場末の雑文置き場

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親日という言葉

2015年02月15日 | 政治・社会

最近、「親日」という言葉がものすごく気持ち悪く感じられるようになった。

少し前に本屋の店頭で見た本のタイトル。
「中韓以外、みーんな親日」「イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか」「日本人はなぜ世界から尊敬され続けるのか」「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」。

中身を見るまでもなく、タイトルだけで目眩がしてくる。
日本は世界で一番人気あったんだへ~え。ちっとも存じ上げませんでした。

あと、日本を異常に持ち上げるテレビ番組が最近顕著に増えた。自画自賛みたいで痛々しさしか感じない。
日本人だからといって日本=自分じゃないんだからさあ。日本の技術がすごかろうが、立派な日本人がたくさんいようが、その人自身が立派になるわけじゃないんだから。

日本人が思うほど、外国人は日本のことなんか気にしちゃいないよ。
どこかの国のアンケートでは、「日本人」と聞いて一番先に思い浮かぶ人物として一番多く挙げられていたのがジャッキー・チェンだった。また別の国では、小学生に日本について知っていることを訊いて「中国人がたくさんいる国」と答えられたりしていた。
その程度だよ、日本に対する外国人の認識なんて。日本と地理的に近い国はそんなことないけどね。よく「反日」と言われている中国や韓国だけど、日本のことをよく知っていて本気で好きな人の割合は、西洋やアラブ諸国やアフリカ諸国よりずっと多いと思うよ。

「親日国」としてよく挙げられる、台湾とトルコ。
台湾は、実は日本のことを嫌っている人も意外に多いみたい。日本がかつて植民地にしていた国だし、そりゃそうだよね。
トルコは、そもそも日本に関心のある人なんてそう多くはなさそうな気がするんだけど、どうなんだろう。日本人が親トルコかって言ったらそうでもない、よく知らない国でしょ。向こうも同じなんじゃないかな。
私は外国の文化を紹介するテレビ番組が好きなんだけど、この手の番組がトルコを扱っているときは、結構な確率で地雷にぶち当たる。エルトゥールル号の話とか、トルコ人は親日だという話が必ず出てきて本当にうんざりする。トルコの文化について知りたいのに、日本がトルコになにをしてあげたか、トルコ人がいかに日本を好きかの話に終始して、肝心のトルコの生活や文化についての情報が皆無だったこともあったな。

あと、東南アジアの国々も親日扱いされることがとても多い気がする。
私は一部日本人の東南アジアに対するなめくさった態度が大嫌い。中国・韓国に対する態度よりも。日本を無条件に崇めてくれる下僕みたいに思っていたりするじゃない。中国・韓国に対しては、表面上バカにしつつも実は割と対等に見ている気がしないこともないんだよね。本気で格下だと思う相手に強い対抗意識なんか持たないと思うし。

白人の支配から解放してやった? ふざけんな。彼らは必死に戦って血を流して、自分の力で独立を勝ち取ったんだよ。
日本だって東南アジアを植民地支配したじゃない。欧米諸国と全く変わらないよ。日本の支配は欧米諸国と違って寛大で、東南アジアの人たちは喜んで受け入れてた、みたいに思ってるのかもしれないけどさ。シンガポールの血債の塔の話を知らないのかな?
シンガポールやマレーシアでの華人虐殺については、彼らは中国人だから悪い奴で、殺されても当然みたいな意見を何回か見て仰天したことがあったな。この手の人たちは、なにがなんでも日本軍は常に正義、間違ったことなんて何一つしていないってことにしないと気がすまないのね。そう信じこむためなら、平気で被害者を悪者に仕立て上げる。閔妃なんかもそうだよね。

「○○は親日国だから好き」なんて言っている人をみると、いつもモヤモヤする。親日じゃなかったら好きじゃないわけだよね。ある国が好きかどうかは、その国が親日かどうかで決まるんだよね。
例えば私はマレーシアが好きだけど、マレーシアの人たちが親日かどうかなんて死ぬほどどうでもいい。たとえ日本嫌いな人が多かったとしても、そんなの関係なく私はマレーシアが好きだ。

「○○の人たちは親日なので日本人に親切にしてくれます」っていう言葉もよく耳にする。でも、それっていいことなんだろうか。「親日」だから親切にしてくれるより、自分に好意を持ってくれたから、とかその人が親切な人だからってほうが嬉しいけどな。相手の国籍によって態度を変えるような人なんてろくなもんじゃないと思うけど。

「親日の人」は大概の国にいると思う。数が多いかどうかは別として。でも「親日の国」なんて存在しないよ。国家間は利害関係で成り立っているんだから。いついかなるときも味方なんてことは基本的にない。日本政府のアメリカに対する態度はちょっとそんな感じがしないでもないけど。
敵か味方か、善か悪かの二元論に分けられるほど世界は単純じゃない。

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