自民党長期政権の思い上がり・何様化の絶対値を小泉進次郎立候補の神奈川11区横須賀に見る

2009-07-29 08:52:13 | Weblog

〈衆院選に神奈川11区から出馬する議員秘書、小泉進次郎氏(28)が対立候補の握手を無視した動画が「YouTube(ユーチューブ)」へ投稿され批判のコメントが殺到していることについて、進次郎氏が初めて取材に応じ〉たと7月26日の「msn産経」記事――《小泉進次郎氏、YouTube「握手無視」動画で
初めて釈明 「有権者とふれ合いたかった」》
が伝えている。どのような釈明かというと――

 「(対立候補とよりも)有権者とふれ合いたかった。ひんしゅくを買ったとしたら大変残念」――――

 対立候補と励まし合いの握手をするシーンも絵になる。通行人から次々と握手を求められるシーンも絵になる。だが、知名度もジバンもカンバンも優位に立っていて余裕ある態度を見せることができる立場にありながら、小泉進次郎は前者を無視し、後者の絵をより大切にしたというわけである。

 YouTubeの動画を見てみた。記事に書いてあるとおりにネクタイにスーツ、上に法被を着た若武者小泉進次郎が商店街の左右に暖簾を風になびかせた祭りの縁台が並ぶ通りで同じ法被を着た、麻生好みの普段は働いていて納税している高齢者で街の有力者なのか(麻生の人間価値観からしたら、高額納税者程立派な人間と言うことになるのだろう。)、と出会って物怖じしない態度で握手、高齢者は空いている方の手で進次郎の右肩を軽く激励する仕草で叩き、手を握ったまま並んで歩き出す。高齢者が何か話しかけている。そして左手で進次郎の右首を握り、誰に紹介したのか、高々と持ち上げてみせる。ボクシングのレフリーが勝者の片手を持ち上げて観衆に向かって勝利を知らせるように。にっこりと笑う進次郎。山車が練り歩いていて、笛や太鼓の音が賑やかに聞こえる。

 その後すぐに進次郎は高齢者と離れて一人歩き出す。その背後から「いざ・・・」何とかと身体の前と後ろに大書した幅広のたすきをかけた(多分「いざ政権交代」と書いてあったのか)民主党立候補者横粂勝仁(27)が背後から近づくと、明るいねずみ色のスーツ姿の40代前後の男が二人の間に入り込んできて、三人で縦列状態で歩く形になる。

 (後で横粂勝仁氏のブログを調べてアクセスしたら、ブログ題名が『いざ開国!』となっていた。)

 最初単なる通行人かと思ったが、進次郎が通行人と握手するために立ち止まると、その男も立ち止まり、歩き出すと男も歩き出す。時折左右に目を配る。目を配りつつ、明らかに進次郎の背後に立つと同時に横粂氏の前に立ちはだかる姿勢を取っている。横粂勝仁が男の脇をよけて近づこうとしても、さりげなく身体を移動させて、横粂氏の前に立ち、それ以上近づけないようにした。横粂氏から進次郎をガードする役目を果たしているのは明らかであった。

 進次郎の方も自分をガードする男を間に置きながら横粂勝仁を常に背中に位置させるように意識的に前を向く姿勢でいた。要するに横粂勝仁に目を向けないで済むような身体の向きを取っていた。

 進次郎が支持者と握手している間、横粂氏は両手を前で握って終わるのをおとなしく待っている。脇にドラッグストアの薬剤師が着るような裾長の白衣を着た男が民主党と書いた幟を持って立っている。
 
 進次郎をガードしている男が携帯をポケットから取り出して時間を調べたのか、眺めている間に横粂氏が再度近づこうとすると、その方向に身体を動かして、軽く手を広げて遮る姿勢を取るが、男が動いたのとは逆の方向から進次郎に握手を求める手を差し出すと、男が身体の動きを元に戻してなお遮ろうとする。横粂勝仁はボクサーが左フックを出すと見せかけて素早く右ストレートを放つように男の動きの逆を突いてその脇からにっこりと笑って手を差し出したが、進次郎は無視してそのまま歩く。男は何事も起こらなかったように静かに進次郎の後についていく。

 その後、進次郎が若い女性と握手したり、笑顔で話したりしている間も男は進次郎のすぐ後ろに立っている。・・・・・・・

 動画は明らかに進次郎の「(対立候補とよりも)有権者とふれ合いたかった。ひんしゅくを買ったとしたら大変残念」とする釈明が真っ赤なウソであることを教えている。横粂勝仁と握手するほんの僅かな時間を取るのが不可能であったわけではない。ガードする男を後ろに連れて誰とも握手も会話もせずに歩いているだけの時間もあった。不可能どころか、男にガードさせて横粂勝仁を近づけさせまいとしていたのである。しようと思えば、自分の方から近づいていって、対立候補に健闘を讃え合う握手を求めることもできたはずである。

 にも関わらず、「(対立候補とよりも)有権者とふれ合いたかった。ひんしゅくを買ったとしたら大変残念」と釈明する。

 この時点で小泉進次郎は既に麻生太郎クラスの政治家に成長を見せていたと言える。“釈明”とは体のいい話で、麻生が得意としてよく使うゴマカシを働かせた狡猾な言い逃れに過ぎないからだ。小泉純一郎と麻生太郎とは政策的に相反していながら、小泉純一郎の血を引く小泉進次郎が麻生太郎と同じ穴のムジナを早くも演じていた。

 この倒錯も見事だが、その成長が間違いなく麻生太郎の上に麻生太郎を築く成長となるのだろうことも、日本の政治にとっては素晴らしいプラスとなる倒錯と言える。

 言い逃れは責任を取らない姿勢を背中合わせとする。まだ政治家になっていないのに、小泉純一郎というサラブレッドの血を引いているからなのか、血を引いている上に金持の生活が育むこととなったのか、既に心身共に大物の政治家の風貌を見せている小泉進次郎である。物怖じ一つ見せず、ガードする男を従えて街頭活動をする。既に何様といった大物振りを見せていた。

 政治家に必須のハッタリ・言い逃れといった資質の点で、小泉進次郎から較べたら、横粂勝仁などひよこ同然でしかない。

 昨28日夕方の民放テレビが神奈川11区の様子を取り上げていて、偶然に目にしたが、いつの日の撮影か分からなかったが、夏祭りの街頭に支持者集めに出かけていた小泉進次郎と横粂勝仁を別々に撮影していた。

 横粂氏が法被を着た祭り参加者に近づくと、

 「何で民主党が来るんだよ。ここは自民党なんだよ」

 邪険に言う声が聞こえた。

 そうここは小泉王国。出入りを許されるのは自民党支持者のみ、民主党は出入り禁止。そういった意識を持った人間が多数を占めている。

 それが小泉家が世襲で長年に亘って議席を独占してきた結果芽生えさせることとなった縄張り意識だとは気づかない。小泉絶対意識、あるいは自民党絶対意識だとは気づかない。小泉や自民党を絶対と位置づける権威主義に知らず知らずうちに侵され、そのように位置づける自分たちをも絶対だと見る自己絶対化に同時に侵されているから、「何で民主党が来るんだよ。ここは自民党なんだよ」という自己絶対化の反作用としての他者排除意識に自ずと衝き動かされることになる。自己の何様化であると同時に他者に対する卑小化である。

 小泉王国を築くことによって生じせしめたこの思い上がった何様化は日本の中の神奈川11区という土地に限られた自尊現象ではなく、自民党が戦後から現在に至るまで政権をほぼ独占して長期政権を築くことによって培うこととなった全国レベルの現象としてある思い上がり・何様化であろう。

 長期政権そのものがではなく、長期政権が培養することとなった思い上がりや何様化が権力の腐敗を呼び寄せる。

 小泉進次郎は政治風土と化している小泉王国の悪弊、小泉絶対化・自民党絶対化の空気、自己何様化の空気をその空気の源流たる当事者の近親者として吸って育たなかったということはあるまい。支持者たちの「何で民主党が来るんだよ。ここは自民党なんだよ」という他者排除の意識を肌に触れずに日々を過ごしてこなかったわけはない。

 自身もそのような空気や意識に感化されていたからこそできた対立候補者の握手の求めに対する見て見ぬ振りの拒絶であり、ガードをする者を使ってまでしてできた遮りであろう。

 小泉進次郎と比較したなら、知名度もカバンもジバンも遥かに劣る横粂勝仁が小泉進次郎に戦い勝って当選したなら、世襲や長期政権で築いてきた自民党の思い上がり・何様化を打ち破って無化する決定的に象徴的な出来事となるが、民主党が衆議院選に勝利したとしても、神奈川11区に関しては大いに期待はするが、実現しない出来事かもしれない。それ程にも横須賀という街中を覆っている小泉絶対化・自民党絶対化の思い上がり・何様化と見るからだ。

コメント (1)
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