野田首相らの3党合意党議拘束の正当性

2012-06-17 06:45:41 | Weblog

 自身のご都合主義で原理主義的態度をコロコロ変える岡田副総理が「社会保障・税一体改革」を置き去りにした消費税増税主体法案の国会採決時、賛成の党議拘束をかけると発言。

 6月16日。

 岡田ご都合主義者「当然、党議拘束がかかる」(YOMIURI ONLINE

 いわば反対、もしくは棄権した民主党議員はそれなりの処分を行うという意思表示である。

 これぞ全くの原理原則を掲げたご都合主義に他ならない。

 野田首相も岡田ご都合主義的原理原則主義者にしても、「社会保障・税一体改革」案は正式な党内手続きを経て民主的に決めたもので、その案に賛成の立場で従うのが当然だという態度を取ってきたが、正式な党内手続きを経た正式な決定であるなら、国会採決時の法案は正式な党内手続きを経て正式に決定した内容と同じ内容でなければならない。

 もし内容を一つでも違えたなら、正式な党内手続きだとしていることも正式な決定だとしていることも崩れることになる。

 正式に契約した車とは異なる車を納品して、この車を受け入れろ、受け入れなければ罰を与えると言っているようなものである。

  野田首相の3月4日夜の日本テレビ番組での発言。
 
 野田首相「一体改革の議論は昨年1年間ずっとやってきた。丁寧に時間をかけた。特に素案了承の時は深夜まで100人残り、拍手で終わっている。100対0で決まっている。その党内手続きを経て、法案を提出しようとする」(時事ドットコム

 野田首相記者会見(2012年2月10日)

 野田首相「党内にまた(反対する)そういう意見があるということは承知をしておりますけれども、これは昨年の6月に社会保障と税の一体改革の成案を作るときも、そしてその後に1月6日に素案をまとめる過程においても、丁寧な党内の議論はずっと積み重ねてきたつもりであります。もうほとんどこれ1年越し、昨年議論してきた中で、そのプロセスに瑕疵があったとは思いませんので、みなで、政府与党一丸となって成立を期していきたいというふうに思います。」

 2月29日(2012年)午後の党首討論。

 野田首相「手順は踏んできているんです。去年の6月に成案をまとめました。成案をまとめましたときには、これは政府と党が一体でまとめたんです。それを踏まえて8月の代表選で明確にそれを具体化していくと申し上げました。そして、素案として1月6日にまとめました。これも多くの時間をかけながら、多くの人が参加をして、熟議を重ねながら、最後はこれは拍手で、そして握手で終わっています。深夜までかかりました。党内のプロセスは民主的なプロセスを踏んでしっかりやってまいりました。その素案を閣議決定したら、もしかすると与野党協議に応じていただけるかもしれないという話があったんで、閣議決定しました。大綱にしました。そのときもいろいろ議論がありましたけれども、きちっと手順を踏んで、党議として今の方向を決めております。

 そして今度は年度内に法案を提出する。これも与党のご了解を得ていきたいと思います。51対49の党内世論でも、手続きを踏んで決めたらみんなで頑張っていくということをぜひ、皆さんの前にお示しをしていきたいと思います」


 みんなで決めたんだから、みんなで賛成するのは当たり前だと力説している。「党議」(党の決議)だと。

 だが、3党協議では、「手順は踏」み、「民主的なプロセスを踏んで」決め、素案、大綱に盛り込んだ内容とは異なる内容での合意となった。

 民主党政権が目玉とした「総合こども園」は取り下げ、小泉内閣時代末期に計画されて安倍内閣発足後まもなくの2006年10月1日から本格的な制度運用が開始された「認定こども園」を継続、この現行制度の改善で子育てを手当てするとした3党合意の一つを以てしても、民主党の党内承認手続きは破綻し、無効化したことを意味することになる。

 3党合意文書には「総合こども園」なる文言はどこにもなく、現行の「認定こども園」についてのみについて次のように触れている。

 〈(1)子育て関連の3法案の修正等

 (1)認定こども園法の一部改正法案を提出し、以下を措置する。

 ▽幼保連携型認定こども園について、単一の施設として認可・指導監督等を一本化した上で、学校および児童福祉施設としての法的位置付けを持たせる。

 ▽新たな幼保連携型認定こども園については、既存の幼稚園および保育所からの移行は義務付けない。

 ▽新たな幼保連携型認定こども園の設置主体は、国、地方公共団体、学校法人または社会福祉法人とする。〉・・・・・

 「最低保障年金」と「後期高齢者医療制度撤廃」の文言が3党合意文書に一言も触れていないことは昨日のブログに書いた。

 3党合意文書に姿形を消しているにも関わらず、さも生き続けているかのように言っている。

 野田首相「最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の撤廃にしても、マニフェストの旗は捨てておらず、今後は『国民会議』で実現したい」」(NHK NEWS WEB

 勿論、野党側はマニフェスト撤回獲得を戦果としている。

 6月16日都内街頭演説。
 
 谷垣自民党総裁「(修正合意で)マニフェストのまやかしをチャラにした」(時事ドットコム

 「まやかしをチャラにした」とは、余程野田内閣を下に見た言葉となっているが、徹底的に打ちのめしたという意識とそのことによって得た自らの誇らしい戦果が念頭にあってのことでなければ、こういった言葉は出てこないはずだ。

 斉藤鉄夫公明党幹事長代行「民主党の公約は実質的に撤回された」(同時事ドットコム

 6月1日、消費税率引き上げ法案等審議の衆議院特別委員会所属民主党の議員ら約20人出席の公邸昼食会。
 
 出席者「消費税率引き上げ法案だけを先に通して、社会保障関連の法案をやらないということはあってはならない。党内には、『そんなことになれば、消費税率引き上げ法案そのものにも賛成できない』という声もある」

 野田総理大臣「社会保障の旗を降ろし、消費税率引き上げ法案だけを通すという認識は持っていない」

 野田首相が自らの認識をどう表現しようとも、民主党内事前承認手続きの内容が3党合意によって変質したことに変わりはない。当然、事前承認手続きが無効化したことに変わりはない。 

 自分たちが無効化しておきながら、その無効化を今度は野田内閣が民主党に対して「チャラ」にするために3党合意内容を改めて党内に諮り、了承手続きを取る方針でいるが、野田首相が言っているように「昨年1年間ずっとやってきた」「一体改革の議論」を“チャラ”にした、もしくは反故にしたのである。

 その責任を一切取らずに自分たち賛成派でのみ決めた3党合意を後付けで民主党の反対派を含めて了承を取るというのは一方的で、しかも党議拘束をかけるというのは自分たちの意志のみを絶対とする独裁的やり方だと言われても仕方があるまい。

  野田首相らの3党合意党議拘束の正当性はどこにも存在しないということである。

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