goo blog サービス終了のお知らせ 

goto_note

西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

キミにもできる品種登録

2008-03-29 | 研究ノート
・学会最終日。本日は育種関連の研究会が二つ。当方はバイテク林木育種研究会の世話人になっているため,最後まで気が抜けない。前半の育種研究談話会では,精英樹をテーマにした発表で,歴史的な経緯が詳細に分かり,大変勉強になった。また,Mくんによる地域差検定林の話は分かりやすい上に,結構インパクトがあった。今度の講義では,早速,仕入れたネタを元に林木育種の話をするとしよう。

・バイテク林木育種研究会では,「品種登録」というおよそバイテクとは関係なさそうなネタであったが,想像以上にたくさんの人が集まってくれた。いつも,昼時に人が少なくなった後,午後から人が集まるのか不安になるのがこの研究会の辛いところだ。品種登録というのは,育種に携わった人ならば「一度はやってみたい」というイベントである。しかし,「なんか大変そう」というので、つい尻込みしてしまうわけだが,これを少しでも軽減したい、というのが研究会の趣旨である。

・最初に,全体的な種苗法の話や登録の要件の話題提供を頂いた後,それぞれの立場で登録をした人たちによる体験談(苦労話)を伺うという流れ。しかし,実際にやってみると,色んな準備が想像以上に大変だった上にトラブルが発生することもある、という話で,「キミにもできる品種登録」というよりは,「キミにもできる?品種登録」という感じ・・・。それでも,具体的に何を準備しておけばよいかとか,どのくらいの期間配布しない方がよいかとか,どうすれば登録できる可能性があるか(どのくらいの特性で既存品種と違いが認められればよいか),など具体的な情報が聞けて、参加者には非常に参考になったのではないだろうか。

・全体を通して,実際には大変な作業になりそうだけど,やっぱり一度は品種登録をしてみたい。本当は「売れる」べき商品を登録すべきところだろうけど,まずは特異な性質を持ったクローンでもいいから挑戦してみたい課題である。しかし,それには実行体制の整備と準備(特に,比較する既存品種と次世代ラメット)を着実にやっておくべきだと肝に銘じておくとしよう。お忙しい中,話題提供してくれた皆さんに感謝!である。

学会二日目

2008-03-28 | 研究ノート
・昨晩は夜遅くに床についてから,咳が止まらなくなって参った。相変わらず,花粉症はひどい有様である。ボロボロの状態で朝を迎えると,いきなりトラブルで自宅を出るのが遅れる。本当は、朝8:45までにファイルを提出することになっているのだが,明らかに間に合いそうにない。ということで、西国分寺で思い切って駅を出て,タクシーで現地に向かう。

・当方の方向音痴は今に始まったことではないのだが,焦っているとさらにひどくなることが発覚。Mくんにファイルを渡し,9時からの講演で座長となっている会場へ急ぐ。ようやく辿り着くと、既に,コーディネータによる説明が始まっている。息を切らせながら,座長挨拶。前途多難である。4課題の座長を行ったのだが,やはり分子生態分野では新しい切り口が欲しいと実感。ケース・スタディでは,どのくらいの規模で、どのようにやれば、どんな結果が出るか、というのが分かってきているだけに,逆にオリジナリティを求めるのは大変である。

・むしろ,いかに楽をして実態を把握するかを真面目に考えるとか,保全目的ならば,研究と実用を結ぶような実証的な研究が必要な時期だろう。と座長を終えて一安心している場合ではなく,発表会場に戻ろうとしてまた迷う。今回の発表内容はそれこそ分子生態学のセッションでやればよかったような内容なのだが,何しろマーカーを全く使っていないので異なるセッションの発表を行ったのだが,当方の1課題だけがかなり浮いた発表になってしまった。

・やはり,準備(練習)不足の感は否めず,最後のスライドを残して二鈴が鳴ってしまい,最後はかなり早口になってしまった。全体として,交雑の長期的な影響についてもう少し慎重な議論が必要ではないかというコメントを頂いたが,それは全くその通りである。発表後,つくばのUさんが面白かった,ということをわざわざ言いに来てくれて,それが一番嬉しいことであった。確かに,こうした材料を使っての遺伝解析はこれから重要になると思う。そのためにも,個体が生きているうちに,DNAのサンプリングだけでもやっぱりしておかないといけない,かもしれんなあ・・・。

リアルにまずい学会発表準備

2008-03-28 | 研究ノート
・一昨日に無事に荷物の運びいれが終わり,事後処理に追われていた。引越しを機に新調したものがたくさんあり,完全に経済感覚がおかしくなっている。エアコンとTVも新調したら,すごい買い物になってしまった。引越し直後の生活では、意外なものが出てこないものなのだが、今回、一番困ったのは”箸”。どこかにまとめて入れたのは覚えていたのだが、あちこちのダンボールをひっくり返してようやく夕食にありつくことができた。やっぱり入れたものの名前は書いとかないと・・・。

・この辺では日一日と春めく感じで、近くの桜はもはや満開に近い。ちなみに下の写真は妻が携帯で近くの小学校の桜を撮影したものである。携帯でも案外と綺麗に撮れるものである。



・写真で思い出した。ちょっと話が遡るが,富良野で活躍している写真家の石黒誠さんから,Mol Ecolカバー写真投稿用として,トドマツ倒木更新の写真をお借りする機会があった。本ブログでも,“倒木ふぁん”にとって,倒木更新の写真を撮影するのがいかに難しいか,という話題が何度か登場しているのだが,やはりプロの写真は違う(Kさんのブログでも紹介されていた)。なんというか,トドマツ実生の表情みたいなものが垣間見えて,同じものを見ても切り取り方によってこうも違うのか,とため息ものなのである。

・残念ながら,今回は倒木がはっきり写りこんでいないのと、健全なトドマツがびっしりと更新しているという写真がなかったので投稿見送りということになってしまったが,いつかカバー写真として投稿できるチャンスがあれば,また,お願いしたいと思える出来栄えであった。と、石黒さんのブログを見ていたら、富良野の40種の樹木の葉の写真を販売されていた。実は、現物を餞別に頂いたのだが、これは素晴らしい作品です。雨の日(?)に、北国に想いを馳せたい人はぜひ・・・。

・リアルタイムに戻ると,今日から森林学会に参加。田無駅まで自転車で行く。この付近は自転車道が実に狭く,“すれ違い不能”なところもある。もう少し安全なルートを見つける必要がありそうである。しかし,自転車で春の風を感じながら行くのはなかなか楽しい。田無からは,3-4分おき,2-3駅おきに細かく乗り継ぎ,北府中駅に向かう。乗り換え回数は多いものの,乗車時間は40分もかからず,運賃も片道350円と安い。実は自宅から学会会場はかなり近かった。やはり学会前に引っ越しておいて正解である。

・学会では、色んな人と合うたびに挨拶回りしている感じで、引越しの余韻か、何だかまだまだ足が地に着いていない感じである。学会会場からは5時過ぎに帰途につき、皆さんが懇親を深めている間に、TVの設定をするなど引越し残務処理を行った後、学会準備をしなければと思いつつ、”リアルすぎて似てない物真似”(好きなんだよねえ、この番組・・・)つい観てしまった。ううっ、大丈夫か・・・明日。

終わりよければ

2008-03-22 | 研究ノート
・Mol Ecolに投稿していたトドマツ種子散布論文がついにアクセプトとなった。今回は、subject editorであるPetit氏のみが査読した後、判断してくれたようである。久しぶりに、I am happy to be able to inform you という言葉を見たような気がする。ついぞ忘れていたこの感覚。そうそう、これを味わうために論文執筆の苦行を行っているようなところもあるわけだよねえ・・・。

・現在の状況は、細かい指摘を直してFinal versionを送れば、acceptableというものである。今回、Petit氏は細かい指摘をPDF上でいくつもしてくれいて(これは今までに見たことがないほど丁寧な査読)、そのほとんどが当方が修正原稿で書き直したところである。それに比べると、Kさんの文章はほとんど修正されていない(1箇所だけ、内容的な指摘があったけど)。

・当方がメールを見たときには、LさんとKさんの往復書簡が既に行われており、当方はその最終チェックを行いつつ、Finalに近い状態にすり合わせたような格好だ。しかし、この論文も2003年の調査開始から実に長い時間と労力がかかったものだ。途中で気力がなえそうになるときもあったが、今まで頑張ってきて良かった。終わりよければ、全て良しである。やはり、あきらめてはいけないのだ。

・突然な人には突然だが、8年間居た富良野を去り、西東京市に異動することになった。実は現在、引越しの真っ最中で、昨日は研究室の引越しを完了し、本日の午後には自宅の引越し(荷物の送り出し)を行う予定である。8年間という時間の中では、途中、辛い時期もあったが、特にこの1,2年は仕事もプライベート(バスケットなど)もすごく充実していたと思う。

・何よりも、周りにいい人がたくさん居て、そうした友人や知り合いに支えられたお陰で、楽しく過ごすことができた。後から振り返ると、きっと宝物のような北国暮らしとなるんだろう。

・さて、本ブログですが、できれば東京に行って落ち着いたら、(装いも新たに)再開したいと思っています。相変わらず、マニアックな内容だと思いますが、お暇なときにでも見ていただければ有難いです。ではそれまで、ごきげんよう。

山本周五郎賞作品

2008-03-10 | 研究ノート
・旭川空港までのバスの中で帚木蓬生著の閉鎖病棟を読む。この小説は前回の出張で購入し、途中まで読んだままでストップしていたものである。この小説の前半は少々気だるい感じでページをめくる手はあまり進まなかったのだが、後半のスピード感はちょっとすごい。

・バスの中でいつしか流れる涙を押さえ切れないままに、最後まで読みきってしまった。何が涙を誘うのか未だによく分からないのだが、静謐な主人公の語り口が淡々と語りかけてくるものに体の中の何かが応答しているのかもしれない。

・トドマツ原稿の修正案とコメント案をプリントアウトしたものを携えて機内の人になった。修正案とコメント案を見比べながら、一つ一つ検討をしていく。羽田で昼食を食べつつ、修正案とコメント案をそれぞれにバタバタと改訂し、LさんとKさんに送信。最後は時間との闘いになりそうである。

悲しきマーカー

2008-03-07 | 研究ノート
・所内のDNA研修パート2。といってもパート1をやったのは2年前だったか・・・。今回はライラックの再抽出とシャクナゲのDNA抽出とRAPD分析を一日で行う予定である。直前に3名参加することになり、合計9名での研修となった。さすがに9名ともなると、実験室が一杯である。最初は”おっかなびっくり”という感じだったのだが、だんだんと慣れてきたのか、12時前にAEを入れるところまで完了。

・お昼過ぎからいよいよPCRにかける。500ulから一気に1ulになると、急にマイクロな世界に一変する。PCR増幅には2時間半ほどかかるので、その間にゲルを作成。増幅したPCR産物を電気泳動にかける。電気泳動に必要な時間は40分。その後、ゲルを20分間染色し、UVトランスイルミネーターで最終結果を見る。時間は既に6時半過ぎである。

・ウイーンと音がしてトランスイルミネーターが紫色に光ると、バンドがピンク色に輝く・・・はずだったのだが、輝いたのはサイズマーカーとわずか2サンプル。2年前のフラッシュバック。「おおっと、やっちまったかー」。期待の2枚目は、いよいよマーカーだけである。「一日頑張った結果がこれか・・・」と、がっくりしながらも、3枚目と4枚目にわずかな希望を持つ受講者たち。

・3枚目はもう少しバンドが見えるサンプルがあり、「おおっ」とどよめきが起こる。そこで期待高まる4枚目だったのだが、またもやサイズマーカーだけが悲しく光るという結果に・・・。もう一度、リベンジをしようかという相談をして、DNA研修は終了。皆さん、お疲れ様でした・・・。



・終わってから画像をもう一度チェックをしてみると、今回は16サンプルで3プライマーの解析を行ったのだが、まず、プライマーによって増幅がいいものと全然駄目なものがある。よく見ると増幅できているサンプルはある程度決まっている。H19はまるでダメだが、I12は増幅しているサンプルが多い。V14はその中間。また、ライラックのNo5とNo6はI12とV14で増幅し、No8はH19とI12で増幅している。ライラックは全然ダメだったのかと思いきや、I12でサンプルNo1だけは少し増幅している。





・この結果を見ると、全体にPCR増幅は悪いのだが、プライマーによっては多少増幅しており、さらにサンプルによってDNAの純度(あるいは濃度の適正さ)が異なるようだ。したがって、DNAを精製すれば、かなり結果が改善されそうである。そう考えれば、初めてのDNA研修でバンドが少しでも出たというのは悪くない、ともいえそうである。

環境傾度

2008-03-06 | 研究ノート
・所内の勉強会に向けて、プレゼン資料の作成。スライド40枚程度だが、タイトルバックなどもあるので45分くらいの内容になるか・・・。スライドショーで確認しつつ、何度も細かい修正を加える。

・Lさんと電話でトドマツ論文の修正方針の相談。大方方針がまとまったところで、締め切りがあることに初めて気がついた。1月28日にEditorial decisionを受け取ってから45日以内に返信せよ、となっている。おっと、よく考えてみると、あと1週間しかない。そろそろ仕上げにかからねばということで、共著者のKさんにも連絡。

・4時15分より所内の勉強会。実は、このメンバーの前でしゃべるのが一番プレッシャーだったりするんだよね。話題提供は3部構成で、1部は局所適応の実例としてトドマツ標高別、2部はアカエゾマツのマイクロサテライト分析、3部は現在進行形の科研での研究である。生理、アロザイム、個葉の形態などではどうしても説明が難しいところをかなり端折ってしまったので、理解するのは大変だったかも・・・。しかし、全部まとめてやったところがミソなので、例えばアロザイムを外すわけにもいかないしねえ。

・13林班と前山湿地の違いとして、Mさんからは、同じ湿地でも水が流れている湿地(前山)と溜まっている湿地(13林班)という違いがあること、両者では地質が違うことなどを指摘してもらう。また、Oさんからは、13林班の湿地林は風害前はかなりびしゃびしゃだったのが、風害後に周りの木がなくなって乾燥したという貴重な情報を頂く。なるほど、こうしてみると、両者にクリアな違いはありそうなのだが、それをデータとしてどう表すかが問題である。

・最後に、古くて新しい”標高”を研究の一つのメニューにしては?という提案で締めくくった。これだけのスケール内に凝縮された標高という環境傾度は実に面白いフィールドを提供してくれている。とりあえず、標高別に設定された標準地の組成を記載して植生学会誌に出すだけでも十分価値があるんじゃないだろうか・・・。標高が上ると木本種の種組成が変化するとか、種多様度が下がるとか(下がらないかもしれないけど・・・)、樹高や蓄積がどう変化するとか、単純だけど深いテーマはいくつもありそうである。

カフェ好きなるがゆえに

2008-02-29 | 研究ノート
・午前中、Kさん、Iくんとアカエゾマツ局所適応の打ち合わせ。学会発表や論文作成のための筋書きを考える。形態、生理、アロザイム遺伝変異と発散しっぱなしだったデータをまとめることができるかどうか・・・。とりあえず、主題がようやく見つかった(ような気がした)ので、それに合わせて来期の活動方針もようやく決定された。極寒の調査となった今回だが、今日は急にあったかくなった。ま、お二人が札幌に戻る道路が安全なのは何よりである。

・午後からPCRをしてあったライラックの電気泳動。さらに、バンドはさらに気合が入り、ほぼ自信の持てる結果が得られた。ただ、DNA鑑定という代物は、はっきり決定できるがゆえに非情なところもあり、関心を持つ人々の”思い入れ”を打ち破ってしまうこともままある。結果報告をするときには、慎重にしないといけないだろう。

・唐突だが、当方は民間のY社に勤めたことがある(なぜか営業職!)のだが、そのときの同期のY氏は脱サラ後、静岡県の磐田でカフェ&スイーツ「ニコ」というお店を奥さんとともに営んでいる。一度、訪ねていったことがあるのだが、お店のセンスが素晴らしく、珈琲はもちろん、パンとお菓子も美味しい。近くにいれば、毎週のように行っているであろうカフェである(お近くに行かれた時には、ぜひ訪ねてみてください)。ちなみに、ニコのブログは写真がたくさんあって、コメントも楽しい。



・今回、子供の幼稚園の友達に渡すためのクッキーをニコでお願いしたところ、素敵なパッケージに入ったクッキーが届いた(1セット@200円)。美味しそう!こうした贈り物は、後に残らない食べ物が”粋”だと思う今日この頃で、色んな場面で使えると思う。不思議なもので、そう思い始めると、なにやら楽しみが増えたような気になる。お菓子の贈り物、皆さんもよかったらぜひ。

実験三昧

2008-02-22 | 研究ノート
・引き続きライラック分析。スクリーニングは無事に進み、いくつかめぼしいプライマーも見つかってきた。ここで安心して放置すると、何かよく分からない原因によって、途端にダメになったりする。そんなわけで、ここは一気にけりをつけたいところだ。集中すると不思議と実験もうまくいくようになるもので、バンドも次第に”気合”が入ってきているように見える。



・ちなみに、4サンプル/プライマーのこの画像だと、6種類のプライマーの結果が表示されている。見ての通り、左から2番目と4番目は増幅していない。左から5番目はうっすらと増幅するも単型なので使えない。3番目は一見多型だがたぶん不安定。1番左と1番右が候補ということになるが、おそらく1番左は識別には微妙(にダメ)なので、1番右だけが最終的に残るのではないか、というのが当方の長年(?)の勘(職人技か・・・)である。

・北方林業に投稿中だったエゾノウワミズザクラの原稿が、軽微な修正で受理(?)ということで戻ってきた。しかし、専門用語をもう少し分かりやすく書かないと、一般読者には分かりにくい、ということで・・・。指摘を参考にしつつ、速攻で直して編集部に差し戻す。4月号掲載予定だそうで、平沢湿地林関連の初レポートとなりそうである。

・北大のKさんより川渡行き間際のトドマツ種子散布論文の修正案に対する返信メールを頂く。当方の修正案では、直したつもりのURLアドレスが修正されていなかった。直した記憶があるのだがおかしい・・・。次いで、Lさんと電話相談。今度はLさんに送ったはずのファイルが届いていないとのこと・・・。当方の健忘症なのか、はたまた、何らかのトラブルに巻き込まれているのか・・・。

・プライマー・スクリーニングは順調に進み、ついに、60プライマーから(強引に?)12のプライマーを選んだ。8サンプルでいよいよ本格的な識別のためのPCRをかける。さて、どんな結果が出るか・・・ここが一番の楽しみである。実験室にこもって、”チップ詰め”なんぞをいたしていると、次第に頭が真っ白になって”無の境地”に近い状態になれる。ついぞ忘れていたこの感覚・・・。やり始めると面白いねえ、実験は。

受難スネイク

2008-02-20 | 研究ノート
・トドマツ種子散布論文が一段落したので(してないけど・・・)、放置され気味であったヒノキ論文の修正作業に取り掛かる。本当に辛い目にあっているこの論文だが、前回の審査を受けて明らかに良くなってはいる(と自分では思っている)。後は細かいところを直していくだけだったはずなのだが、その時間すらとれずに、ここまで経ってしまったというわけである。

・10時半ごろまでかかって、ようやく修正が一通り完了。今回は手ごたえアリ、な感じである。一度プリントアウトして、再チェックしてから共著者に送ることにする。3月7日に所内技術職員向けのDNA研修2(パート1は一体全体いつごろだったか・・・)を行うことになったので、その準備もかねて久しぶりに実験室に入る。もはや、チップやチューブの置き場所なども忘れており、末期的な症状。

・前回、見事に失敗したライラックの分析にかかる。DNAと酵素を変えて4パターンでPCRにかける。これでダメならプライマー劣化が原因ということになるんだろうが、原液がないのでそうなると一巻の終わりである。オートクレーブにチューブをかけようとすると、何かひものようなものが入っている。何気なく取り出すと、ひからびた蛇(!)であった。大きさ70cmほどの小型の蛇だが、見事に干物になっている。



・まさか誰かが蛇の燻製をつくろうと思ってやったわけではなかろう。暖かいと思って入ったのが運のつきだったか、受難の蛇である。それにしても、いやはや、すごい光景だった。これを樹木園のAさんが見たら、卒倒していたことであろう。

・ゲルを作成しつつ、午後から再びヒノキ論文の最終調整。いよいよ細かい表現を直し、ようやく自分としては投稿バージョンまで到達した(と思う)ので、改訂のポイントをまとめつつ、共著者に送信。ワードに図表を貼り付けると途端に重たくなってしまうのが、申し訳ないところである。

・電気泳動と染色が終わり、いよいよUVイルミネーターでバンドの確認。今度は染色はうまくいっているようで、中央付近がびしっと輝いている。ほほう、高い方のTaqだけで増幅が起こり、安い方のTaqではダメダメ感を増している(というか、全然増えてない)。必ずしも、プライマーが原因というわけではなかったが、DNAは作り直したほうが断然良くなっているので、やはりこの劣化も響いていたようである。とりあえずある程度の原因が分かったのはよかったが、これからどうするか・・・、もう少し検討の余地ありである。