菅仮免は相変わらず地震発生時の自衛隊・消防等の派遣を成功体験とし、それを以て結果責任と認識している

2011-07-08 09:28:21 | Weblog


 
 最も始末の悪いこと、最悪なことは成功体験とする事柄ではないことを成功体験としている思い違いの認識能力、自身が結果責任意識をゼロに近いほど欠いていることから、見せ掛けの成功体験を以ってして結果責任とする二重となる思い違いの認識能力の持主であるということであろう。

 7月6日の衆院予算委。石原伸晃自民党議員が菅内閣はやるべきことをやっていないと批判。

 菅仮免「3月11日の発災以来、行政府として先ずやったことは言うまでもありません。救命ということで、自衛隊、警察、あるいは消防、あるいは海上保安庁、含めて全力を上げて取り組みを始めた。

 数多くのみなさんを、そういう現場のみなさんの活躍で助かったことも事実であります。何もやっていないというのはちょっと言い過ぎではないでしょうか。行政はそういうことで救命に全力を上げて取り組み、その後復旧に向かって全力を上げて進めております。

 自治体の状況が阪神淡路のときと違って、本当に大きなダメージを受けておりますので、全国からの自治体からの応援もいただいておりますし、国の、霞ヶ関からも相当多くの人に現場に入って貰って、県や自治体の機能の強化ためにやっていること、これはまさに行政としてやっていることであります。

 勿論国会でもいろいろなご指摘があることは分かっておりますけども、行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっていると、このことは申し上げておきたいと思います」

 民主党席から拍手が起こる。

 石原伸晃議員「総理ね、自衛隊、警察、消防、自治体の人たち、一生懸命やっているっていうのは当たり前のことなんです。結果を聞いているんですよ。

 総理は5月中に仮設住宅に3万人入れるようにすると言って、できなかった。瓦礫の処理は3割しかできていない。放射性の廃棄物はそのまま。これが結果なんですよ」――

 菅仮免は自衛隊、警察、消防を被災地に派遣して救命に当たり、多くの命を救ったことを自らの成果・成功体験としている。被災で各自治体の機能が大分ダメージを受けたから、各自治体や霞ヶ関からの職員の応援で機能強化に動いたことを自らの成果とし、成功体験としている。そしてこれらのことを以ってして、「行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっている」と行政としての責任を十分に果たしているとしている。

 対して石原議員は仮設住宅の入居、廃棄物の処理等々の各復旧・復興に関わる実体的な成果・結果を求めた。

 初期の救命に関して菅仮免が行ったことは自衛隊や消防、警察等の派遣までで、それ以降に各組織が機動的に機能し、救命に力を発揮し得たかどうかはそれぞれの組織の創造的な臨機応変能力にかかってくる。派遣した頭数だけ救命に役立ったとするのは単細胞な判断に過ぎない。

 救い得た命を死なせた可能性は決して否定できないはずだ。多くの被災者が建物の室内や屋上に取り残され、その殆んどを救命しただろうが、室内で死を迎えた被災者も少なからず存在したはずだからだ。

 また、救命は単なる物理的な救助だけで終わるわけではなく、それ以降の人間的な生活空間の提供まで含まれるはずだが、避難所ではその特殊な環境に応じた可能な限り最大限のそういった生活空間の提供は遅れたし、より人間的な生活空間を保証する仮設住宅の建設も入居も石原議員が指摘していたように遅れたのだから、決して「行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっている」とは言えない。

 自衛隊等の派遣、職員の派遣等を以って結果責任としているのだから、如何に結果責任をハキ違えているか証明してあまりあるが、つまるところ無能ゆえに見るべき結果を出せないことからの、その反映としてある結果責任意識のハキ違えであり、このことに関係した真正な結果責任意識の欠如ということであろう。

 今日8日、政府は地元自治体から要請があれば、国が自治体に代わって瓦礫処理を行うことができるとした法案を閣議決定し、国会に提出することにしていると今朝のNHKニュースが伝えていた。

 早速NHKのWEB記事を採録してみた。《がれき処理 国代行法案提出へ》NHK NEWS WEB/2011年7月8日 5時29分)
 
 岩手、宮城、福島の3県の沿岸市町村では瓦礫全体の70%近くが未処理。

 この遅れにあまりにも取っ掛かりが遅すぎるが、遅蒔きながら対応しようということなのだろう、地元自治体から要請があった場合は国が自治体に代わって瓦礫処理を行う、処理経費は後刻地方交付税で補填、結果的に国が全額負担の法案だという。

 瓦礫処理に関しては野党4党が議員立法で同趣旨の法案を既に国会に提出しているというから、この政府の法案は言ってみれば野党案に対する対案であって、この点でも遅すぎる対応、行政府の果たすべき仕事としては遅すぎる結果責任となっている。

 もう一つ瓦礫処理に関してより詳しく伝えている記事。《がれき撤去やっと35% 被災3県、焼却施設も未整備》asahi.com/2011年7月8日3時10分)

 岩手、宮城、福島の3県から出た2183万トン(推計)のうち、仮置き場に移されたのは35%の763万トンのみ。

 焼却施設の整備も進まず、3年以内を目標に掲げる最終処分の見通しも立っていないとのこと。

 朝日新聞が7日までに行った3県の沿岸37市町村にへの聞き取り調査。

 瓦礫を仮置き場に移す作業の進捗状況の集計。

 岩手県――撤去率51.4%(446万トンのうち)
 宮城県――撤去率31.3%(1509万トンのうち)
 福島県――撤去率26.8%(228万トンのうち)

 37市町村のうち、最も瓦礫が多かったのは宮城県石巻市の616万トン。同市の年間ごみ処理量の106年分に相当。岩手県全体の瓦礫量を上回る。

 このうち被災市町村では最多の89万トンを瓦礫置き場に運び込んだが、全体の14%に過ぎない。
 
 平地が少ない石巻市では、瓦礫の仮置き場不足が深刻。職員がインターネットのサイト「グーグル」の地図で探している。

 〈家屋の解体も遅れている。環境省は3月、損壊が大きい家屋の撤去に所有者の承諾は不要との方針を示したが、市は住民とのトラブルを避けるため、同意を得ながら進めている。

 仮置き場に集められたがれきは、リサイクルできるものをより分け、木くずなどは焼却場で処理され、不燃物は埋め立てられる。

 岩手県はがれきの半分以上の焼却を太平洋セメントなど民間企業に委託する方針だが、残りを処理する焼却場の設置場所や設置数は決まっていない。宮城県は6月中に設置場所を確定する予定だったが、気仙沼市では地権者との調整がつかず、先送りされた。 〉

 菅仮免が言っている、「全国からの自治体からの応援もいただいておりますし、国の、霞ヶ関からも相当多くの人に現場に入って貰って、県や自治体の機能の強化ためにやっていること、これはまさに行政としてやっていることであります」、あるいは「行政府は行政府としてやらなければならないことは全力でやっている」と言っていることの結果がこれである。菅仮免が果たした途中経過としてはあまりにも遅すぎる結果責任である。

 かくまでも結果を見い出していないにも関わらず、あるいはかくまでも責任を果たしていないにも関わらず、菅仮免は昨日の参院予算委員会で続投に意欲を見せた。

 菅仮免「復旧・復興と原発事故の収束に向けて、憲法上与えられた権限の中で全力を挙げて仕事をしている」(NHK NEWS WEB

 結果を出しているはずだと言っている。責任を果たしているはずだと言っている。

 指導力もない、統治能力もない、政治的創造性もないにも関わらず、かくまでも自身の能力に信頼と自信を置いている。

 そしてこの自己に対する信頼と自信は地震発生直後の自衛隊や消防等の派遣の実際には成功と言えない成功体験に基づいている。

 続投する資格もないのに続投意欲だけは強烈なのも成功体験が支えている意志の表出に違いない。

 過信能力だけは誰よりも優れている。過信能力だけで持っていると言っても過言ではあるまい。過信能力がいくら優れていても、過信能力では被災地の実態を見ることはできない。


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