は豊作だと思って覚悟していたのだが、実際に採取を始めてみるとそうでもなさそう。ただし、個体によっては”かなり”よくなっているものもある。午前中に3分の2が終了。午後から残りを採取しようとしたところ、予報よりも3時間ほど早く雨が落ちてきた。



・雨には勝てないので、作業室で球果をカウントしつつ、球果生重の測定。地道な作業だが、種子生産量を推定するためにも重要なステップである。



・ところで、本採種園構成個体の種子産地標高は、900、1300、1600、1800mと4標高域からなっている。ここでふと思いついたのだが、900mもの標高差があるということは、ちょうどトドマツの相互移植と同じ標高レンジである。そう考えると、この採種園も産地試験とみなせるわけだ。

・植栽してから毎年種子生産の状況を調査してきたということは、「高標高ほど結実が早くなるか?」という針葉樹の”Reproductive schedule”を探るには格好の材料になるのではないか?というアイデアがひらめいた。今まで測定してきた種子採取データも活きるわけだし、今回はこうした視点で解析を試みることにしよう。そんなこんなで、急に楽しみが増えた種子採取作業。それにしても、こうした球果採取の作業をやっていると、育種家になった気がして何だかちょっと嬉しい。