MATTのひとりごと

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ひとびとの心に残る永遠のシンガー「IZ」 (2006年6月28日)

2006年06月28日 | 演奏家


ハワイアン・ファン誌36号に掲載された記事をご紹介いたします。

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ひとびとの心に残る永遠のシンガー「IZ」 「IZ」ことイズラエル・カマカヴィヴォオレが1997年に亡くなった際に、多くの関係者たちが「彼は過去(was)の人物にはならず、いつまでも現在形(is)として我々の心の中に生き続けている。」と発言していましたが、たしかにIZのように死後もアルバムがベストセラーを続けているミュージシャンは極めて少ないのではないでしょうか。

彼の38年という短い生涯は音楽にとっぷりと浸かった毎日でした。小さいときから勉強が大嫌いだったため学校に行っても教室に入らず校庭の片隅でウクレレを弾きながら過ごしていた彼は、15歳の頃自宅の前で歌っているときに通りかかった学生ジェローム・ココと意気投合し、ジャム・セッションをしたのがきっかけで、兄のスキッピーやジェロームの友人ルイス・ムーン・カウアカヒ達も加わったグループ「マカハ・サンズ・オブ・ニイハウ」が誕生し、プロ・ミュージシャンとしてスタートいたしました。初期のマカハ・サンズ・オブ・ニイハウはピーター・ムーンやサンズ・オブ・ハワイのスタイルを追求していたのですが、その後は見事にアレンジされたコーラスとIZのウクレレ・ソロ等により次第に独自のカラーを出すことでファンの数も増大するようになりました。そして当初のリーダーであったスキッピーの急死により実質的なリーダーとなったルイス・カウアカヒのしっかりとした音楽的バックグラウンドに基づいてこのグループが成長するなかで、IZの目指していた音楽とこのグループの方向に食い違いが見えてきました。グループとしてはあくまでもトラディショナルのハワイアン音楽を中心に据えて進んでいたのに対し、IZはそれ以外の分野、たとえばジャワイアンのような曲も歌いたかったようです。(グループ在籍中の1989年にリリースしたソロ・アルバム「カアノイ」の収録曲から彼の好む曲の傾向がうかがわれます。)さらにグループとして活動するにはIZの身体的問題でロードに出にくいことなども重なって遂に1993年にIZはこのグループから独立をしました。

ふつう、いったんグループを飛び出すと、なかなか昔の仲間と一緒に演奏する機会がないのですが、彼の亡くなる前年(1996年)のナー・ホークー・ハノハノ・アウォードのセレモニー会場で、招待演奏者としてバック・メンバーを従えたIZが義兄のルイス・カウアカヒの作った「カレオハノ」を唄っているさなかに、なんと昔のメンバーであったルイスとジェローム・ココ、ジョン・ココ兄弟が舞台に現われ、IZと一緒に演奏し、最後にはお互いに抱き合って涙にくれていたのには会場にいた私を含めたほとんどが感動させられたシーンでした。このいきさつは当時のハワイアン・ファン誌にもレポートさせていただきましたが、いまだに忘れられない出来事であるとともに、彼の死後にファンとなった友人達をうらやましがらせる出来事でもありました。独立後にリリースされたアルバム3枚のうち、最後の1枚「イン・ディス・ライフ」は、死期が迫っていることを意識した作品となっていて、タイトル曲自体がそれを表していました。

兄のスキッピーが28歳で亡くなったのをはじめ、妹や両親が相次いで亡くなるという家系の中で、彼自身も死に向き合う毎日だったのではないでしょうか。IZはこのアルバムで翌年のナー・ホークーを受賞しましたが、そのときにはクィーンズ・メディカル・センターに入院していたため伯父さんのモエ・ケアレが代わりに受け取りました。そして翌月かれは帰らぬ人となったのです。彼の生涯については、死後にリリースされたDVD「ザ・マン・ビハインド・ザ・ミュージック」に詳しく紹介されていますので、是非ご覧になることをお勧めいたします。

マット・コバヤシ

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15 コメント

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IZは永遠 (のぶぞう)
2006-06-28 19:28:16
わざわざありがとうございます。興味深く読ませていただきました。心に染み入るMUSICは永遠ですよね。あの透き通る歌声と大きな身体でウクレレを奏でる姿は、誰からも愛されるキャラクターでしょう。ハワイは買い物や観光だけで行くにはあまりにももったいないと分かってきました。歴史や文化、芸術も勉強すれば更に違った楽しみ方が出来ますね。
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本文では触れるスペースがなかったのですが (MATT)
2006-06-29 08:25:55
IZはハワイ人の復権運動にも参加していて、HAWAII'78のような曲もその表れの一端を示しています。

もともと彼の祖先の出身地ニイハウ島は英語文明に汚されていな唯一の地域でしたので、白人たちが不法に占拠しているホノルルを中心とした文化圏には彼自身相容れない気持ちを持っていたのだと思います。
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HAWAII‘78 (モリパパ)
2006-06-29 23:08:49
 初めてIZを聞いたのは、HAWAII‘78でした。その時はまだIZ菌に冒されていませんでした。でも、IZを好きになってからは、この曲の凄さが段々わかってきました。女王様は、今のハワイをどう思うだろう。(誤訳ならごめん。)この高層ビルは、なんだ。でも私は高層ビルも好きです。ある時、アロハアイナ・○コツアーズに参加し、疲れたなか、山頂から、ホノルルの街を見た時、この曲を思い浮かべました。何がいいか、悪いかって判断するのは難しいですね。自然のままだったら、私はきっとハワイに行っていなかったでしょうし・・。
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カウアイ島では (MATT)
2006-06-30 09:14:43
椰子の木より高い建物は認可されないとのことですが、これをホノルルで適用していたらどうなっていたでしょうね。hhhhhhhhhhhhhh
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あれ? (MATT)
2006-06-30 09:18:53
なんでhhhがついたのだろう?
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「IZ」 (Johnny)
2006-06-30 12:19:43
うっす!MATTさん。



家族旅行でHawaiiを訪れた際、M氏に「IZ」を紹介されたのですが・・・

その「IZ」と出合っていなかったら、今のワタクシはありえません!

M氏には、今でも感謝しています。



Hawaii音楽にも、Ukuleleにも、興味を抱いたのは、まぎれも無く「IZ」のお陰です。

あの、甘い歌声に何度癒されたことか!

そして、Hawaiiの歴史や人権復権にむけた彼らの活動を知ることになります。



何も知らなかった頃、娘と共にお気に入りの曲が「カレオハノ」だったことも、因縁(良い意味での!)を感じます。。。



「IZ」が・・・

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Mさんには (MATT)
2006-06-30 12:29:56
NUA日帰り合宿の講師にもお願いしました。現在は日本でご活躍中のナイスガイですが、Johnnyもすばらしい出会いがあったんですね。
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ありがとうございます! (じゅごん)
2006-08-17 07:58:42
MATTさん、ブログ復活していただき、ありがとうございます!

IZのことがまた一段と好きになりました♪

一ヶ月以内に、IZのCD、DVDを揃えちゃいそうです・・・。
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じゅごんさん (MATT)
2006-08-17 09:40:43
おまたせしました!再開です。



お求めいただくIZのCDにはもちろんマカハ・サンズ・オフ・ニイハウのアルバムも加えてくださいね。ここにIZのルーツがありますから・・・
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そうでした! (じゅごん)
2006-08-18 07:26:34
IZの名前のあるものしか、思い浮かんでなかったので、『もうすぐコンプリートだ!』と思ってましたが、マカハ・サンズ・オフ・ニイハウがあるのですね!

たくさんIZが聞けて嬉しいですが、揃えるのは1ヶ月では無理そうです。

隠し砦が崩壊しそうです。



最近、毎日IZのCDを聞いて出社し、夜はIZのDVD。

IZ漬けの毎日です。

しゃ~わせです。



・・・でも、HAPAのCDも思わず買ってしまいました。
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