11月1日 雨時々曇り
11月が来た。いよいよ晩秋、冬近い。
朝日新聞の文化欄に『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンド(UCLA教授)の紹介が出ていたのでそれに関連する感想を書く。現代世界、特に文明社会の発展の歴史を追って独創的なアプローチを試みているのがこの人だ。壮大な視野の広がりの中で、彼は白人なのに白人が文明社会を引っ張ってきたのは白人が人種的にすぐれているからだという白人優位論を否定する。遺伝子レベルで差別は認められないから、白人と非白人の差がないというのだ。これに対して白人は心の中で反対する人が尽きない。ダイヤモンドのこの本を読んだ後でも1/4の白人読者は納得しないという。白人は確かに世界中で成功し、世界各地に植民地を作り、豊かな社会を作った。この事実は否定することは出来ない。
白人の成功の原因について彼はいう。たまたま環境に恵まれて定住農業がうまくゆき、家畜がもたらす伝染病に免疫を持ち、鉄と銃を少し早く手に入れたからだと。要するに運が良かったということだ。
運が良かったからだって?ちょっと待て。私は学問の世界でも画期的な発見や発明に幸運が伴っていることがあるのを知っているけれども、棚からぼた餅のような運のよさを期待して「果報は寝て待て」では駄目だといつも言っている。日本には「運・鈍・根」という言葉もある。普段からの努力が必要なのであり、いい加減な態度で学問をやっていたら、運にも見放され、何も成果はあがらない。このことを思い出した。欧米人は積極的だ。かなりしつこい。論理をふりかざしてなかなか退かない。キリスト教の長い伝統の所為か物事を前向きにとらえる習慣が根付いている。やることは徹底してやる傾向があるように思われる。
今NHKで幕末の志士坂本竜馬を取り上げたドラマが進行中だが、日本人も捨てたものではない。薩摩や長州が尊皇攘夷から一転して開国の思想に発展したのは、実際にイギリスなどと戦争してみてもまったく歯が立たなかった経験にもとづき、頭の切り替えをして、早く欧米に追いつく努力をすることに決めたのだ。英断といってもよい。(これに比べ水戸藩はいつまでも尊皇攘夷の原理主義にこだわって出遅れた。)その根底の愛国心を捨てたのではない。欧米に学ぶことは当時の世界の先端に学ぶことであったが、世界大に考え方を拡げても、基本がしっかりしているということである。そして日本は近代化に成功したのだ。
人種の優劣はないが、努力の優劣はあると言わざるを得ない。これからの世界と日本がどうなるか、若者の努力に負うところが大きいのだ。
11月が来た。いよいよ晩秋、冬近い。
朝日新聞の文化欄に『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンド(UCLA教授)の紹介が出ていたのでそれに関連する感想を書く。現代世界、特に文明社会の発展の歴史を追って独創的なアプローチを試みているのがこの人だ。壮大な視野の広がりの中で、彼は白人なのに白人が文明社会を引っ張ってきたのは白人が人種的にすぐれているからだという白人優位論を否定する。遺伝子レベルで差別は認められないから、白人と非白人の差がないというのだ。これに対して白人は心の中で反対する人が尽きない。ダイヤモンドのこの本を読んだ後でも1/4の白人読者は納得しないという。白人は確かに世界中で成功し、世界各地に植民地を作り、豊かな社会を作った。この事実は否定することは出来ない。
白人の成功の原因について彼はいう。たまたま環境に恵まれて定住農業がうまくゆき、家畜がもたらす伝染病に免疫を持ち、鉄と銃を少し早く手に入れたからだと。要するに運が良かったということだ。
運が良かったからだって?ちょっと待て。私は学問の世界でも画期的な発見や発明に幸運が伴っていることがあるのを知っているけれども、棚からぼた餅のような運のよさを期待して「果報は寝て待て」では駄目だといつも言っている。日本には「運・鈍・根」という言葉もある。普段からの努力が必要なのであり、いい加減な態度で学問をやっていたら、運にも見放され、何も成果はあがらない。このことを思い出した。欧米人は積極的だ。かなりしつこい。論理をふりかざしてなかなか退かない。キリスト教の長い伝統の所為か物事を前向きにとらえる習慣が根付いている。やることは徹底してやる傾向があるように思われる。
今NHKで幕末の志士坂本竜馬を取り上げたドラマが進行中だが、日本人も捨てたものではない。薩摩や長州が尊皇攘夷から一転して開国の思想に発展したのは、実際にイギリスなどと戦争してみてもまったく歯が立たなかった経験にもとづき、頭の切り替えをして、早く欧米に追いつく努力をすることに決めたのだ。英断といってもよい。(これに比べ水戸藩はいつまでも尊皇攘夷の原理主義にこだわって出遅れた。)その根底の愛国心を捨てたのではない。欧米に学ぶことは当時の世界の先端に学ぶことであったが、世界大に考え方を拡げても、基本がしっかりしているということである。そして日本は近代化に成功したのだ。
人種の優劣はないが、努力の優劣はあると言わざるを得ない。これからの世界と日本がどうなるか、若者の努力に負うところが大きいのだ。