私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

惻隠の情

2007-03-26 09:44:10 | weblog
「惻隠の情」他人のことをいたましく思って同情する心。語源は「孟子、公孫丑」の性善説に繋がっており、人の最高の徳である「仁」に通ずるものだそうだ。この性善説では、人間の心の中にはもともと人に同情するような気持ちが備わっているから、自然に従うことによって徳に近づくことができるという。
こうした考えは武士道精神にも受け継がれ、当時士農工商といった階級社会、格差社会の中にあっても、階級や格差の上の者は下の者を思いやり、下町の生活でも向こう三軒両隣り、庶民レベルで貧しいながらも惻隠の情という美しい心を失わず助け合ってきた。
時の流れとともに核家族、心の荒廃、勝ち組・負け組、損得勘定で世渡りする利己的日本人の増殖によって、昔の美しい言葉、美しい風情、美しい人情は風化し、今やよき時代の原風景は喪失しつつある。
過日、定年退職した仲間で作っているゴルフ会の総会で、次回からの競技に「ノータッチルール」を採用することが決った。私は、会が今後このルールで競技を続けることには反対だ。なぜならこの会の最大の目的が、「ゴルフを通じて人生を楽しみ、健康増進と融和を図る」ことにあり、勝つことではない。まして年齢差(60~80歳)やパワー、技術の差は歴然だ。プロや公式競技ならともかく「6インチ以内リプレース」は、ローカルルールとしてはすでに全国に定着している。
60歳台の人も他人事ではない。明日はわが身だ。弱者、敗者もゴルフを通じてともに楽しめるよう「惻隠の心」で高齢者を思いやり決断して欲しかった。