菅仮免は東電福島第一原発廃炉工程案を自身の情報発信とするために公表せずに温存した?

2011-07-10 05:42:14 | Weblog

 

 菅仮免が昨7月9日、午後から民主党本部で開催の民主党全国幹事長・選挙責任者会議で挨拶した。《福島第1原発:「事故処理、最終的に数十年」 首相見通し》毎日jp/2011年7月9日 18時14分)

 記事には挨拶している菅仮免の写真が添付されている。そのキャプションには「2011年7月9日午後1時5分、武市公孝撮影」と撮影時間がつけられている。

 7月9日午後1時開始、最初に菅仮免が挨拶に立ったということなのだろう。

 東京電力福島第1原発事故について次のように発言している。

 菅仮免「3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」

 記事は、〈との見通しを示した〉と書いていて、菅仮免自身の見通しとしている。同時に、〈放射性物質による汚染の除去や廃炉が終わるまでの期間を指すとみられる。〉と解説を加えているところを見ると、上記発言以上に詳しく話したわけではないようだ。

 同じ内容を伝える「NHK NEWS WEB」記事では、「3年、5年、10年、最終的には数十年の単位の時間がかかる見通しになっている。原子力行政の抜本的な改革や、エネルギー政策そのものについて、国民的な議論をしていく必要がある」となっていて、第三者の予測を述べた形式の発言となっている。

 他に上記「毎日jp」記事が伝えている発言。

 菅仮免「原子力行政のあり方、エネルギー政策について抜本的に国民的な議論をしていく必要がある」

 九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働の前提として指示したストレステスト(耐性試験)について。

 菅仮免「国民に納得、安心してもらえる手続きをどうすれば取れるかという観点から真摯(しんし)に議論した中での行動だ。週明けには方向性を出すことができる」

 これは7月〈11日に政府の統一見解を出すことを説明した。〉ものだそうだ。

 玄海原発の再稼働手続きに関して。 

 菅仮免「原子力施設の問題などは日々動いている。『従来のままでいいじゃないか』という役所もないわけではない」

 日々動いていないのは自身だとは気づいていない。

 この「役所」とは〈従来の手続きで進めようとした経済産業省〉のことで、経産省批判だそうだ。だったら前以て議論し、混乱が起きないような配慮をするのがリーダーの役目だが、リ-ダーの役目を果たさないまま批判する。

 菅仮免の発言を信用する人間があとどれくらい残っているのだろうか。

 〈「脱原発解散を狙っているのではないか」との臆測を呼んでいることを念頭に〉

 菅仮免「政局のためにやっているという報道があるとすれば、私自身、内閣のメンバーの気持ち、考えと全く違う。・・・・最後の最後の一秒に至るまで全力をあげて責任を果たす覚悟だ」

 全力を上げるにはそれぞれの能力が前提となる。100メートルを1分前後で走る走者と10秒前後で走る走者とでは自ずと全力の結果に違いが生じる。

 自身の能力の結果が既に見えているにも関わらず、そのことを弁えずに口先だけで言っているに過ぎない。

 菅仮免は廃炉の工程を自他の見通し如何に関わらず、「3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」とした。だが、数十年という長期に亘る処理の時間に伴って当然影響を与えることになる放射能避難者の生活について何ら言及していない。どの記事もそうで、原子力発電の視点のみに立った発言で終わっている。

 昨日のブログに書いたことだが、8日の衆院本会議で佐藤茂樹公明党議員から「一国の総理が、被災者の方々や、原発被害者に目を向けない、寄り添う心を持ち合わせていないことに対し、憤りすら覚えます」と批判されたのに対してきっぱりと否定していたが、実態は佐藤茂樹公明党議員が「失政に次ぐ失政を重ねながら、地位に異常な執着を見せ、自らの延命のためだけに首相の座に居座り続ける恥知らずな日本の首相」と同じく批判していたように被災者のことよりも自身のこと、自身の任期のことしか頭にないようだ。

 昨夜の7時のNHKニュースは何人かの放射能避難者の「帰れるものなのか、帰れないものなのか」といった、「十数年」という年月が測り知れないことのように心配する切実な声を伝えていた。

 この自身が見通したのか、第三者の見通しを代弁したのか、「3年、5年、10年、最終的には数十年単位の処理の時間がかかる」とした廃炉の工程について「NHK NEWS WEB」記事が「2011年7月9日 12時13分」の時点で伝えている。民主党全国幹事長・選挙責任者会議開催の7月9日午後1時よりも約1時間近く前の発信である。

 《廃炉に向けた工程表案明らかに》

 これは記者会見で発表された工程表案ではなく、NHKが入手したものとなっている。

 こう書いてある。〈この工程表の案は、先週、国の原子力委員会や原子力安全・保安院などの国の関係者のほか、東京電力や原子炉のメーカーなど原発事故に対応する関係機関が一堂に集まった会議で示されたものです。〉

 先週の時点で既に示されていたものをNHKが入手した。入手したなら他社に先駆けて報道するだろうから、入手日時は発信日と同じ7月9日の12時13分という発信時間前の近い時間と見ていいはずだ。

 先週とは6月26日の日曜日から7月2日の土曜日までを言う。7月2日の会議で示されたものだとしても、1週間経過してもなお正式な公表がない。

 記事は工程表案の内容を次のように伝えている。

1.廃炉作業

 1号機から4号機の使用済み燃料プールに保管されている核燃料の取り出しを3年後の2014年度初めに開始。
 2016年度末以降、順次各号機で終えていく。

2.溶け落ちた核燃料を取り出す作業

 10年後の2021年度から開始することを仮の目標とし、必要な技術開発を進めていく。

 記事は書いている。〈この目標はアメリカのスリーマイル島原発事故の処理でかかった時間などを参考に決めたとされています。しかし、福島第一原発の場合、スリーマイル島原発とは違い、格納容器が損傷しているため、作業を進めるには格納容器を補修し、水で満たせるかどうかなどが重要なポイントになるとしています。最終的に原子炉建屋を解体し、撤去するのは、これらの核燃料を取り出す作業を終えたあとのことで、工程表の案では「数十年オーダーの長期に及ぶことが想定される」として、廃炉には長期間の作業が必要だという見方を示しています。〉――

 溶け落ちた核燃料を取り出す作業は10年後の2021年度開始からどのくらいの年数を必要とするのだろうか。明確な年数が出せないのはそれだけ困難を伴う、尚且つ未知の世界を抱えた作業だからだろうか。

 《工程表案 廃炉への課題を指摘》NHK NEWS WEB/2011年7月9日 23時50分)が廃炉に向けた様々な課題を伝えている。

 この記事でも最初の記事のように、〈東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向け、国の原子力委員会や東京電力などが検討している中長期的な工程表の案をNHKが入手しました。〉と書いている。

 課題――

1.核燃料を安全に取り出すには、原子炉建屋の中の放射線量を下げることが欠かせないために遠隔操作で
  除染を行う装置などを開発する必要であること。 

2.格納容器を水で満たしたり格納容器や圧力容器の内部を調査したりする作業についても、専用の装置や
  機器などを新たに開発することが必要。

3.燃料を取り出すための既存の機器が建屋の爆発によって使えなくなっていることから、新たな機器を設
  計し製造することが必要。
4.取り出した燃料の処理や作業に伴って出る放射性廃棄物の処分などについても、長期的な課題。

5.原子炉から取り出した燃料については再処理を検討する一方で埋め立ても含めた処分の方法を幅広い観
  点から検討する必要がある。

 最後に次のように締め括っている。〈今回の事故は、世界でも例を見ない深刻なケースだっただけに、工程表の案からは廃炉に向けて検討すべき課題が数多くあることが分かります。このため事故の収束に向けては、「電力会社だけでなく国内・国外の英知を集めた対応が必須」だとしています。〉――

 原子力委員会と東京電力が公表しないうちに、その前に菅仮免が民主党全国幹事長・選挙責任者会議の挨拶の中で半端な内容で触れた。これはどういうことなのだろうか。

 そのなぜかを解くとしたら、菅仮免が自身の情報として発信するために原子力委員会と東京電力の公表を差し控えさせ、その情報を温存させたのではないかという疑いである。

 浜岡原発停止要請は当初海江田経産相が記者会見を開いて公表する予定が、菅仮免が人気取りのために自身で記者会見を開いて公表した前科がある。

 だが、温存させたものの、7月9日午後1時開催の民主党全国幹事長・選挙責任者会議で挨拶に立つ前にNHKが情報発信してしまった。多分、昼12時からのニュースで流したのかもしれない。

 本人が気づかなかったとしても、周辺の誰かが注進に及んだために知ることになったということもある。NHKが前以て情報発信してしまったために、自分から発信することの価値を失うことになり、同じ内容とするわけにはいかなくなって、その発信が中途半端な内容となったといたったところではないだろうか。
 
 本来なら細野原発事故担当相等、政府側の誰かが立ち会って原子力委員会と東京電力が正式の記者会見を開いて公表すべき廃炉工程表案でなければならないはずだ。

 勿論、放射能避難者の避難生活がどのような影響を受けるのか、そのことをも含めた詳しい内容の記者会見でなければならない。正式の記者会見であるなら、記者との間の質疑応答によって、避難生活者のみならず国民が知りたい情報がより明らかにされてもいくはずである。

 だが、そういう形式を取らなかった。放射能避難者の避難生活がどういう影響を受けるのか、10年、20年と亘って生活の原状回復ができるのかできないのかといったとことには何ら触れない、放射能避難者が最も知りたい肝心なことが抜けた、菅仮免の情報発信となっていた。

 もし自分が最初に情報発信するために原子力委員会と東京電力に対して公表を差し控えさせ、その情報を温存させていたとしたら、情報の私物化に当るだけではなく、国民に対する説明責任を蔑(ないがし)ろにしたことになる。 


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