小沢一郎「起訴相当」の検察審査会議決を受けた検察特捜部の再捜査が本人の説明より確かな説明を果たす

2010-04-29 03:23:25 | Weblog

 参考までに――
 

【検察審査会】「Wikipedia」

検察官が独占する起訴の権限(公訴権)の行使に民意を反映させ、また不当な不起訴処分を抑制するために、地方裁判所またはその支部の所在地に設置される、無作為に選出された国民(公職選挙法上における有権者)11人によって構成される機関。

 制度の目的

検察審査会は、全国の149か所に、165の検察審査会があり、地方裁判所と地方裁判所支部がある場所に設置されている(検察審査会法1項)。「検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項」や「検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項」を扱う機関である(同法2条1項)。検察審査会法(昭和23年7月12日法律第147号)に基づき設置されている。

日本においては、事件について裁判所へ公訴を提起(起訴)する権限は、原則として検察官が独占している(起訴独占主義)。したがって、犯罪被害者等が特定の事件について、告訴を行うなど裁判がなされることを希望しても、検察官の判断により、不起訴・起訴猶予処分等になり公訴が提起されないことがある。

このような場合に、検察官の不起訴判断を不服とする者の求めに応じ、判断の妥当性を審査するのが、検察審査会の役割である。これは、アメリカの大陪審制度を参考にしたものである。

検察審査会の議決は、検察官の恣意的な判断によって、被疑者が免罪され、犯罪被害者が泣き寝入りする事態を防ぐという役割を有する。

 《小沢一郎氏「起訴相当」と議決 陸山会事件で検察審査会》asahi.com/2010年4月27日15時37分)

 〈小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第五検察審査会は27日、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で告発された小沢氏を東京地検特捜部が不起訴(嫌疑不十分)とした処分について、「起訴相当」とする議決をし、公表した。〉――

 東京地検特捜部は検察審査会の議決を受けて再捜査して、起訴か不起訴かの処分を決定する。起訴の場合は勿論裁判が行われるが、再度不起訴処分の場合は検察審査会がその処分に対する議決を再度行うことができ、「起訴すべき」と議決した場合、裁判所が指定した弁護士によって強制的に起訴することになるという。

 2004年に小沢氏からの借入金4億円で東京都世田谷区の宅地を約3億5千万円で買い、07年に小沢氏に4億円を返済するなどした収支を小沢氏の元秘書衆院議員・石川知裕被告(36)が政治資金収支報告書に記載しなかったとして政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で起訴されたが、小沢氏については「虚偽記載を具体的に指示、了承するなどした証拠が不十分で、共謀は認定できない」として不起訴処分で決着。

 これに対して東京都内の市民団体が「証拠の評価が国民目線とずれている」として「起訴相当」の議決を求めて審査会に審査を申し立て、今回の“起訴相当”の議決がなされたと解説している。

 記事は最後に、〈特捜部は4億円にはゼネコン側からの裏金が含まれるとみているが、小沢氏側は「個人資産」と否定している。 〉と書いている。

 検察審査会の「起訴相当」の議決を受けて小沢幹事長が記者会見している。(全文参考引用)

 《「何もやましいことない」 小沢幹事長会見要旨》asahi.com/2010年4月27日23時25分)

 民主党の小沢一郎幹事長が27日、検察審査会の議決について、党本部で記者団に語った主な内容は次の通り。

 意外な結果で驚いておるところだ。昨年の3月から1年にわたって検察当局の捜査の対象になり、その結果、不正な献金はなかった、脱税とか実質的な犯罪もなかったということが証明され、不起訴と結論づけられた。最終的には検察当局の適正な判断がなされることを信じている。

 ――検察審査会は「(元秘書が)真実ありのまま記載していると信じていた」という小沢氏の供述を不合理で不自然だとしている。

 政治家と秘書はお互い信頼関係で成り立っている。私の事務所だけじゃなく、すべての政治家の事務所においても信頼関係で仕事を分担しているのは自然のことだ。

 ――党内から幹事長の進退を問う声が出ている。

 私自身、何もやましいこともないので、与えられた職務を淡々と全力でこなしていくということにつきる。

 ――参院選に影響があるのではないか。

 最終的に検察当局が適正な判断を下して頂ければ、国民の皆さんも納得してくれる。

 ――政治不信が強まるのでは。

 今日の結果でということは、私はないと思う。私の政治団体だけだが、すべて(領収書を含めた収支報告書を)公開している。国民の皆さんが理解して頂ければ、きちんと支援してもらえると思っている。

 「何もやましいこともない」は事実かもしれない。だが、例えやましくても、やましくないと言うに違いない。当然の態度というべきだろう。

 幹事長は辞任しない。「与えられた職務を淡々と全力でこなしていく」

 小沢幹事長の「何もやましいこともない」記者会見の翌日、鳩山首相が「このまま頑張っていただきたい」と続投を支持。(《首相「このまま頑張って」 小沢幹事長続投を支持》asahi.com2010年4月28日10時46分)

 鳩山首相「政府の立場でものを申し上げるのは検察の判断に予断を与えることになるから、何も申し上げるべきではない」――

 口にチャック、触らぬ神に祟りなし。

 民主党輿石東参院議員会長「参院選勝利に向かって、どんなことがあろうとも一致団結する」――

 小沢幹事長本人が「何もやましいこともない」と言っているのだから、首相にしても、「これ以上支持率が下がらないように幹事長を辞任してくれないか」とは言えない。

 小沢幹事長が何もやましいこともない」を事実としていることに対して野党は逆の立場、事実としていないを取る。「何もやましいこともない」ことはないの態度である。 

 《谷垣氏「首相の認識甘い」 小沢氏続投支持を批判》asahi.com2010年4月28日12時42分)

 自民党谷垣総裁(28日)「首相の認識は非常に甘い。国会で集中審議を求め、徹底して戦う」――

 《【小沢氏「起訴相当」】国会での説明責任を強く要求 自民は審議拒否も》msn産経/2010.4.27 20:55)

 自民党谷垣総裁(27日午後)「議決の意味は重く、小沢氏を『絶対権力者』とも呼んでいる。東京地検は真実解明を目指す姿をみせなければならない。『市民目線からも許し難い』という指摘もあり、小沢氏は国会と国民に対して説明責任を果たすべきだ」――

 「小沢氏を『絶対権力者』とも呼んでいる」は秘書に対して「絶対権力者」の地位にあったということで、日本の大物政治家ともなると、大方が秘書に対して「絶対権力者」として君臨している。また大物政治家の秘書の中には大物政治家の虎の威を借りて、大物政治家をバックに自身も権力者を演じるケースが往々にして存在する。

 また、「東京地検は真実解明を目指す姿をみせなければならない」と言っているが、東京地検の小沢幹事長に対する前の不起訴処分は「真実解明を目指」さなかった「姿」だったことになる。
 
 〈自民、公明両党の国対委員長は民主党の山岡賢次国対委員長と個別に会談し、5月の大型連休明けに衆院予算委員会で「政治とカネ」などに関する集中審議を要求。〉

 〈大島理森幹事長は27日午後、川崎二郎国対委員長に審議拒否も検討するよう指示した。5月10日の民主、自民、公明3党による国対委員長会談で、民主党側が参考人招致などに応じない場合、自民党は翌日から国会で審議拒否に入ることも辞さない構えだ。〉――

 山口公明党代表「説明責任を果たす努力が期待される。政治倫理審査会も一つの場だ」

 市田共産党書記局長「直ちに厳正な捜査を再開すべきだ」

 渡辺みんなの党代表「検察の捜査とは別に、国会できちんと説明をするよう、証人喚問に応じるべきだ」

 舛添新党改革代表の場合は発言自体を伝えるのではなく、〈小沢氏招致に向け、自民党などとの連携を模索する考えを示した。〉となっている。

 「どっこいしょ たちあがれ日本」の平沼代表の反応は泡沫政党と見られたなの、記事からは抜け落ちている。

 衆議院の政治倫理審査会は25人、衆議院の勢力を反映しているのだろう、衆議院HPによると、2010年1月13日現在、民主党委員は会長以下17人。自民党7人、公明党1人。委員の過半数が賛成するか、または、不当な疑惑を受けたとする議員が申し出た場合に審査が行われるということだから、自民党+公明党が賛成しても過半数には届かない。

 参考人招致にしても、出頭は本人の意思であり、拒否もできるし、党の意思が反映され、党自体が拒否すれば、その拒否に本人が従う形を取ることになる。

 本人が応じたとしても、地検の2度の事情聴取の再現を含めて、「昨年の3月から1年にわたって検察当局の捜査の対象になり、その結果、不正な献金はなかった、脱税とか実質的な犯罪もなかったということが証明され、不起訴と結論づけられた」、「何もやましいこともない」一点張りの儀式で凌ぐことができる。

 儀式からは疚しいか・疚しくないかの事実は出てこない。

 事実は検察審査会の「起訴相当」の議決を受けた東京地検特捜部の再捜査が本人の説明よりも雄弁な説明となる。

 東京地検特捜部の再捜査による保証つきの説明が検察審査会には再度雄弁な説明とはなっていないと言うなら、「起訴相当」を再議決して、強制的に裁判に付し、裁判自体に本人の説明よりも雄弁な説明を求めるしかない。

 小沢幹事長側からすると、「最終的には検察当局の適正な判断がなされることを信じている」としたように、私の説明よりも地検の捜査を通した説明の方がみなさんは確かとしてくれるでしょうとして、政治倫理審査会も参考人招致も避けることができる。

 このことが政治的駆引きであったとしても、本人が「何もやましいこともない」としている以上、「何もやましいこともない」に添った説明しか期待できないのだから、東京地検特捜部の再捜査か強制裁判に雄弁な説明を求めるしかない。

 検察審査会の議決は決して事実の説明ではない。疑惑の判断に過ぎない。 


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