<金曜は本の紹介>
「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する(島田伸助)」の購入はコチラ
この本は、タレントの島田紳助のビジネス経営哲学の本です。実は、25歳の時から自らの手でいくつものビジネスを起こしていて、それらを踏まえてその経営哲学を明らかにしたものです。
分かりやすく、面白く、スジを通した説明で、楽しく読むことができます。とてもオススメです!
以下は、その中で特に面白かったポイント等です!
・「こういうモノを作ったら売れるんとちゃうか」「こういう店をやったら流行るやろ」街を歩いていても、深夜のテレビショッピングを見ていても、そんなことばかり考えている。そういうことは誰にでもあるだろうが、僕の場合は、そこから徹底的なリサーチが始まる。そのアイデアが、現実に商売になるかどうか、いろいろな情報を集めて、分析して、人件費や損益分岐点みたいなことまで考えて、ビジネスのアイデアとして練り上げていく。そういう作業が、また好きなのだ。そこまでやって具体的なアイデアが固まったら、やっぱりカタチにしてみたい。自分のアイデアが、現実の世の中に通用するかどうかを確かめてみたい。それが、僕がビジネスをする最大の理由だ。漫才師になることを目指していた頃、僕は売れている先輩芸人の漫才をすべてノートに書きとめて、どこでお客が笑うのか、どこでお客は引いてしまうのか、人が笑うパターンを徹底的に分析して自分の漫才のネタを練り上げていった。あのときだって、そうやって練り上げたアイデアが、実際のお客さんに通用するかどうか、それを確かめることが、自分が漫才をしていく上で重要なモチベーションになっていたのだ。
・ビジネスは顧客満足度を上げることは当然だが、顧客満足度を高めるために従業員満足度を上げるという方法が話題になっている。従業員が満足して働ける環境を整えれば、サービスの質は自然に向上し、その結果としてお客さんの満足度も高まるというわけだ。ある食品メーカーが、従業員満足度を高くするための秘策として、社内恋愛を積極的に推奨したのだそうだ。昼食時や休み時間は、職場デートするカップルだらけ。同じ職場の男女が結婚しても、異動させられることはない。片想いの相手が社内にいたら、社長さんに直訴すれば、仲介の労をとってくれるのだという。なんという常識はずれ!日本の企業では考えられない話だが、その結果、そのメーカーはどうなったか。業績は爆発的に伸び、今や国内でも屈指の食品メーカーになったそうだ。ちなみにテレビのコマーシャルで、宮殿のような工場で作った焼肉のタレを宣伝している会社だ。この会社の業績が伸びた理由は、社員のやる気が爆発的に向上しただけでなく、その社長さんが社員を信じていること、社員の幸せを考えているからだ。人が働くのは、あくまで自分の幸せのためだ。その会社で働くことが、社員それぞれの幸福につながるようにするのが、経営者の役割なのだ。
・フォークソングバーを思いついたのは、もう4、5年前のことだ。きっかけは、深夜のテレビでよくやっているフォークソングCDのコマーシャル。あれをいつも見ながら、「これをいったい誰が買いよんねん」と思っていた。フォークソングといえば団塊の世代だ。つまり、その団塊の世代のおっちゃんおばちゃんたちが、家でこのコマーシャルを見てCDを買って聴いているということになる。たぶん自分の部屋でヘッドフォンをつけて音量を気にしながら。団塊のおっちゃんたちは、一人寂しく家でフォークソングを聴いている。そういう情景が心に浮かんだ。ならばそういう団塊世代を、家から引っ張り出すことはできないか。彼らのためのバーが街に1軒くらいあったっていいはずだ。会員制にして敷居は高くするけれど、金持ちだけを入れるわけじゃない。もっと一般的なフォークソングファンが集まりやすいバーにしようと思った。この店は開店以来大盛況を続けている。しかし、予想以上に若いお客さんが多かった。フォークソングに癒されるのは、団塊世代だけではなかったのだ。そして、今の若い子たちは、僕が思っていたよりお酒を飲まなかった。最初から客単価をかなり安く設定していただけにこれはけっこうな誤算だった。このままだと、償却に3年ぐらいかかる計算だ。3年で償却なら、普通の店としては何も問題はないはずだ。しかし、僕は1年半の償却期間を目標にしている。
・店をやっていると、そういう不測の事態は毎日のように起きる。店を経営するということは、想定外の問題を解決することといってもいいくらいだ。それをみんなでアイデアを出し合って、チームプレイで解決していくところが飲食ビジネスの醍醐味でもある。そうして自分が思いついてアイデアが現実の世の中でカタチになって、いろいろ試行錯誤を繰り返しながら大きくなっていくのを見るのは楽しい。
・石垣島の南部にはホテル等が集中していて、朝食を食べて午前中にホテルを出発し、手つかずの自然がかなり濃厚に残っている北の端に行き着く頃には昼食時ということになる。ところが、そのあたりにはほとんど観光施設らしきものがない。「ここに感じのいい喫茶店でもあったら、みんなお茶を飲むなり、ランチを食べるなりしたくなるんやないかなあ」初めてそこへ行った時、僕はそう思った。この思いつきが、ビジネスの種。「なんでそんな端っこやねん。それはあまりにも遠いぞ」と他のみんなは言う。だけど、遠いからこそ喫茶店を作る価値がある。そう思ったら、その自分の読みが当たっていることを確かめたくて仕方がない。石垣島の土地の相場や、観光客の行動パターンを僕なりに調査して、その石垣島の北端に喫茶店「TOMURU」をオープンしたというわけだ。僕の読みどおり、そんな場所にもかかわらず、お客さんはかなり入っている。ちょっと誤算だったのは、近所に他の喫茶店ができたこと。この店の料理がまた美味いときている。だから、お客さんを独り占めというわけにはいかなくなった。でも逆にいえば、それは僕の読みが正しかったことを裏付けているわけだ。
・「自分が冒険するわけじゃない。みんなを冒険の扉まで連れていくのが自分の仕事だ」とパリダカを始めたティエリー・サビーヌはこう言っていた。僕はこの言葉がものすごく好きで、そういう風に生きたいと昔から思っていた。だから若くて力のある子に、商売のマシンを与えて、ビジネスという冒険の扉の前に立たせ、「お前やったらダカールまで走りきれるよ」と言ってやりたいのだ。ラーメン屋を友人にやらせたときもそうだった。僕と友達の2人で、その25歳の彼に金を出してやろうと決めたときに、僕は一緒に出資すると言ってくれた友達にも言い聞かせるつもりでこう言った。「株式会社になった段階で、資金を出した俺と友達に24%ずつ株を売れ。残りはお前らが持て。24%ずつだったら2人で合わせても48%やから、俺たちは会社をコントロールでけへん。お前らが社長で経営者で、俺たちは夢を買うだけや。店が15店舗にまで増えたら俺たちに配当を払え。お前の器でいったら、15店舗にしないかん。おれがお前たちのダカールや。そこに辿り着けない場合は、失敗と見なす。俺たちはお前がダカールまで走りきれると信じて、それに賭けるわけやから、もし失敗しても、それは俺たちが悪かったんや」
・常識なんて敗者の論理だと書きながら、僕自身は過去に、その常識のせいで大失敗したことがある。バブル時代に、株で損して、不動産でも損をした。僕も世の中の常識というものに、いつの間にか縛られていた。俺は本業では、人と違うことをして成功してきたのに、なんでここで、人と同じことをしてんのやろ?あのときは、深く反省したものだ
・ビジネスを成功させたいから、熱い心を持った人間を探すのではない。熱い心を持った仲間と一緒に走りたいから、僕はビジネスをするのやと思う。
・心斎橋の鮨屋のスタッフは、僕に毎晩メールを送ってくれることになっている。内容はその日の売り上げや、お客さんの人数、稼働率などのデータだ。そうして毎晩いろんな数字を眺めていると、その日の店の様子までが見えてくるような気がするから不思議だ。売り上げはもちろんだけれど、僕がとても気になるのは客単価だ。思っていたより客単価が高いと、ちょっと心配になる。それはたとえば、先週は1万円の勘定ですんでいたお客さんが、今日は1万5千円払ったということだからだ。店としては、客単価が上がれば売り上げも上がるわけだから当然嬉しい。今日は本マグロの大トロを3つも食べたから、1万5千円は決して高くない。そのお客さんも「美味かったでえ。また寄らしてもらいます」と満足して帰らはった。お客さんは喜び、売り上げは上がる。どこにも問題はないはずや。このように店の人間は考える。だけど、お客さんというのは、そんな単純なもんやない、と僕は思う。伝票を見て「こんなに食べてこの値段は安いわ」と言っているお客さんが、実は心の中で「高いなあ」と思っている事だってあるのだ。「食べた鮨の満足感」と「払った値段」が釣り合っていないと思わせた時点で、店の負けだ。なぜなら、気分が悪くなるような店に、僕はもう2度と行かないからだ。
・満足感と値段が釣り合っていれば客は納得する。値段に比べて満足感が大きければ、この店はお客のために努力しはるんやなあと感動する。別に高級料理店じゃなくても、学生向けの定食屋だってそうだ。お腹を空かせた学生の顔を見て、ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する。「オバチャンの店に行くのは腹一杯食えるからや」と学生は言うかもしれないが、ほんとはみんな、オバチャンの気持ちが嬉しいのだ。客は料理だけを食べているわけじゃない。店の人の気持ちも一緒に食べているのだ。
・やせ我慢をしてでも、いつものように正直な商売をしなくてはいけない。それができて初めて、お客さんは店を信用してくれる。「やっぱりいい店やなあ。気分がいいから、またあの店へ行こう」と思ってくれる。だから商売をする人は、お客さんが本当に満足しているか、気持ちよく帰ってくれたかを、いつもよく考えておく必要がある。お勘定には、人間の気持ちというものが載っていることを忘れてはいけない。
・自分はビジネスが好きだと思っていたけれど、本当はそうではなくて、若かったあの頃に戻りたいだけなのだ。芸人になって天下を取ると心に決めて、吉本興業に入ったあの頃だ。芸人としての成功がたまたまじゃなかったことを確かめたくて、ビジネスにチャレンジしているという言葉に嘘はない。だけどもっと正確に自分の気持ちを分析すれば、それはゼロからスタートして成功を手にしたあの喜びを、また体験したかったということなのだ。
<目次>
第1章 みんなが幸せにならなきゃ意味がない
人の心を動かすアイデア
危険な成功の錯覚
常識はずれを合理的に考える
顧客満足度より従業員満足度
職場に恋人がいたら仕事が楽しくなる
人と人がつながり、チームが生まれる
第2章 常識破りで魔法のアイデア
タレントの店はなぜつぶれるのか
会員制で薄利多売を可能にする逆説的成功システム
フォークソングバーのアイデア
自分の成功が偶然でなかったことを証明するために
石垣島の北端にある喫茶店
単純なコピーは、オリジナルを超えない
初公開!今、考え中のアイデア
アイデアの基本は、客としての素直な目
どれだけ興味を持てるかが成功のカギ
第3章 仲間こそが宝物
冒険の入口まで連れていくのが僕の仕事
夢と冒険
いい子は幸せにならなくちゃあかん
天現寺のお好み焼き屋「のろ」の列
新しいビジネスを始めるなら素人と組む
同地区に同業種の店が増えれば客も増える
他人のために力を出せる心の熱い人間
こいつを男にするという気持ちが出発点
第4章 お金と成功
お金は確かに便利なものだ
客が言う「こんなに食べてこの値段は安い」は嘘
お金の重さ
冷静でさえあれば、視野は広くなる
16歳の誕生日に親父が買ってくれたバイク
心がひりひりするような不安と、頭が真っ白になる喜び
面白かった本まとめ(2006年)
面白かった本まとめ(~2006年)
<今日の独り言>
3歳8ヶ月の息子の最近の口ぐせは、「さすがに、~しよう!」です。ちょっと使い方が違うんですけどね・・・^_^;)まっいいか・・・。
「ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する(島田伸助)」の購入はコチラ
この本は、タレントの島田紳助のビジネス経営哲学の本です。実は、25歳の時から自らの手でいくつものビジネスを起こしていて、それらを踏まえてその経営哲学を明らかにしたものです。
分かりやすく、面白く、スジを通した説明で、楽しく読むことができます。とてもオススメです!
以下は、その中で特に面白かったポイント等です!
・「こういうモノを作ったら売れるんとちゃうか」「こういう店をやったら流行るやろ」街を歩いていても、深夜のテレビショッピングを見ていても、そんなことばかり考えている。そういうことは誰にでもあるだろうが、僕の場合は、そこから徹底的なリサーチが始まる。そのアイデアが、現実に商売になるかどうか、いろいろな情報を集めて、分析して、人件費や損益分岐点みたいなことまで考えて、ビジネスのアイデアとして練り上げていく。そういう作業が、また好きなのだ。そこまでやって具体的なアイデアが固まったら、やっぱりカタチにしてみたい。自分のアイデアが、現実の世の中に通用するかどうかを確かめてみたい。それが、僕がビジネスをする最大の理由だ。漫才師になることを目指していた頃、僕は売れている先輩芸人の漫才をすべてノートに書きとめて、どこでお客が笑うのか、どこでお客は引いてしまうのか、人が笑うパターンを徹底的に分析して自分の漫才のネタを練り上げていった。あのときだって、そうやって練り上げたアイデアが、実際のお客さんに通用するかどうか、それを確かめることが、自分が漫才をしていく上で重要なモチベーションになっていたのだ。
・ビジネスは顧客満足度を上げることは当然だが、顧客満足度を高めるために従業員満足度を上げるという方法が話題になっている。従業員が満足して働ける環境を整えれば、サービスの質は自然に向上し、その結果としてお客さんの満足度も高まるというわけだ。ある食品メーカーが、従業員満足度を高くするための秘策として、社内恋愛を積極的に推奨したのだそうだ。昼食時や休み時間は、職場デートするカップルだらけ。同じ職場の男女が結婚しても、異動させられることはない。片想いの相手が社内にいたら、社長さんに直訴すれば、仲介の労をとってくれるのだという。なんという常識はずれ!日本の企業では考えられない話だが、その結果、そのメーカーはどうなったか。業績は爆発的に伸び、今や国内でも屈指の食品メーカーになったそうだ。ちなみにテレビのコマーシャルで、宮殿のような工場で作った焼肉のタレを宣伝している会社だ。この会社の業績が伸びた理由は、社員のやる気が爆発的に向上しただけでなく、その社長さんが社員を信じていること、社員の幸せを考えているからだ。人が働くのは、あくまで自分の幸せのためだ。その会社で働くことが、社員それぞれの幸福につながるようにするのが、経営者の役割なのだ。
・フォークソングバーを思いついたのは、もう4、5年前のことだ。きっかけは、深夜のテレビでよくやっているフォークソングCDのコマーシャル。あれをいつも見ながら、「これをいったい誰が買いよんねん」と思っていた。フォークソングといえば団塊の世代だ。つまり、その団塊の世代のおっちゃんおばちゃんたちが、家でこのコマーシャルを見てCDを買って聴いているということになる。たぶん自分の部屋でヘッドフォンをつけて音量を気にしながら。団塊のおっちゃんたちは、一人寂しく家でフォークソングを聴いている。そういう情景が心に浮かんだ。ならばそういう団塊世代を、家から引っ張り出すことはできないか。彼らのためのバーが街に1軒くらいあったっていいはずだ。会員制にして敷居は高くするけれど、金持ちだけを入れるわけじゃない。もっと一般的なフォークソングファンが集まりやすいバーにしようと思った。この店は開店以来大盛況を続けている。しかし、予想以上に若いお客さんが多かった。フォークソングに癒されるのは、団塊世代だけではなかったのだ。そして、今の若い子たちは、僕が思っていたよりお酒を飲まなかった。最初から客単価をかなり安く設定していただけにこれはけっこうな誤算だった。このままだと、償却に3年ぐらいかかる計算だ。3年で償却なら、普通の店としては何も問題はないはずだ。しかし、僕は1年半の償却期間を目標にしている。
・店をやっていると、そういう不測の事態は毎日のように起きる。店を経営するということは、想定外の問題を解決することといってもいいくらいだ。それをみんなでアイデアを出し合って、チームプレイで解決していくところが飲食ビジネスの醍醐味でもある。そうして自分が思いついてアイデアが現実の世の中でカタチになって、いろいろ試行錯誤を繰り返しながら大きくなっていくのを見るのは楽しい。
・石垣島の南部にはホテル等が集中していて、朝食を食べて午前中にホテルを出発し、手つかずの自然がかなり濃厚に残っている北の端に行き着く頃には昼食時ということになる。ところが、そのあたりにはほとんど観光施設らしきものがない。「ここに感じのいい喫茶店でもあったら、みんなお茶を飲むなり、ランチを食べるなりしたくなるんやないかなあ」初めてそこへ行った時、僕はそう思った。この思いつきが、ビジネスの種。「なんでそんな端っこやねん。それはあまりにも遠いぞ」と他のみんなは言う。だけど、遠いからこそ喫茶店を作る価値がある。そう思ったら、その自分の読みが当たっていることを確かめたくて仕方がない。石垣島の土地の相場や、観光客の行動パターンを僕なりに調査して、その石垣島の北端に喫茶店「TOMURU」をオープンしたというわけだ。僕の読みどおり、そんな場所にもかかわらず、お客さんはかなり入っている。ちょっと誤算だったのは、近所に他の喫茶店ができたこと。この店の料理がまた美味いときている。だから、お客さんを独り占めというわけにはいかなくなった。でも逆にいえば、それは僕の読みが正しかったことを裏付けているわけだ。
・「自分が冒険するわけじゃない。みんなを冒険の扉まで連れていくのが自分の仕事だ」とパリダカを始めたティエリー・サビーヌはこう言っていた。僕はこの言葉がものすごく好きで、そういう風に生きたいと昔から思っていた。だから若くて力のある子に、商売のマシンを与えて、ビジネスという冒険の扉の前に立たせ、「お前やったらダカールまで走りきれるよ」と言ってやりたいのだ。ラーメン屋を友人にやらせたときもそうだった。僕と友達の2人で、その25歳の彼に金を出してやろうと決めたときに、僕は一緒に出資すると言ってくれた友達にも言い聞かせるつもりでこう言った。「株式会社になった段階で、資金を出した俺と友達に24%ずつ株を売れ。残りはお前らが持て。24%ずつだったら2人で合わせても48%やから、俺たちは会社をコントロールでけへん。お前らが社長で経営者で、俺たちは夢を買うだけや。店が15店舗にまで増えたら俺たちに配当を払え。お前の器でいったら、15店舗にしないかん。おれがお前たちのダカールや。そこに辿り着けない場合は、失敗と見なす。俺たちはお前がダカールまで走りきれると信じて、それに賭けるわけやから、もし失敗しても、それは俺たちが悪かったんや」
・常識なんて敗者の論理だと書きながら、僕自身は過去に、その常識のせいで大失敗したことがある。バブル時代に、株で損して、不動産でも損をした。僕も世の中の常識というものに、いつの間にか縛られていた。俺は本業では、人と違うことをして成功してきたのに、なんでここで、人と同じことをしてんのやろ?あのときは、深く反省したものだ
・ビジネスを成功させたいから、熱い心を持った人間を探すのではない。熱い心を持った仲間と一緒に走りたいから、僕はビジネスをするのやと思う。
・心斎橋の鮨屋のスタッフは、僕に毎晩メールを送ってくれることになっている。内容はその日の売り上げや、お客さんの人数、稼働率などのデータだ。そうして毎晩いろんな数字を眺めていると、その日の店の様子までが見えてくるような気がするから不思議だ。売り上げはもちろんだけれど、僕がとても気になるのは客単価だ。思っていたより客単価が高いと、ちょっと心配になる。それはたとえば、先週は1万円の勘定ですんでいたお客さんが、今日は1万5千円払ったということだからだ。店としては、客単価が上がれば売り上げも上がるわけだから当然嬉しい。今日は本マグロの大トロを3つも食べたから、1万5千円は決して高くない。そのお客さんも「美味かったでえ。また寄らしてもらいます」と満足して帰らはった。お客さんは喜び、売り上げは上がる。どこにも問題はないはずや。このように店の人間は考える。だけど、お客さんというのは、そんな単純なもんやない、と僕は思う。伝票を見て「こんなに食べてこの値段は安いわ」と言っているお客さんが、実は心の中で「高いなあ」と思っている事だってあるのだ。「食べた鮨の満足感」と「払った値段」が釣り合っていないと思わせた時点で、店の負けだ。なぜなら、気分が悪くなるような店に、僕はもう2度と行かないからだ。
・満足感と値段が釣り合っていれば客は納得する。値段に比べて満足感が大きければ、この店はお客のために努力しはるんやなあと感動する。別に高級料理店じゃなくても、学生向けの定食屋だってそうだ。お腹を空かせた学生の顔を見て、ご飯を大盛りにするオバチャンの店は必ず繁盛する。「オバチャンの店に行くのは腹一杯食えるからや」と学生は言うかもしれないが、ほんとはみんな、オバチャンの気持ちが嬉しいのだ。客は料理だけを食べているわけじゃない。店の人の気持ちも一緒に食べているのだ。
・やせ我慢をしてでも、いつものように正直な商売をしなくてはいけない。それができて初めて、お客さんは店を信用してくれる。「やっぱりいい店やなあ。気分がいいから、またあの店へ行こう」と思ってくれる。だから商売をする人は、お客さんが本当に満足しているか、気持ちよく帰ってくれたかを、いつもよく考えておく必要がある。お勘定には、人間の気持ちというものが載っていることを忘れてはいけない。
・自分はビジネスが好きだと思っていたけれど、本当はそうではなくて、若かったあの頃に戻りたいだけなのだ。芸人になって天下を取ると心に決めて、吉本興業に入ったあの頃だ。芸人としての成功がたまたまじゃなかったことを確かめたくて、ビジネスにチャレンジしているという言葉に嘘はない。だけどもっと正確に自分の気持ちを分析すれば、それはゼロからスタートして成功を手にしたあの喜びを、また体験したかったということなのだ。
<目次>
第1章 みんなが幸せにならなきゃ意味がない
人の心を動かすアイデア
危険な成功の錯覚
常識はずれを合理的に考える
顧客満足度より従業員満足度
職場に恋人がいたら仕事が楽しくなる
人と人がつながり、チームが生まれる
第2章 常識破りで魔法のアイデア
タレントの店はなぜつぶれるのか
会員制で薄利多売を可能にする逆説的成功システム
フォークソングバーのアイデア
自分の成功が偶然でなかったことを証明するために
石垣島の北端にある喫茶店
単純なコピーは、オリジナルを超えない
初公開!今、考え中のアイデア
アイデアの基本は、客としての素直な目
どれだけ興味を持てるかが成功のカギ
第3章 仲間こそが宝物
冒険の入口まで連れていくのが僕の仕事
夢と冒険
いい子は幸せにならなくちゃあかん
天現寺のお好み焼き屋「のろ」の列
新しいビジネスを始めるなら素人と組む
同地区に同業種の店が増えれば客も増える
他人のために力を出せる心の熱い人間
こいつを男にするという気持ちが出発点
第4章 お金と成功
お金は確かに便利なものだ
客が言う「こんなに食べてこの値段は安い」は嘘
お金の重さ
冷静でさえあれば、視野は広くなる
16歳の誕生日に親父が買ってくれたバイク
心がひりひりするような不安と、頭が真っ白になる喜び
面白かった本まとめ(2006年)
面白かった本まとめ(~2006年)
<今日の独り言>
3歳8ヶ月の息子の最近の口ぐせは、「さすがに、~しよう!」です。ちょっと使い方が違うんですけどね・・・^_^;)まっいいか・・・。