健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

ヒト受精卵の遺伝子

2015-05-06 08:30:43 | 研究
ヒトの受精卵の遺伝子を編集したとする研究論文が、中国のチームによりProtein and Cellに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。この未開拓の科学分野における突破口となる研究ですが、世界各国の科学者からは、物議を醸しているこうした研究の中止を求める声が、改めて上がっているそうです。論文では、不妊治療院から入手した受精卵のゲノムを改変する実験の詳細を記述しているそうです。使用された受精卵は、2つの精子を受精したことから染色体の数が通常の受精卵より1組多く、生児出産が不可能なものだったそうです。研究チームが行ったのは、死に至る可能性もある血液疾患「βサラセミア」の原因となる遺伝子を「CRISPR/Cas9」と呼ばれる遺伝子編集技術を使用して修正する実験とのこと。欠損しているDNAを置き換える分子を86個の受精卵に注入し、効果が表れるまで48時間待ったところ、生存したのは71個だったそうです。うち54個を検査した結果、28個で遺伝子の接合に成功し、そのうちのごく一部で代替遺伝子が含まれていたことが確認されたというもの。大きな懸念材料は、実験の過程で「驚くべき数の」意図していない遺伝子変異が生じたことにあるそうです。
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