脳の神経細胞がシナプスの構成タンパク質を入れ替え、数を減らすことによって、環境に適応することが明らかになったそうです(財経新聞)。ヒトは、見たり聞いたりしたことによって、神経と神経の接続部分であるシナプスという構造の特性が変化し、ものを覚えたり、ものの考え方が変化したりするそうです。このことを神経活性依存的なシナプスの可塑的な変化と呼んでいるようですが、前シナプスの活性部位の変化や、シナプス可塑性をコントロールする分子実体についてはよく分かっていなかったそうです。今回の研究では、ショウジョウバエに3日間普通の強さの光を当て、シナプスの変化を観察した結果、前シナプスと呼ばれる構造の構成分子が再構成を起こすことが分かり、一つ一つの神経のシナプスの数が数えられる状態で、シナプスの減少が測定できたそうです。また、後シナプス側から前シナプス側に情報の伝達が行われる必要があること、その実態がWNTと呼ばれる分泌タンパクであることなどが分かったそうです。今回発見されたシナプスの変化は、過剰な情報の伝達を抑制し、過剰な興奮による神経細胞死から守る自己防衛機能を反映していると考えられるようです。このような視神経細胞の環境適応能力は、経験による学習や記憶などとメカニズムが類似であると考えられるそうで、脳神経系に無数にあるシナプス接続の柔軟な適応能力の分子メカニズムの全貌を解明することにつながるそうです。
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