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「二代目が潰す会社、伸ばす会社(久保田章市)」という本はとてもオススメ!

2014年07月11日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 「二代目が潰す会社、伸ばす会社」という本は、中小企業がうまく後継者に後継させる秘訣について、分かりやすくまとめたものです。
 
 特に、著者の考える後継経営者の役割は以下の3つで、本書ではその3つの役割を果たすために何をどうすればよいのか、どのような知識や能力が必要となるのか、それはどのようにすれば身につけることができるのかを多くの事例を交えながら分かりやすく解説しています。

<後継経営者の役割>

 (1)会社を潰さないこと(第2章)
 (2)社員の力を結集させること(第3章)
 (3)経営革新を行うこと(第4章)

そして、最後に後継者の育成方法について書かれています。
 必要な能力は「A:経営実務能力」「B:経営者としての人的能力」で、具体的にどうやって身につけるかについて説明があります。

 また幼少の頃から4つの育成段階に分けて。それぞれ具体的に何を育成するのかを書かれているのには驚きましたね。
 幼少期には厳しい躾と善悪などの価値観教育が必要で、また躾だけでなく勉学やスポーツにも打ち込ませることが重要なようです。
 また、高校選びが重要で、その理由としては高校時代に将来の進路を決めることと、高校時代は将来の人脈形成に大きく影響するためです。
 ちなみに中小企業の経営者が自分の子に最も進学させたい大学は、強固な同窓会組織のあるK大学とのことです。(慶応大学?)

 それから他社勤務は必要だし、先代が経営リスクを取ることのできる社長在任中に、後継者に経営革新を取り組ませることが重要なようです。

 「二代目が潰す会社、伸ばす会社」という本は、中小企業がうまく後継者に後継させる秘訣について、とても分かりやすく書かれていて、とてもオススメです!

 以下はこの本のポイントなどです。

・後継者問題を考える時、まず考えなくてはならないのは、「誰を後継者にするか」です。選択肢には大きく分けて「親族」と「親族外」の2つがあります。このうち親族では、①息子、娘などの実子、②娘婿、③配偶者、兄弟などの他の親族の3つがあり、親族外では、④社員や役員などの企業内人材、⑤取引先や銀行などから招聘する企業外人材の二つがあり、全部で5つの選択肢があります。このうち、「親族外」の場合には、社員にいくら優秀な人材がいようとも、社外に経営者に相応しい人材がいようとも、解決すべき難問が横たわっています。その一つは、親族外の経営者に「株式」を譲渡できるかという問題です。中小企業の多くは未上場です。会社の「所有」と「経営」が未分離で、株式も経営者一族にその過半が集中しています。しかし、親族外の人に社長を任せる場合、本来ならば株式も譲渡しなければ思うような経営ができません。新社長は株主である旧経営者一族の顔色を窺いながら経営をすることになるからです。しかし、仮に旧経営者一族が「株式を譲渡してもよい」と言ったとしても、株式の取得資金が調達でいるかという問題があります。通常、親族外の人材が「経営者になってもよい」と考えるような企業は、株式の評価も高く、取得しようとすると数千万円の資金を必要とすることもザラにあります。この資金を調達できるか、という問題が残ります。もう一つは、銀行取引における「保証」の問題です。わが国では未上場企業が銀行から融資を受けようとすると、通常、社長には企業の「連帯保証人」になることが求められます。しかし、親族外の人が社長になる場合、保証人を引き受けられるかという問題があります。親族が後継者の場合には、将来、いつかの段階で先代から資産や株式を相続しますが、親族外の人には一般的に、資産や株式は譲渡されません。親族外の人が保証人になる時には、万一の場合、自分自身の資産を提供する覚悟が必要です。

・後継者はどのようにして育てたらよいのでしょうか。私は、「後継経営者の役割」をはっきりさせ、そうした役割を果たせるような後継者を育てるべき、と考えています。私の考える「後継経営者の役割」は、つきつめると次の3つです。
 ①会社を潰さないこと
 ②社員の力を結集させること
 ③経営革新を行うこと
私は、この3つで後継経営者が行うべきことの9割以上はカバーできると考えています。「後継経営者の役割」がはっきりすれば、後継者は自分が何をすればよいかが見えてきます。3つの役割を果たすために必要な知識や能力は何か、それを身につけるためにはどうすればよいか、あるいは、どのような行動をとればよいのか。目標が分かれば、ああおはそれに向かって努力するだけです。

・借入金が多いかどうかを判断する簡便な方法もあります。月商との比較で見る方法です。業種によっては当てはまらない場合もありますが、一般の中小企業の場合には、これでおおよその判断はできます。計算方法は、借入金/月商です。この数字は銀行界で一般的に次のように判断されます。
 12ヶ月以上-過大。危険水域(レッドカード)
  6ヶ月程度-やや過大。要注意(イエローカード)
  3ヶ月未満-健全

・会社が潰れる原因やそこに至る経緯が分かれば、「潰さない」方法が見えてきます。一言で言えば、「こうならないような経営を行う」ことです。つまり、
 ・利益を出す
 ・キャッシュの管理をしっかり行う
 ・銀行から借入ができる関係にしておく
 ・常に経営リスクを考え、対策を講じておく
 ・コンプライアンスを遵守する
などに取り組むことです。

・後継者が、「会社を潰さない」経営を行うために、必要なこと、身につけるべきことは何でしょうか。その一つは「知識」です。キャッシュ不足を起こさないためには、経理・財務の知識は不可欠です。最低限、決算書や資金繰り表は読めないといけません。その他、営業戦略に関する知識、人事関係の知識、コンプライアンスなどの知識も必要です。売れる商品、儲かる商品を開発するためには、社会や経済、海外市場の動向、ITを含めた技術進歩などの知識も必要です。こうした知識は、本を読む、セミナー等に参加するなど自ら積極的に獲得するように努力しなければ入手できません。二つ目は、「経営能力」です。会社の経営は、言うまでもなく経営者一人ではできません。会社を経営するということは、従業員の力、取引先や銀行の力を借りて、事業を行うことです。そのためには、経営能力を身につけ、従業員、取引先、銀行に信頼される経営者にならなければなりません。このうち、特に力を入れるべきことは、従業員の力を結集させることです。

・後継者が「求心力を得る」と考えると、何をしてよいか分かりませんが、「社員から信頼される経営者になる」と考えれば、何をすべきかが見えてきます。社員の信頼を得るために、例えば、次のような行動をするのです。
 ・社員の意見を聞く、相談する
 ・経営理念やビジョンを示し、社員の共感を得る
 ・従業員満足度が高まるような施策を行い、社員をやる気にさせる
 ・社員を育てる
こうしたことを行えば、社員は後継経営者に対して、「信頼の心の扉」を開いてくれるものと思います。しかし、これだけでは、信頼される経営者にはなれません。後継経営者として信頼されるためには、
 ・経営判断が的確で、その判断が結果的に正しいものである
 ・業績を上げ、よい実績を出す
ことも重要です。

・先代が、自分の代に社員を採用し育ててきたように、後継者も、真の求心力を持つためには、自分が採用し、自分で育てたほうが早いかもしれません。

・後継者の求心力を高めるためには、その障害を取り除くことも、場合により必要です。古参社員の存在は、時には後継者の求心力の妨げになることもあります。そもそも古参社員は、長年、先代経営者の片腕として働いてきました。いい時も悪い時も、先代経営者と苦楽を共にして、一緒になって事業を行ってきました。従って、古参社員の中には、先代と同等以上に、会社の将来のことを考えている人もいます。それが時には、後継者の求心力の妨げになったり、後継者がやろうとする経営の足かせになることもあります。古参社員も、主君が変わった以上、新しい主君(=後継者)の方針に従うべきです。確かにこれまでは先代に仕えてきましたが、これからは、後継社長をサポートしようと頭を切り替えるべきです。しかし、もし、どうしても後継社長についていけないというのであれば、社長交代を機に会社を去るべきだと思います。

・人が人についていこうとする時、最後にモノを言うのはこの「人柄」です。人は、謙虚な人、人のことを思ってくれる人、人の成長を考えてくれる人についていきます。威張る人、自分勝手な人にはついていきません。いわゆる「後継者」は、中小企業の経営者の子として生まれた時から、将来、人を引っ張っていく宿命にあります。従って、若い頃から人間としての「人柄」を磨いておくべきだと思います。後継者は、入社した時から周りは「将来の社長」という目で見ています。しかし、年も若く、知識や経験も乏しく、将来の経営者としてはあくまでも発展途上です。これから、様々なことを社内外の人から学ばなければなりません。その振る舞いを、周りは見ています。父親や先輩社員には礼儀正しく接し、謙虚に学ぶ姿勢を示す。分からないことは聞き、判断に迷えば相談する。入社の頃から、そうした行動をとっていれば、後継社長になった時にも、社員は受け入れてくれるものと思います。

・後継者はどんな経営革新に取り組めばよいのでしょうか。私は、経営革新を「目的別」に2つに分けて考えることを提案しています。1つは、「事業戦略における経営革新」と「経営システムにおける経営革新」の2つです。「事業革新」は、例えば、新商品や新サービスの開発、インターネット販売のような新しい販売チャネルの開発、海外などの新市場の開拓、あるいは新事業への進出などです。この「事業革新」の目的は「売上を増やす」ことです。顧客が求める新商品を開発する。新しい販売チャネルを開発し、新しい市場を開拓する。これらは、皆、「売上を増やす」ために行う経営革新です。もう一つの「経営システム革新」は例えば、生産・流通方式の変更等による大幅なコストダウン、IT化等による大幅な業務改善・経営の効率化、大規模な組織改革、人事制度の抜本的な改革などです。「経営システム革新」の目的は、「事業革新」とは違います。コストダウンを図り、仮に売上が変わらないとしても利益が出る体質にする。業務の改善、効率化を図り、人件費を削減し、あるいは、そこで浮いた人材を別の部署で活用する。組織改革を行い、意志決定のスピードを上げる。人事制度を見直し、社員のモチベーションを上げるなど、「経営体質の強化」が目的です。このように、「経営革新」を「目的」に応じて2つに分けて考えれば、今後、自社は、どんな目的で経営革新に取り組むべきか、実際に行う経営革新は何がよいか、といったことが考えやすいと思います。

・「事業マトリックス」を使って「狙うべき市場」と「商品」の方向感が決まったとしますと、今度は、もう一つの視点、「経営資源」を考える必要があります。つまり、自社の経営資源で、その市場にその商品を提供することが「できるか」という視点です。ここで言う経営資源とは、平たい言葉でいえば、ヒト、モノ、カネです。(このほかにも、技術、ノウハウなどもありますが)

・中小企業の経営革新の進め方は、
①小さな戦略を立て、それをとにかく成功させるように最大限の努力をする
②その過程でぶつかった困難や障害には、その都度、考えて対応する
③こうして、まずは最初の「小さな戦略」を成功させる
④成功したら、おそらく次の事業アイデアが浮かぶ(改良する、広げる、横展開するなど)
⑤次の事業アイデアを、また、確実にやり遂げ、成功させる
⑥こうしたことを繰り返し、一つひとつ成功させた「結果」、経営革新が行われる
のだと。その後、多くの中小企業の経営革新を見てきましたが、どこも同じでした。最初から「大きな経営戦略」を描いたり、「かなり先までを見通した戦略」を立てていたわけではありません。まずは、小さな戦略を立て、それを確実に成功させる。成功したあと浮かんだ次の事業アイデアを、また、確実にやり遂げる。そうした一つひとつの成功を積み重ね、「経営革新企業」になっていました。

・私は、かつて、土木建設業から農業や農産物加工業などに進出したある五代目の社長に、「なぜ、新しい事業に取り組むのか」を尋ねたことがあります。返ってきた答えは、「後継者であると同時に、一人の人間。一度しかない人生、好きなことに取り組みたい」でした。そして、その五代目のモットーは、後継者は先代から引き継いだバトンを落としてはいけない。しかし、バトンの色は好きなように変えてもいい。だそうです。確かに、そうです。後継者といえども、一人の人間です。どうせ後を継ぐなら、好きなことをやる。後継者であることを「宿命」と思って、先代の事業を引き継ぐ生き方もあるでしょうが、先代の経営インフラを活用して、「自分の好きな事業をやる」生き方もあると思います。

・後継経営者にとって必要な「経営者能力」を2つに分けて考えています。それは、次の2つです。
 A 経営実務能力
 B 経営者としての人的能力
Aの「経営実務能力」は、経営者としての職務を遂行するために必要な「専門知識」や「業務処理能力」です。具体的には、商品・業界知識、経理・財務知識、経営計数管理、営業関係能力(営業戦略立案、営業力など)、情報収集力、人事関係知識(労働法、人事制度、評価方法など)、コンプライアンス知識、IT活用力などです。また、経営哲学や経営理念など、経営に対する基本的な考え方もここに入れてもよいと思います。Bの「経営者としての人的能力」は経営者に必要な能力のうち、知識のように本などで学ぶことのできない、「経営者本人に備わっている能力」のことです。具体的には、結果を出そうとする強い意志、洞察力、判断力、決断力、決断する勇気、リーダーシップ、熱意、人柄、人間的魅力などです。

・B能力は、長い年月をかけて、様々な「体験」をすることによって身につけるしかありません。幼少期から青年期における家庭や学校での教育や友人を通じて。あるいは他社勤務先で上司や先輩、同僚と一緒に仕事をすることによって。また、先代社長によるOJT教育や、社内プロジェクトや子会社の責任者を任されることによって。こうした様々な「体験」を通じて身につけていくのだと思います。その時、重要なのは「自分は将来、後継経営者になる」という本人の自覚です。将来、後継経営者になるという自覚があれば、洞察力にしろ、判断力にしろ、リーダーシップにしろ、様々な体験を行う中で、身についていくと思います。人材育成に関して、よく言われる言葉に「人は育てることはできない。育つ環境を整えるだけ」があります。特にB能力は、まずは後継者になるという自覚を持たせ、あとは、より「育ちやすい」環境に置くことです。

・A能力のうち、特に後継者に必ず習得しておいてほしいのが経理・財務知識です。後継経営者の第一の役割は「会社を潰さない」です。会社が潰れるのは、お金(キャッシュ)がないからです。従って、会社を潰さないためにはお金に関する知識、つまり経理・財務の知識が不可欠です。ところが、私が見てきた後継者の中には、経理・財務の知識に弱い人が多くいるように感じます。

・「信頼」を得るためには「誠実」でなければなりません。とすると、経営者の営業に最も必要な能力は「誠実さ」のような気がします。営業力というのは本来、経営者のA能力の一つです。しかし、そのベースにはB能力の人柄(誠実さ)があるように思います。

・人は皆、自分の話を聞いてほしいと思っています。そして、話をじっくり聞いてくれた人には好意を持つものです。先代はたいていワンマンで、社員の意見を聞くことはあまりなかったはずです。ですから、後継者は、社員の話をできるだけじっくり聞くのです。基本は、社員との1対1の面談です。家族のこと、仕事で困っていること、どうしたら会社がもっとよくなると思うか、将来の夢など、できるだけ話してもらい、極力、聞き役にまわってください。自分から、将来はこういう会社にしたいというビジョンを話すと、なおよいと思います。ただし、気をつけてほしいのは、あくまでも聞くのがメイン。社員が話すのが8割、自分が話すのは2割を心がけてください。

・後継者の育成で「特に重要な時期」の一つが、「幼少期から学生時代まで」でした。幼少期とは、「物心ついてから小学生まで」の期間のことを言いますが、成功企業では、この幼少期に、厳しい躾が行われ、善悪などの価値観の教育が行われていました。例えば、「挨拶をしっかりする」「人に何かをしてもらったらお礼を言う」「悪いことをした時には厳しく叱られる」などの教育です。また、「よく、偉人の伝記を読み聞かせられた」という話もありました。こうした教育は、主に「母親」の役割でした。母親は、単に躾だけでなく、勉学やスポーツにも打ち込ませていました。母親から言われ、「そろばん教室に通った」「進学塾に通った」という話や、「柔道教室に通った」「サッカークラブに入っていた」「少年野球チームに入っていた」などの話が多くありました。後継者の多くは、幼少期には、将来後継者になるというような意識は持っておりません。しかし、中小企業経営者の妻である母親は、「将来の後継者」をある程度意識しながら、幼少期から、礼儀などの躾、善悪などの価値観の教育を行い、勉学や体力づくりなどに取り組ませていたのだと思います。私は、中小企業の後継者に限らず、幼少期の教育が重要だと考えています。仮に、将来、スポーツアスリートになろと、医者や研究者になろうと、あるいは普通のサラリーマンになろうと、幼少期にどのような教育を受けたかが、成人になってからの考え方や行動に影響すると考えています。

・幼少期のあと、中高、大学といった学生時代では、「高校」が最も重要です。その理由の一つは、高校時代に「将来の進路」を決めるからです。今日では、中小企業の後継者の大半は大学を卒業しています。どの大学に進学して、何を学ぶか(学部学科の選択)は、高校時代に、将来の進路を考える中で決めます。もし、将来、弁護士になろうと思ったら法学部に、医者になろうと思ったら医学部に、デザイナーになろうと思ったらデザイン学科に、建築家になろうと思ったら建築学科に進学します。後継者が、もし、こうした専門家を育てるような学部学科に進学すれば、一般の中小企業の後継者になる可能性は低いと思います。私の研究では、実際に中小企業の後継経営者になた人の多くは、「高校3年」の頃には、将来、「後継者になる」ことを意識していました。高3の時に将来の後継者を意識し、大学の学部学科は、文化系であれば経済・経営系、理科系であればその会社の事業に関連する学部学科(例えば清酒製造なら農学部醸造学科、機械メーカーなら機械工学科など)を選択していました。もう一つの理由は、どの高校を選ぶかということが、「将来の人脈形成」に大きく影響するからです。高校が、いわゆる「進学校」であれば、有名大学に進学する可能性が高くなります。もし、有名大学に進学することができれば、そこでできた友人が将来の人脈となり、それは、将来、ビジネスの上でも役立ちます(ちなみに、中小企業の経営者が自分の子に最も進学させたいだいがくは、強固な同窓会組織のあるK大学です)。高校時代の人脈も重要です。すでに後継経営者になっている人に、現在の自身の人脈を挙げてもらったところ、「高校時代の友人」という答えが最も多くありました。特に、地方にある中小企業の場合には、「高校時代の人脈」が重要です。どの地方にも、その地域ナンバー1高校と言われる高校があります。大体が歴史の古い高校で、その高校の卒業生が、地域の経済界、行政分野などで活躍しており、そぐ調整のネットワークも強固です。地方では、どの大学を卒業したかより、むしろ、どの高校を卒業したかのほうがより重要のように思います。

・「高校」選びが重要ということになると、当然ながら中学時代に、その高校に入れるような勉強をさせておく必要があります。「成功企業」の家庭は、どこも教育熱心でした。中学時代は、スポーツに打ち込ませつつ、しっかり勉強もさせ、高校は多くの場合、進学校に進学していました。私が「リーダーシップがある」と感じている後継経営者に、中学・高校時代はどんな学生生活だったかを聞いたところ、「○○部のキャプテンをしていあ」「○○部の部長だった」「生徒会長だった」という話が多くありました。中学・高校時代にキャプテンや部長などの責任ある立場に立ち、組織をまとめた経験は、おそらく、将来、ビジネスの世界でリーダーシップを発揮するのにプラスになると思います。

・もう一つ中学・高校時代に、ぜひやっておいてほしいことは、父親の経営する会社の事業を、ある程度理解させておくことです。1970年代以前は、中小企業の経営者の住居と工場や会社の事務所が近いところにあり、経営者の子どもは、工場や事務所によく出入りし、子ども心に職場の雰囲気を感じ取っていました。今は、会社の規模が大きくなるなどで、経営者の住居と工場・事務所が離れているケースが多く見られます。

・大学では、専門分野の勉強をする、運動部に入り、クラブ活動中心の学生生活を送る。どちらもありだと思いますが、どちらであれ、この間に生涯付き合うような「友人」を作ることです。そして、人生を考えるような「本」を読み、「語学」を勉強することです。できれば大学にいる間に、単位互換制度のある海外の大学に短期留学をしたほうがよいと思います。語学力が身に付きますし、視野も広がると思います。

・大学卒業後すぐに自社に入社するのではなく、いったん他社勤務を経験すべきです。期間は大体3、4年が適当です。なぜ、他社勤務をさせるべきかと言うと、理由が3つあります。1つは自社では新人教育が難しいことです。社長の息子といえども、大学を出たばかりの社会人1年生です。中小企業の多くは、新卒社員を定期的に採用している企業は少なく、多くは自社内に新入社員の教育システムを持っていません。それに、仮に新人教育システムがあったとしても、社長の息子を教育するのは教えるほうとしてもやりにくいものです。2つ目は、勤務する会社から様々なことが学べることです。朝礼や夕礼、営業の仕方、稟議の書き方、会議の進め方、人事評価の仕組みなどなど、会社の内部に入らないと分からない様々なことが学べます。ここで学んだ経験は、自社に持ち帰ることもでき、自社の経営革新、改善にも役立ちます。3つ目は、人脈作りです。たとえ3、4年であっても同じ釜の飯を食った仲間です。特に入社同期との付き合いは、その後、何十年も続きます。親しかった同期が、30歳代で課長に、40歳代で部長に、場合によっては50歳代で役員になっているかもしれません。彼らと定期的に交流することによって、商品、技術、海外事情、経営全般にわたる様々な情報を入手することができます。

・勤務する会社は、将来、自社の経営に影響を及ぼすであろう業種・企業がよいと思います。最も多いのは、自社より規模の大きい同業他社に勤務することです。例えば、地方の菓子店の後継者が大手食品メーカーに勤める。地方の建設会社の後継者がゼネコンに勤めるなどです。その会社で、自社の一歩二歩先の経営を学ぶのです。このほか、自社の販売先に勤める、銀行に勤める、商社に勤める、あるいは将来の先進技術を学ぶためにIT系の会社に勤めるなどもあると思います。

・他社勤務を経て、入社するのは大体26歳前後です。入社後、最初に就かせる仕事は現業部門がよいと思います。期間は半年から1年です。例えば、製造業ならば工場、問屋なら仕入れ・出荷・発送業務、小売りなら商品担当です。その会社の現場ではどのような仕事が行われているのか、そこで働いている人たちは、どんな人で何を考えているのかを一緒に働きながら知ることです。その時の肩書きは「ヒラ」。当社ではあくまでも新人であり、肩書きは不要です。ヒラで、汗を流して一生懸命働く姿を他の社員に見てもらうのです。次に就く仕事は経理部門がよいと思います(年齢27歳頃)。そこでは、実際に帳簿をつけ、入出金管理を行い、資金繰り表を作り、できたら決算書作成に携わることです。肩書きは、「ヒラ」か「主任」。経理部門にいる間に経理関係の本を読み、セミナーに参加して、経理・財務の知識を深めます。在籍期間は、1年半から2年。決算を1回経験するためには、最低でも1年半くらいは経理部門に在籍させるべきです。終了すると、年齢は29歳前後です。

・次は社外研修に参加させます。国内の場合は、中小企業大学校の「経営後継者研修」(期間10ヶ月)か、いくつかの大学にあるビジネススクール(経営大学院。期間は1年か2年)がお勧めです。そこで後継者に必要な知識やメソッド、ビジネスプランの作成方法などを学び、将来の相談相手になる「後継者ネットワーク」を作るのです。期間は、1年間がよいと思います。後継者の場合、昼間の授業を受けることも可能ですし、修了後の育成計画もあります。できれば1年間の短期コースのあるところを選び、集中的に学んだほうがよいと思います。海外の場合は、米国の大学などに6ヶ月程度短期留学すのがよいと思います。

・社外研修が終了するのは30歳頃です。次に従事する仕事は、営業または経営企画です。どちらの仕事をさせるかは、業種や会社の規模、会社の抱える課題などから考えたらよいと思います。売上低迷で市場開拓が課題の会社であれば営業、新商品の開発や新市場進出が課題であれば経営企画を担当させるなど、会社の状況等から判断します。その時の肩書きは「課長」か「室長」。ある程度の権限を与え、取り組ませます。期間は2年程度です。できれば、この間に結婚したほうがよいと思います。今後、役員になれば忙しくなりますし、社長に就任すればプライベートな時間はとりにくくなります。後継者の結婚適齢期は「入社後から役員就任まで」の期間です。

・後継者は、課長や室長の肩書で営業や経営企画の仕事を2年程度したあと、32歳前後で、突然、役員(常務または専務)になります。役員の期間は、社長就任までの約6年間です。この時期は、陸上競技で言う「バトンゾーン」で、先代社長と併走して「社長業」を学びます。また、「新社長就任」という「本番」前のリハーサル時期でもあります。この時期の育成が、新社長としてスムーズなスタートが切れるかどうかを大きく左右します。役員就任後、できるだけ早い段階で学んでおいたほうがよいおは、次のことです(製造業の場合の例です)
①自社商品の原材料調達先、製造方法、製造原価、販売先、販売価格など
②自社製品の特徴、競合他社商品と比較した場合の強み、弱み
③取引先の信用状況や人事関係情報(担当者の人柄、異動の可能性など)
④取引先や銀行などとの過去の歴史(トラブル、世話になったことなど)
⑤経営計数、主要管理計数
⑥自社の抱えている経営課題
⑦社員の人事情報(評価、家族構成、趣味など)
⑧自社の経営理念、先代の経営哲学
こうしたことを役員就任後の早い段階で学び、把握します。学ぶ相手は、各部門の責任者や父親の社長などです。そして、経営課題などの中にすぐに対応すべきことがあれば、社長と相談し、できれば率先して対応します。もう一つ、役員の間に、ぜひやっておいてほしいことがあります。それは次のことです。
①経営判断を要することがあれば、社長に代わって判断する
②難しい対外交渉を社長に代わって行う
③将来の会社に必要な経営革新に取り組む
④重要なプロジェクト(新商品開発、海外拠点開設など)の責任者を務める
⑤部門(営業部、支店、子会社など)の責任者となり、業績改善・向上の指揮をとる

<目次>
第1章 会社を潰すも伸ばすも、カギは後継者
 中小企業が多い、あるまちでの会話
 後継ぎが見つからない会社-客Aとの会話
 甘やかされて育った若社長-客Bとの会話
 社長を退いても実権を離さない父親-客Cとの会話
 二代目が成し遂げた世界企業への成長
 後継者が「倒産」させる会社が増えている
 なぜ後継者が継いだ会社が潰れてしまったのか
 半分の会社は後継ぎが決まっていない
 「なぜ、今、後継者問題?」をめぐる2つの仮説
 現在は、戦後2度目の社長の大交代期
 親族以外には会社を引き継がせにくい
 息子・娘を後継者とするべき理由は「意地」と「経営革新」も
 会社を潰さず、社員の力を集め、経営革新を行う
第2章 「会社を潰さない」ということ
 会社が「潰れる」とはどういうことか
 なぜ会社から現金がなくなってしまうのか-3つのケース
 潰れないためには、まず利益を出す
 5つの利益の仕組みと意味
 利益を出すには、まずは支出を減らす
 新市場を開拓するか、新商品を開発するしかない
 売上は顧客の支持、利益は顧客が認めた価値
 高付加価値商品の開発ではニッチ市場を狙う
 営業マン一人ひとりに「粗利益」の目標がある
 赤字になれば、何がどうなるのか
 「お金のことは任せた」で会社を潰す二代目
 銀行は「雨の日には傘を貸さない」もの
 借入金が月商6ヶ月分はイエローカード、レッドカードは・・・
 過剰な節税をすると、銀行から借入しにくくなる
 自社の経営リスクを把握し、万一に備える
 間違った方向の「生き残りたい」で倒産、廃業
 会社を潰さない後継者が保持している能力とは
第3章 若社長は発展途上 社員の力を結集させる
 経営とは「馬を乗りこなす」こと?
 社員たちが、先代ばかり見る理由
 就任直後に「求心力」など、あるわけがない
 誰がリーダーを決めるのか
 いきなり社員にトップダウンしてはいけない
 「こんな経営をしたい」を明快に打ち出す
 経営理念を作る時は社員の意見も聞く
 あなたは自社の「経営理念」を言えますか
 経営理念は社員が共感を覚えるものに
 先代社長の下で、彼らにまったく不満がなかったのか
 社員を経営に参画させる
 新しい社員を採用し、自分で育ててみる
 的確な経営判断で「実績」を出すのはマスト
 時には、社員の入れ替えも考える
 会長室と社長室の広さで分かった「実権」のありか
 社長の花道プロジェクト
 最後に大切なのは、人柄
第4章 先代にできないことをやる 経営革新への取り組み
 なぜ、経営革新が必要か
 企業もアンチエイジングをしないと老いてしまう
 大企業では社員、中小企業では経営者が取り組むもの
 なぜ先代ではなく、後継者なのか
 「事業の革新」と「経営システムの革新」がある
 「事業戦略マトリックス」で考える
 5つの事業戦略とは何か
 市場は将来を考え、商品は自社の強みを活かす
 不足する経営資源をいかにして確保するか
 後継者なりの「困難」をどう乗り越えるか
 後継者による革新にはタイミングと順番がある
 社長就任前ならいつでもOK、順番はなし
 小さな戦略を描き、一つずつ確実にやり遂げる
 機動的に修正すれば経営革新の成功率は6割にできる
 後継者を突き動かす3つの「原動力」
 「自分のやりたい事業」をやってもいい
第5章 会社を伸ばす社長は、こうして育つ
 「経営者の能力」は大きく2つに分けられる
 A能力とB能力は経営者の役割にどう関係するか
 どこで学ぶのか、どうやって身につけるのか
 二代目以降の社長が、後継者に経理と財務を学ばせたがる理由
 社長の営業力のベースは口のうまさより誠実さ
 これからの時代、外国語とITリテラシーは必須
 リーダーシップの源泉は「聞く力」
 最も必要なものは「熱意」と「人柄」
 後継者育成は4つの育成段階に分けて考える
 失敗企業の社長は幼少期に厳しい躾がされていない
 「どの高校か」が最も重要
 中高時代に継ぐべき事業を理解し、大学は友人作り
 大学卒業後、3、4年間の他社勤務経験
 入社後に就かせる仕事は現場、経理、営業
 役員になれば部門やプロジェクトの責任者に
 先代からの「社長業」伝授には様々なノウハウ
 兄弟二人は並び立てるのか
 先代の参謀役だった古参社員をどうする
 社長を譲る前に、絶対に取り組ませるべきこと
参考文献
おわりに

面白かった本まとめ(2014年上半期)

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