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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

カメムシの逆襲

2008-04-16 | 研究ノート
・終日、田無である。雨が続いたが、アオキの人工交配の袋は無事であった。花がだいぶしおれてきて、袋がけが必要なのもあとしばらくであろう。じたばたと書類作成など。意外なほど時間がかかってしまう。あっという間にお昼。



・明日に迫るセミナーの準備。練習しつつ、細かいところを直していく。



・やはり、一日、田無にいると落ち着く・・・はずなんだが、部屋に入り込んだカメムシがぶんぶんとうるさい。意を決して、厚手の軍手をつけてむんずとつかみ、窓の外へ。ほっとしたのもつかの間、またもやブーンという音。うっ、まだいたのか・・・。

・またもや厚手の軍手でつかもうとしたが、素早く逃げられてしまう。さらには、飛び立った後に、こちらに突然向かってきたりして焦る。何もしなければほっとくんだが、飛んでいる音が少しスズメハチに似ていて、落ち着かない。ううむ、手ごわい。残されたにおいにも閉口しつつ、今更ながら、樹木園の苦労が思いやられる。

天気予報

2008-04-14 | 研究ノート
・天気予報がよく当たるような気がする。やはり、観測ポイントや観測者が多いせいなのか、精度が以前とは全く異なる気がしてならない。「午前中雨で午後から晴れる」といった、時間的な予報も結構正確だったりするのである。とはいえ、降ったからどう、というものでもなく、合羽を着て自転車で行くだけのことである。

・なぜか全くジャンルの異なる3つもの原稿を同時並行的にチェックすることになる。こうした論文チェックも抱えていないときには全然なかったりするのだが、不思議とシンクロするものだ。そういえば、自分で論文を書く場合でも、投稿したタイミングはズレているのに、早く投稿した雑誌の審査が遅れたりして、同時に近いタイミングで審査結果が次々と送られることがよくある。

・職場から帰ろうとしたとたんに、にわか雨。見事なタイミングである。しかし、夕焼けを消すほどの勢いはなく、「春雨じゃぬれていこう」という気分。花粉症の当方にとっては、雨が降っている間はマスクをしなくても大丈夫な時間が確保されるわけで、恵みの雨ともいえる。

localとnon-local

2008-04-11 | 研究ノート
・アオキの人工受粉2回目。昨日の霧雨でまたもや交配袋の中に雨が入っているものがある。枝がしなると交配袋の口が上を向き、そこから水が入ってしまうようだ。袋を取り外すと、個体によっては、既に花の時期が終わっているらしきものもある。全体的にあと1週間ほどで開花期は過ぎ去るのではないだろうか。前回、つぼみが多かった個体を中心に、2回目の人工授粉。



・母樹として任意に選んだ6個体のハプロタイプをYさんが調べたところ、なんと2個体がlocalではないことが分かった。既に、ここでもnon-localが入っていたわけだ。幸運だったのは、結果的にlocalとnon-localの正逆の人工授粉ができたことである(まだまだ油断は禁物だが・・・)。もう一つ幸運だったのは、localとnon-localの開花期が確認できたことである。

・日当たりの加減などもあるのだろうが、アオキの開花期は個体によって、かなり異なる(1週間から2週間くらいか?)。しかし、少なくとも同所的に生えていたlocalとnon-localではどちらかが極端に早い(あるいは遅い)ということはないようだ。つまり、生殖隔離などがなければ、両者が交雑するチャンスはある、といえそうである。

・しかし、localとnon-localは見た目では分からないものだ。実は、母樹のうちの1個体である斑入り個体がnon-localではないかと疑っていたのだが、これは自生タイプであった。別にnon-localが貧弱ということもなく、元気に育っているようである。長期生態系プロットの中にどのくらいnon-localな個体が入っていて、それらがどのように生育しているかを調べるだけでも面白そうである。

無性繁殖技術

2008-04-09 | 研究ノート
・Sさんと技術スタッフ全員に協力してもらい、スギ4倍体と2倍体(クモトオシ、アヤスギなど)、ニオイヒバ4倍体と2倍体(コントロール)を挿し木。倍数性育種は既に過去の遺物という感が強いが、実はまだ可能性があるのではないか、と思っている。ちなみに、挿し木は福岡時代に八女スギ品種の原種木の挿し木を行った以来である。ずいぶん時間が経っていたので細かい段取りとかは完全に忘れている。そこは周りがフォローしてくれて、午前中で終了。



・唐突に思い立って、久しぶりにクロマツの挿し木にもトライ。2年生苗にラベルをつけて、不定芽を採穂。クロマツにラベルが付けられ、苗畑に並んでいる姿はD論を彷彿させる。このラベルには表裏に油性マジックと鉛筆でそれぞれ個体番号が書いてある。日光の力というのはすさまじく、実は油性マジックはかなりの確率で消えてしまうのだが、鉛筆は案外残るのである。それにしても、早めに配置図を作成しないといかん。



・2年生にしてはサイズが少し小さいこともあり、挿し木可能な挿し穂は個体当たり1本から3本程度である。ガラス室で調製して針葉を少なくした後、オキシベロンの原液を一瞬漬けて、案内棒で空けた穴に挿しつける。ミストは1日2回、2分間の設定。うまくいけば、接種前にクローンを確保できるので、”線虫に弱いマツ”が作出できるという算段だ。



・挿し木の一連の作業が終わり、青々とした挿し穂が整然と並んでいる姿を見るのは楽しい。いかにもうまく行きそうな気がするのだが、まずは2週間くらいが勝負である。これらの材料が、当社(?)の”売り”になる日は近い!?

Breederの気持ち

2008-04-07 | 研究ノート
・今日の午後から雨の予報。午前中は昨日からの穏やかな日和が続いている。部屋にいってみると、水挿しした枝でタイプの異なる2クローンの雄花が開いている。これは”出来る分だけでも交配をしてしまうしかない!”ということで、Tさんに手伝ってもらいながら、慌てて人工授粉の準備。袋を開けてみると、予想以上に雌花が開いている。土日の暖かい日和で一気に開花したようだ。



・雄花はステージが進むと葯が裂開し、花粉がばふっと出やすい状態になる。一方で雌花はめしべがほんのわずかに”べたっ”としており、直接、雄花を着けてみると、花粉がついたのが分かる。ほほう、これはマツ等の人工授粉よりはよほど受粉させているという実感があるな。



・こうして受粉作業をやっていると、育種家になった気がして(品種づくりをしている気分)楽しい!もちろん、本当に受粉に成功したかどうかが分かるのはしばらく先だけれど・・・。それにしても、よく観察すると、花弁の色には個体差がかなりある。色が抜けたように黄色味を帯びたものもあれば、鮮やかな紫もあり、小さいながらも楽しめる。



・雌のうち1個体は斑入りである。また、29の交配セットのうち、1つだけは雄が斑入りとなっているので、斑なし×斑入り、斑入り×斑なしの両方の組合わせもできることになる(取らぬ狸のなんとやらだが・・・)。とにもかくにも、楽しみができたわけだが、明日は”春の嵐”らしい。交配袋が吹き飛んだりしなければいいのだが・・・。

入り口にて

2008-04-04 | 研究ノート
・午前中、田無にYさんを迎えて、アオキの人工交配の相談と袋がけした個体のラベル付けとサンプリングを行う。まだまだ咲かないと思っていたら、あらら、1個体は袋の中で既に雌花が開花しているものがある。Yさんに持ってきてもらった雄花を水挿ししたのだが、雌雄の開花タイミングをうまく合わせることができるかどうか、が成否の鍵となりそうである。

・午後から弥生では、進入生に対する各種ガイダンスが行われる。当方もその一つの司会となっていたのだが、ぎりぎりまで調整に追われる。肝心なことが分かっていなかったりして、最後に慌てて教えてもらったり・・・。何とか無事に終わったものの、内心ひやひやである。それにしても、今まで、いかにこうした学内行事から遠いところに居たか、ということを痛感してしまった。

・5時過ぎには、農学部進入生の歓迎会で立食パーティが生協で開催。専攻に新しく加わった学生たちの顔を少しでも覚えたいと思って話しかけてはみたものの、案外、在校生との区別が難しいことが分かった(そもそも在校生をほとんど知らないからなんだけど・・・)。胸に”花”でもつけておいてくれると助かるんだけどねえ。”大学院入学”というのは、実のところ、当方にとっては経験ないものなのである。彼らと話していると、「色んな可能性を秘めつつ、時間がありそうであまりない」という、大学院入学ならではの、誇らしいけれど少し大人びた、そして少し複雑な心境を垣間見た気になった。

宴の後

2008-04-03 | 研究ノート
・目が赤い。花粉症であることに屈せず、昨晩は酔いしれてみたのだが、やはりそんなに甘いものではなく、鼻づまりと目の”ゴロゴロ”感は大したものである。どうしてこんな体になってしまったのか・・・。やはり鼻の粘膜をレーザーで焼くという修行(?)を行ってから、よりひどくなってしまっている気がする。

・まずは昨晩の宴の後を片付け、所内会議。前半期のスケジュールがようやく大体把握できた。来週には倍数性スギとニオイヒバの挿し木をすることも決まり、少しずつではあるが、面白い材料を確保するための下準備がそろいつつある。こういう材料と生理実験とか遺伝解析などを組合わせると、オリジナルな研究が展開できそうな気がするのだが・・・。

・袋がけしたアオキの花は一向に咲く気配もなく、交配適期は来週末くらいにずれこむのかも・・・。雄花を手にとって花粉を出そうとするが、ある程度ステージが進まないと花粉は落ちないことが分かった。当方同様、昨晩の余韻と陽気に誘われてふらふらと出てきたKさんとばったり会い、しばしアオキの繁殖生態についてディスカッション。

・午後になり、ようやく少し落ち着きを取り戻し、Oさんから送付されていたトドマツ標高別の原稿の修正にかかる。が、なかなか集中できずに、なんだか気もそぞろに。途中からようやく集中し、マテメソまで完了。そういえば、そろそろ4月末のゼミ準備にかからねば・・・。

花より団子

2008-04-02 | 研究ノート
・本日は当試験地の花見。何でも40名を超過する人々が訪れるということで、皆さんその準備に追われている。当方はといえば、まずは挨拶をすればよいということなので、気になって仕方のないアオキの袋がけを行う。3個体×7袋の21袋をきちんとした設計として、後は、いくつか遊び?の交配を行えるように小さい個体にも袋がけをする。

・アオキの場合、枝がそれほど頑丈ではないので、袋がけを行う花序を選ぶのが難しい。実はややこしいので除去することにして、大きすぎる葉もある程度カットする。こういう仕事はやりながら少しずつ改良されていくものだが、途中から葉を半分程度カットしてやると、かえって花の保護にもよいことが分かった。また、あまり欲張らずに、思い切って余分な枝はカットした方が良さそうである。



・いつもそうなのだが、終わりごろになると要領が固まってきて、段取りがよくなる。要領を覚えた頃に作業は終了となり、やるとしても次回は来年である。来週ごろに交配できるだろうか。思ったよりもアオキの開花期は長いようで、いかにも開きそうな花序のなかでも2,3の花が咲いた状態でそのままになっている。手探り状態だが、手近に材料があると、毎日の状態を見ながら交配できるというのは素晴らしい!

・花見では、大勢の方々が参加してくれて、盛大な会となった。粋なはからい(?)で、1人につき、いなりずし4個と各種団子3本が割り当てられ、まさに花と団子を見比べながら飲むという趣向である。それにしても、ライトアップされた夜桜は見事であった。

斑入りの疑問

2008-04-01 | 研究ノート
・初出勤。本日は晴天につき,気持ちも新たに自転車で勤務地に向かう。少し早く着いてしばらく園内を散策。最近、園内にやたらと繁茂しているアオキが気になる。雌雄異株であるが,同所的に生えている個体では雄株の方が早く花をつけているようだ(雄性先熟か・・・?)。


・雄花は、ほとんど赤紫色の花びらだが、一個体だけ薄い黄色のものがあった。
場所によっては雌株でも花をつけているものも目につくが,まだわずかである。



・看板に”斑入りアオキ”と名前がついているものが植栽されているのだが、どうやら自然に定着もしているようだ。斑入りアオキの幼木が固まっているところもあり,鳥散布で定着したものではないかと思われる。いかにも光合成とか”不利”な気がするのだが、アオキは気にもしていないのだろうか・・・?しかし、いざ開花個体を探すと、ノーマルなものに比べて小型の個体が多いようにも感じる。



・そもそも、なぜ”斑入り”ができるかということなのだが、突然変異説とウイルス説というのがあるらしい。これを検証するには,”ノーマル×斑入り”で交雑すればはっきりする。ということで,いきなり交配実験をすることに・・・。さらには,4倍体スギとニオイヒバの挿し木増殖も計画し,着任早々,我ながら落ち着きのない性分というか,なんというか・・・。季節柄,急き立てられるような気分で、北海道で過ごした早春の気分を思い出した。

・挨拶して顔合わせをした後,再び,園内を案内してもらう。細かいスペースに色々な材料が植栽されているわけだが,これをいかに活用するかとなるとなかなか難しい。しかし中には4倍体のスギやニオイヒバなどもあり,また,“七五三"とよばれているらしい枝によって葉の形態が異なるカエデなど,育種母材としては面白いものが揃っている。

・いきなり、アオキに袋がけをしようと考えたのだが,今日は木々の枝がこすれあうほどの強風で,さすがにあきらめて,明日以降にかけることにする。明日はいよいよ当試験地のメイン(?)イベントの花見である。風がやんで穏やかな天気になることを期待したいところである。

桜の花びら散るたびに

2008-03-30 | 研究ノート
・子供と二人で近所の探検。この辺は小さい路地がごちゃごちゃに入り組んでいる。公園では桜が満開である。



・桜を愛でながら遊んでいると,花びらが“くるくると”落ちてくる。桜の花の命は短いねえと観賞に浸っていると,ふと変なことに気がついた。桜の花びらって“ひらひら”落ちてくるものではなかったか。



・樹上を見上げるとスズメが花をついばんでいる。鳥って桜の花も食べるのか・・・。よく見ると,花びらもあるが,大部分は花ごと落ちている。スズメだけではなく,ヒヨドリらしい鳥も盛んについばんでおり,なわばり争いらしきものをやっている。



・さらに突き進んでいくと,妙な雑木林が。コナラ?と思うと,イガのついたおなじみの実が落ちている。なんと栗林だ。これぞOrchardである。今はあまり使われていないようだけど,こんな都会(?)でもあったんだねえ・・・。1時間半ほどの散歩をすると,もう昼食の時間。やはり,車がない生活は足が達者になりそうである。