安倍晋三の傲慢さと度量の狭さ、ケツの穴の小ささが見えてくる岸田文雄との7月23日の面会否定

2018-07-27 11:07:59 | 政治
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 自民党政調会長岸田文雄が2018年7月24日、都内の岸田派事務所で記者会見、前日の7月23日に安倍晋三と面会し、9月の党総裁選には自身は立候補せず、立候補確実な安倍晋三を同派として支持することを告げたと、2018年7月24日付産経ニュース が伝えていた。

 その箇所を【岸田氏会見詳報(3)】から見てみる。

 記者「首相と会見前に電話したときに不出馬と合わせて3選の支持も伝えたのか。昨日は直接会ったのか」
 岸田文雄「はい、まず先ほど、この会見の前に電話で連絡をさせていただいた際には、おっしゃるように不出馬と安倍総理支持、これについて会見することを申し上げました。昨日は直接お会いしてお話をさせていただきました」

 【岸田氏会見詳報(4)】の冒頭では次のような遣り取りとなっている。  

 記者「安倍晋三首相(自民党総裁)と話して、この政策は実現してほしい、こういったテーマを取り組んでほしいという話はしたか」

 岸田文雄「具体的に何を言ったか言わなかったか、やり取りしたか、これは控えます。基本的な政治の姿勢、取り組みということについて話をさせていただきました。以上です」

 岸田文雄が説明している話の内容は電話で遣り取りすることではない。7月23日に安倍晋三と直接面会して不出馬と安倍支持を伝えていたことが分かる。

 であるにも関わらず、岸田文雄は自身の記者会見前に安倍晋三に電話して、「不出馬と安倍総理支持、これについて会見することを申し上げた」と言っている。

 岸田文雄の安倍晋三に対する従順ぶりが物の見事に現れている。次の次の総裁選で安倍晋三の支持を願ったことからの、あるいは禅譲を期待したことからの従順ぶりなのかも知れない。

 従順さはプライドの売り渡しによって表現可能となる。

 奇妙なことに岸田文雄が記者会見で自ら説明していた7月23日の安倍晋三との面会を官房長官の菅義偉が否定したと2018年7月25日付「朝日デジタル」記事が伝えている。

 菅義偉「(首相は)会ったことはないということだった」

 記事解説。〈朝日新聞の首相動静によると、23日に首相と岸田氏が面会した記録はない。ただ、首相動静をつくる首相番の記者は主に首相官邸の正面玄関から入る面会者を確認する。官邸には複数の出入り口があり、その全てを確認できているわけではない。記者に分からないようにする「極秘会談」も過去にたびたび行われてきた。

 動静によると首相は23日午前、歯の治療で東京・富士見の日本歯科大付属病院を訪問。正午前に官邸に戻ってから3時間ほど、来客は記録されていない。午後3時前から自民党参院議員や外務省や防衛省の幹部らとの面会を重ね、7時前に東京・富ケ谷の自宅に帰宅。その後の来客も記録されていない。〉――

 岸田文雄がウソをつく理由も動機もないことは明らかである。次の次の総裁選で安倍晋三の支持を期待する、あるいは禅譲を願うには自らの記者会見前に電話で不出馬と安倍晋三支持の記者会見を開きますと伝えるだけであったなら、逆に失礼に当たる。このような電話は前以って面会して自身の不出馬と安倍晋三支持を直に伝えていてこそ、より有効となるだけではなく、支持の期待や禅譲を願う自身の従順ぶりをより鮮明に表現できることになる。

 となると、安倍晋三がウソをついていることになる。そのウソを菅義偉が記者会見でそのまま伝えた。

 安倍晋三がなぜウソをついたのか、それを解くヒントとなる一つの記事がある。《【自民党総裁選】迷った岸田氏、何も得ず 首相は不信感、宏池会冷遇も》産経ニュース/2018.7.25 05:30)

 記事の発信日は7月25日。岸田文雄の記者会見7月24日の翌日である。岸田文雄は記者会見前日の7月23日に安倍晋三と面会して、自身の不出馬と安倍支持を伝えたと言っているだけではなく、記者会見前にも安倍晋三に電話して、同じことを伝えたと明らかにしている。

 こういった経緯を前提に記事の内容を見てみる。岸田文雄の岸田派(宏池会、48人)はそれまで〈首相支持に回り3年後に首相からの「禅譲」を狙うべきだという意見と、9月の総裁選に出馬を促す「主戦論」が交錯〉していたと記事は伝えている。

 ところが、不出馬と安倍支持を伝えたのは7月23日。細田派(清和政策研究会、94人)、麻生派(志公会、59人)、二階派(志帥会、44人)は既に安倍晋三支持を打ち出していた。

 この7月23日について記事は、〈早期に支持を得たかった首相の不信感が最高潮に達した後〉だと解説している。故に、〈岸田氏が得るものは乏しく、遅きに失した判断となった。〉との見方を示している。

 但し安倍晋三の不信感が最高潮に達するにはキッカケがあったことを記事は伝えている。

 6月18日夜、安倍晋三と2人だけで会食した岸田文雄は冒頭、「私はどうしたらいいのでしょうか」と発言、安倍晋三を呆れさせたという。

 総裁選への自身の進退を自ら決めるのではなく、安倍晋三に尋ねた。安倍晋三から立候補をやめて自分を支持して欲しいと言って貰いたかったのかも知れない。

 この6月18日夜の会食時の岸田文雄の発言に対して安倍晋三がどのような発言で応じたのかは記事は紹介していない。岸田文雄の不出馬と安倍支持表明が6月18日から7月23日と1カ月以上も日数を置いたからなのか、〈総裁選をめぐる岸田氏の対応は首相の期待を裏切る形となった。〉と書いていいる。

 〈6月の会食後、安倍晋三は周囲に「今さら支持するといわれても遅い」と岸田氏への不快感を隠さず、石破茂元幹事長との総裁選一騎打ちを避けるため「岸田さんに出てもらった方がいい」と語るようになった。〉とも解説、岸田派幹部の、「政権が苦しいときに支持を打ち出しておけばよかった」との声を紹介、支持の価値観低下を嘆く様子も伝えている。

 前回2015年9月予定の総裁選は無投票当選であったが、前々回の2012年の総裁選挙は安倍晋三は国会議員票54票に対して石破茂34票と上回ったものの、地方票では安倍晋三87票に対して石破茂165票と倍近くの差を許し、総得票数で石破茂を下回って、決選投票で安倍晋三108票対石破茂89票で辛うじて逆転できたが、5人も立候補していて票が割れたことと、第1次安倍政権で見せた政権担当能力に対する不人気が影響した辛勝ということであって、現在の安倍一強の状況とは大きく異なっている。

 岸田文雄の不出馬と安倍晋三支持にしても安倍一強の状況を計算した選択であり、その結果の安倍晋三に対する従順さの迎合的態度と言うことなのだろう。 

 このような安倍一強が反映して、今回は自民党は衆議院議員283名、参議院議員122名の計405名の内、細田派94人、麻生派59人、二階派44人、合計半数近い197人が早々に安倍晋三支持を打ち出していた。

 そして岸田派に対しても早々とした支持表明を期待したが、6月18日夜の安倍晋三との会食時に「私はどうしたらいいのでしょうか」と自分では決めることができない煮え切らない態度を示され、安倍晋三は呆れて、「今さら支持するといわれても遅い」と思わせるに至ったのは、既に勝算を頭に描くことができていた余裕からだろう。

 勝算の余裕がなかったなら、側近の誰かを岸田文雄の元に遣わせて、それとなく支持を要請したはずだ。

 既に勝算の見込みがありながら、岸田派の支持さえ求めたのは記録的な圧倒的支持による記録的な圧倒的総裁選勝利が演出できて、それを元手に2021年9月の総裁任期切れまで政権運営に弾みをつけて、2019年夏の参院選挙の勝利、さらに状況が許せば、総裁任期切れ1カ月後の2021年10月の衆院議員任期前に解散・総選挙に打って出て、あわよくばそれをも勝利すれば、一度も国政選挙に負けたことのない首相としての金字塔を打ち立てることができ、政治史に名を残すことができるとの思惑があったからだろう。

 このような思惑からしたら、岸田派の支持は絶対的な必要性を備えていることになり、支持表明が遅れたとしても、素直に感謝すべきを、そうはせずに岸田文雄が不出馬と安倍支持を表明した、ウソをつく理由も動機もない7月23日の安倍晋三との面会を安倍晋三自身が否定したことは岸田派支持の安心感の上に立ちながら、岸田文雄の支持表明が遅れたことへの不快感から、岸田派の支持がなくても総裁選は勝利するし、政権運営にも困らないことの当てつけの態度と見る以外にない。

 この思惑と、それとは異なる実際に見せている不正直な態度との掛け離れように安倍晋三の度量の広さとは正反対の気持の狭さ、ケツの穴の小ささ、傲慢さを否応もなしに見る。
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