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「絶対に受けたくない 無駄な医療(室井一辰)」という本はとてもオススメ!

2015年05月08日 01時00分00秒 | 
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 「絶対に受けたくない 無駄な医療」という本は、米国内科専門医認定機構財団(ABIM財団)という組織が中心となって無駄な医療を250以上公表していますが、その中から100項目の医療を紹介したものです。

 特に被曝量が多いCT検査や不要な薬や内視鏡検査は止めたいと思いましたね。
また腰痛は深刻でなければ、6週間はほうっておいたほうが良いとは驚きました。
しかも、腰痛は横になって休むよりは少しは動いた方が良いようです。


「絶対に受けたくない 無駄な医療」という本は、自分の医療を考える上でとても参考になると思います。
とてもオススメです!

以下はこの本のポイント等です。

・開腹か腹腔鏡かの選択が医療界でも結論が出ていないというのは真実だ。例えば、2014年に神奈川県立がんセンターの研究グループが、二つの手術法の間で患者の負担や栄養面に差はないという報告を出している。腹腔鏡は負担が軽いはずが、実はそうでもないという意外な結果である。世界的に検証が続く一大難問だ。

・公的機関である放射線医学総合研究所によると、CT検査1回で受ける被曝量は5~30ミリシーベルトの範囲にある。X線検査が1回当たり0.06ミリシーベルトであるのに比べれば十分に高い。さらに、東京電力が2014年に公表した福島第一原子力発電所の作業員に関する被曝量のデータによれば、2013年12月の最高値は10ミリシーベルト程度だった。CT検査は、この水準に匹敵する放射線被曝を受けると言える。

・患者自身は既に判断能力を失っており、胃ろうをするかどうかは家族の判断だ。「そんなことまでして本人は生きたいのか」「そんな状態のまま生き永らせていいものか」。そんな悩みを抱えながら日々を過ごしている家族は、それこそ胃ろうを受ける高齢者の数だけ存在する。背景にある問題としてよく指摘されるのは、高齢者に多額の年金や恩給が給付されている場合だ。胃ろうを受ける高齢者が現役時代に大企業に勤務していたり、旧軍人の遺族であったりする場合は特に問題になる。本人が生きているだけで、家族に金銭的な給付が入る。胃ろうをやめてどこかで寿病を全うせねばと分かっていても、中止の判断に損得勘定が絡む。

・帝王切開が日本を含めて世界的に増加している。米国のデータでは2003年に26%だったのが、2009年には36.5%まで急増している。日本でも同じように増加の軌道をたどっている。背景の一つには、出生前後のリスクを回避する医療側の動きがある。経膣分娩が長時間にわたり、新生児が低酸素にさらされれば脳性まひのリスクは増えるので、そのリスクを避けるために一定の時間内で出生させられる帝王切開が広がっているのだ。単純化して言えば、「訴えられると怖いから安全策を取る」ということ。医療機関にとっては、出産に関わる医療で訴訟を起こされてはイメージに大きな傷がつく。万が一にも事故が起きて訴えられるくらいなら、帝王切開を選んだ方が得策と考える。

・世界のガン医療を主導する米国臨床腫瘍学会はChoosing Wiselyで、「平均余命10年未満で、尿が出にくいといった前立腺に関係した症状のない男性に対しては、PSA検査をしてはならない」と言う。学会は「血液検査だけで前立腺ガンを診断できて便利だと、多くの医師が繰り返しPSA検査を実施するようになった」と振り返り、「症状のない男性から早期の前立腺ガンを発見してきた」と指摘する。その一方で、「不幸なことに、PSAはやっぱり有益ではなかった。前立腺ガンがあっても、PSA値が高くない男性が多すぎるからだ。ガンに無関係にPSA値が上昇しているだけだったりする」と嘆く。

・一般的には、ガンが発見されたら「すぐに治療」と考える。だが、必ずしも治療を開始しなくてもよいという考え方もある。例えば、前立腺ガンは、治療においても慎重を要するものになっている。とりあえず放置することも考えるという、耳を疑うような指摘である。

・乳ガンでも、前立腺ガンと同じように早期の段階ならば骨への転移検査をする必要はないと見られている。米国臨床腫瘍学会はChoosing Wiselyの中で、「転移リスクが低い早期の乳ガンでは、PET、CT、放射性核種を使った骨転移検査(骨シンチグラフィー)を実施してはならない」と指摘している。

・米国消化器病学会は、「大腸ガンの検診において、平均的なリスクを持つ人については、どんな手段でても、高性能の大腸内視鏡で陰性と出たならば、その後10年は大腸ガンの検診を繰り返してはならない」と、長期間にわたって再度の検査は不要と強調する。学会の説明によると、50歳以上で大腸ガンのリスクが高くない場合には10年間隔が適当だという。

・学会はChoosing Wiselyで、正常な人だけではなく、ポリープがあった場合についても項目を設けている。学会は「大腸内視鏡で1cm未満の腺腫性のポリープが1つか2つ見つかった人で、グレードの高い異形成がなく、しかも完全に切除し切ったならば、最低5年は大腸内視鏡を繰り返す必要はない」と説明する。

・米国癌委員会は、ガンの治療を実施するうえで、「いきなり手術」はご法度と考えている。まずは、ガンのタイプやステージに合わせた術前の「補助化学療法」や「放射線治療」を検討するようにと勧める。補助化学療法とは、手術の効果を高めるために実施する抗ガン剤の投与を指す。薬や放射線を使うと、効果的に治療できたり、生活の質を改善したり、生存率を高めたりする可能性がある。

・「風邪だから抗菌薬」というのはありふれた光景だろう。しかし、ウイルス感染症に抗菌薬が効かないとは長く言われてきたところ。あらためて米国の学会が「やめましょう」と言うことになった。米国小児科学会は、「明らかにウイルスによる呼吸器疾患に対しては、抗菌薬を使うべきではない」と指摘する。これは副鼻腔炎、喉頭炎、気管支炎も含んだ話だ。

・米国家庭医学会は、「腰痛を発症した時は、「赤い旗」が立っていなければ、6週間以内の段階で画像診断をするべきではない」と否定的だ。「赤い旗」とはここでは重症であったり、神経的な障害が進んでいたり、骨や筋肉の炎症など深刻な状況が疑われたりする場合を指している。

・北米脊椎学会は、「腰痛の治療のために48時間以上横になって休む処置は推奨しない」と主張している。これは、腰痛になっても休むより動くという潮流を反映したものだ。

・米国家庭医学会は、「妊娠週数39週0日より前の段階で、分娩誘発や帝王切開をしてはならない」と指摘する。妊娠満期は39週から41週。これよりも前に人工的に出生を促すのはよくないというわけだ。妊娠週数39週0日よりも前の分娩は、生まれてくる子どもの学習能力障害につながると分かっている。病気や死亡のリスクを高める結果にも関係する。

・サプリメントがもてはやされているが、ダイエット系、ハーブ系のサプリメントは意味がないとの見方がChoosing Wiselyでは出ている。米国医学毒性学会、米国臨床毒性学会は、「ビタミン類ではないダイエットサプリメントやハーブ類のサプリメントは健康を維持する目的で使うべきではない」と遠慮がない。「自然」「ナチュラル」などともてはやされる傾向もあるサプリメントだが、あくまでもイメージにすぎないと一刀両断。

・日本高血圧学会は従来の高血圧治療ガイドラインで、正常血圧を収縮期血圧、いわゆる「上の血圧」で130mmHg未満、拡張期血圧、いわゆる「下の血圧」で85mmHg未満と定めてきた。過去の臨床研究から、重篤な病気や死亡のリスクが高まる水準を参考としたものだった。だが今回、日本人間ドック学会は、正常の範囲を収縮期血圧で147mmHg以下、拡張期血圧で94mmHg以下と大胆に引き上げた。これまでの専門学会の基準で言えば「高血圧」だった人を「健康」だと言い切ったわけだ。これはBMIでも中性脂肪でも、LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールでも同じだ。日本人間ドック学会の”新基準”に照らせば、健康な人が一挙に増える。背景には、研究を担った2団体の意向が大きい。特に健保連だろう。健保連にとっての命題は、会社員から預かった健康保険料をできるだけ節約し、安定的な運営をすることだ。そのためには、医療費が拡大する中で健康な人を正しく健康であると見定めなければならない。外部の専門学会の基準が誤っているのであれば、専門家による基準であっても改めることは必要だ。今回、日本人間ドック学会と健保連が提示した健康基準の「再設定」は、医療界に一石を投じた。

・国の動きも無駄な医療をなくすうえで重要だ。その中でも、医療費の「包括化」は大きな可能性を秘めている。従来の医療は、個別の医療行為に対して報酬が発生する「出来高払い」が一般的だ。医療機関にとっては検査や治療を実施すればするほど儲かる。賢い医療機関ほど、患者から許容される範囲で検査や治療をやり尽くし、「診療費を必要十分にいただく」ことが定石になっている。結果として、過剰診療が生まれてしまう。それに対して、大規模な医療機関を中心に「包括払い」が広がっている。個別の医療行為ではなく、「疾患群」と呼ばれる病気ごとにかかる医療費が決められているのが特徴で、患者は疾患群の内容に従って医療費を支払う。いわば「パック料金」である。包括払いの何がいいのかというと、病気ごとに医療費の上限が定まるため、医療機関にとっては検査や治療をすればするほど利益が圧迫されるところだ。必要最低限の検査、必要最低限の治療で効率的に病気を治さなければならないため、必然的に検査や治療の必要性に厳しい目を注ぐようになる。

良かった本まとめ(2014年下半期)

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