夏もわずかと、水遊びにはしゃぐ子供たちを描きました。
視点はやや上から、室内プール、小学生の男女児、水深は男児のほぼ膝あたりという想定です。
すでに9月に入り例年なら時期はずれかもしれませんが、
今年は残暑も猛烈な暑さが続いているということでお許しください。
ゴチャゴチャとして複雑で、主役もないような絵になっていますが、
こちらもお許し下さい。
でも、こういう皆がワイワイと楽しんでいる雰囲気全体を描きたかったのです。
何故こんなややこしい絵にしたのか、それには自分なりのささやかな思い出があるからです。
先の大戦後引き揚げてきて間もないころ(私が多分中学生ぐらい)、
写真家をやっていた伯父(母の兄)の作品が、
「国際フォト〇〇」というコンテストに入選したことがありました。
九州の地で、そしてまだ戦後の復興もままならぬころ、
“国際展”という晴れがましいものに入選した伯父を誇らしく思ったことでした。
その写真は、修学旅行先の旅館の一部屋で、
子供たちが枕を投げ合う光景を、ふすまの隙間越しに撮ったもので、
このときの、ピンボケした(させた)飛び交う枕と、
投げ合う子供たちの奔放な姿が印象に残っておりました。
そうです、楽しさ一杯の子供たち・・・その写真を思い浮かべながらの一枚なのであります。
絵としては、何あろう児童の基本的な描き方の復習からでした。
大人の姿や顔にならぬよう、これが結構むずかしいものです。
“5頭身、5頭身”と繰り返し言い聞かせながら描きましたが、
6頭身、7頭身となったのもありそうです。
また、水しぶきの陰に隠れ、わかりにくいですが、
水をかけられた子供の姿はいろいろ(正面‣横・後ろ向き)なポーズに変えてみました。
更には、鉛筆での輪郭線は意識して残すようにしました。
小玉精子先生にお見せした元の画では、
プールの向こう側は手を抜き、平板的なものになっていました。
プールの子供たちを描くのにエネルギーを使いきっていたからです。
先生からは一言“左から光を入れるのなら、それらしい光と影を”と。
描き終わってつくづく考えること、
それは、こういうややこしい絵は、“描きたい!”という強い動機がないと、
まず描かないだろうな、と。
左からの光も希望と言うか明るくしていて良いですね。
子供に戻り、中でみんなとワイワイガヤガヤ騒ぎたい気持ちです。
楽しい絵、描き上げるには根気のいるだろうな、が第一印象です。
詳しく見たいとコピーし拡大してみました。
子供たちそれぞれの動作・表情、水しぶきまで生き生きと丁寧に描かれていました。
戦後の混乱の時代に国際的な評価を得ておられた写真家おじ様のセンスを受け継いでおられるのでしょうか、飽くなき挑戦に敬意を表します。