場末の雑文置き場

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両親がテレビの影響で右翼になった話

2019年08月05日 | 政治・社会

母が今朝、日韓の貿易摩擦に関するニュースを見て「ホワイト国除外は当然、韓国は品性に欠けている」と言っていた。父も大体同じような意見で、「徴用工」に関してはもう補償する必要はなくて賠償請求されるのは不当であり、文大統領は任期取りのためだけに道理のない「反日」をやっていて馬鹿な国民がそれに踊らされていると。もうこれ、所謂「ネトウヨ」と1ミリも変わらないし後者なんか完全にブーメランになっている。

私は両親の前では韓国の話を大体避けているが、運悪くその話題になってしまうと必ず意見が対立する。そういうとき母は「日本が嫌なら出ていけばいい」とすぐに言う。「そんなに韓国が好きなら韓国に移住してみろ、そうすれば韓国人の感覚がどれだけ日本人と違うのかもわかるし日本に生まれたありがたさも身に沁みるだろう」と。これも所謂「ネトウヨ」の物言いとそっくり。

母は基本的にヨーロッパが大好きで、韓国に限らず日本以外のアジアの国全般を馬鹿にしているフシがある。お金がないわけじゃないのに旅行でアジアの国に行く奴の気が知れない、と思っているらしいことが普段の言葉の端々から伝わってくる。日本の若い子たちが韓国のメイクやファッションに憧れを持っている、と言う話を聞いたときも「なんでイタリアやフランスじゃなくて韓国なの」と驚いていた。

母は貧困問題に関しても恐ろしく冷淡だ。シングルマザー家庭の貧困率の高さを聞いても「日本は社会保障がしっかりしている国だからそんなはずはない、無知で制度をうまく利用していないからそうなるんだ」と言っていたし、「生まれた家庭が貧乏だったならその分他人より努力して這い上がればいい」とか「この国で健康なのに食うに困っている人間は仕事を真面目に探していないだけなので自業自得」といったことも言っていた。

だけど両親は左派を自認しているようだ。安倍のことは嫌いで公文書改竄には怒っていて、でも韓国に対しては植民地主義丸出しの典型的な反安倍右翼なのに。どうやら反安倍で反原発なら左側だと思っているらしい。父なんて「ドイツの戦後の態度は立派だった、それに比べて韓国は日本の悪口ばっかりだ」という、日本が侵略された側だと勘違いしているかのような驚きの発言をしていたような人なのに。
ついでに書くと、これも不思議なことに、両親は選挙では大体共産党に投票しているらしい。まあ共産党も最近右傾化してきているとは感じるが、それでもまだ「徴用工」問題で韓国側を責めるほどには落ちぶれちゃいないんだけどな。
自称右でも左でもない奴は大体右翼、っていうのはよく言われていることだけど、自称左でもこういうのがいるっていうのがキツい。両親の場合は自己イメージを更新できていないせいかもしれないが。

昔は両親、特に母はこんな人間ではなかったと思う。労働組合で活動していたし日本の戦争加害についてももう少し真面目に考えていた。それなのに、気付いたら「中国人はマナーが悪い」だの「韓国人は品性がない」だの平気で言うような人間になっていた。原因は多分、リタイアしてから毎日「ひるおび!」やら「グッド!モーニング」やらを見るようになったことだろう。つまりテレビの影響をかなり受けてしまっている。

さすがにまだ「強制連行はなかった」だの「従軍慰安婦は捏造」だのとは言っていないけど、それは多分テレビでそう言われていないから。テレビの主な論調がそうなり始めたら(今の日本ならありえないこともない)おそらく両親もそちらに流れるだろう。
「ネトウヨ」だけを問題にするのはただの切断処理で、普通の日本人は大体右翼、と言っていた人がいたが本当にその通りだと自分の両親を見ていて思う。

それと、母が変わってしまったと書いたけどアジアを馬鹿にしているのは多分昔からだろうな。韓国に対して嫌悪感を示すようになったのは、昔は完全に格下だと思って見下していた存在が力をつけてきたことに対する苛立ちもありそう。


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