高村正彦は沖縄基地化を既成事実とした自民政治の甘えを「沖縄米基地依存は日本国民の県民への甘え」と言う

2015-11-05 09:04:00 | 政治


 自民党副総裁の高村正彦が那覇市での自民党員向けのセミナーで公演した発言を「asahi.com」――《「日本国民全体が沖縄県民に甘えている」自民・高村氏》(2015年11月3日17時45分)が伝えている。

 全文を引用してみる。

 高村正彦「日米同盟の一番の基礎は日米安全保障条約だ。条約上日本が米国に基地を提供することは義務だ。米国はいざという時の日本の防衛義務がある。違った義務を持っている。基地提供義務については、沖縄に基地面積で70%以上の負担をしてもらっている。感謝しなければいけないし、申し訳ないと思っている。日本国民全体が、沖縄県民に長いこと甘えてしまっている。これから少しでも基地負担を減らす。沖縄以外の所で引き受ける。そういう覚悟が日本全体に必要だ。

 さはさりながら、当面の問題として何が一番大事と言ったら、普天間(飛行場)の危険除去だ。現実的な可能性として辺野古移設しかない。その点をよく理解頂きたい。

 日本政府が長年検討して、これしかないんだと。私たちの政権だけではない。『最低でも県外』と言った政権でもできなかった。私たちも沖縄県の負担軽減を少しでもしたいと思ってやっているが、現実の問題として、普天間の危険除去、沖縄全体の基地負担の軽減のためには、辺野古移設しかない。実際検討してみるとそれしかないということを、ご理解頂ければと思う」――

 2013年3月末現在で全国の米軍専用施設の、全国土0.6%の沖縄県比率は73.8%だという。99.4%の日本本土に米軍専用施設は22.2%のみ。

 もう一つ統計がある。沖縄が本土復帰した1972年以降40年経過の2012年時点で、本土では約59%に当たる約1万1600ヘクタールが返還されたが、沖縄県で返還されたのは約18%の約5000ヘクタールにとどまる。

 沖縄は日本が1952年(昭和27年)4月28日のサンフランシスコ平和条約でアメリカの占領から解かれた後も米軍の施政権下に置かれて、沖縄の占領当時から始まっていた沖縄を米軍の基地の島として集約的に集中させる沖縄基地化がほぼそのままの状態で現在に引き継がれてきたことによる沖縄県の米軍専用施設の対全国比73.8%という高い占有率であり、返還率の本土と比較した低い確率と言うことになる。

 つまり沖縄基地化が本土返還後もさして変わらぬ姿で続いていることになる。

 沖縄が先ずこういった状況にあることを念頭に置かなければならない。

 高村正彦は沖縄のこういった状況に対して「日本国民全体が、沖縄県民に長いこと甘えてしまっている」と言っている。

 果たして日本国民の問題だろうか。日本の政治が、と言うよりも、戦後ほぼ一貫して独裁政治状態を続けてきた自民党政治が1972年の沖縄本土復帰以降も米軍の沖縄基地化を既成事実として受け止め、ほぼそのままに放置した“甘え”が沖縄米軍基地の現状と言うことであろう。

 このことは続けて発言した言葉からも証明することができる。「これから少しでも基地負担を減らす。沖縄以外の所で引き受ける。そういう覚悟が日本全体に必要だ」と言っているが、沖縄の本土復帰、沖縄返還時に示さなければならなかった覚悟であったはずである。

 だが、その覚悟を戦後を通じて具体化することなく、「これから」の覚悟とする。

 これは政治の怠慢以外に何を示すというのだろうか。

 米軍の沖縄基地化を既成事実として甘え、沖縄の基地を本土で引き受ける覚悟を示すことができないままに現在に至ってしまった。

 その上、「当面の問題として何が一番大事と言ったら、普天間(飛行場)の危険除去だ。現実的な可能性として辺野古移設しかない」からと、あるいは「現実の問題として、普天間の危険除去、沖縄全体の基地負担の軽減のためには、辺野古移設しかない。実際検討してみるとそれしかない」からと、今まで示しておかなければならなかった覚悟抜きの「現実的な可能性」や「現実問題」を理由に沖縄になお甘えようとしている。

 沖縄基地化の既成事実化をなお推進する何重もの甘え以外の何ものでもない。

 ここで自民党政治が既成事実化への甘えをキッパリと断ち切らなければ、いつまでも米軍基地を沖縄に依存する甘えの恒久化へと進むに違いない。基地の島としての姿を沖縄は持ち続けることになる。

 高村正彦はつまるところ、米軍基地を沖縄以外の本土で引き受ける覚悟を言いつつ、普天間を辺野古に押し付けることで沖縄基地化を既成事実化する甘えと甘えの恒久化を口にしたに過ぎない。

 日本の安全保障を口実としてはいるが、自分たち自民党政治の立場だけしか考えないから、実際に自分が何を言ったのか気づきもしないだろう。

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