午前中は親の用事をして、午後出かけたついでに少し足を伸ばした。
隣市にある古刹。尾張徳川家の菩提寺だ。
椿の花に飾られたこの階段の上にある。
小学生の頃は、地下鉄と国鉄を乗り継いで何度か遠足に来た。
野鳥の会会員の父について、探鳥会にもよく来ていた。
しかしその時は、池のある公園で遊んだり、双眼鏡を覗きながら林道を歩いた記憶くらいしかなく、お寺にお参りしたのは多分初めてではないかと思う。
山門をくぐると、流石に立派なお寺があった。
可愛らしいピンクの枝垂れ桜が、もう咲いていた。
お参りした後、見学料を払って奥の廟の方まで入る。
人は全然いなくて、しんとしている。
墓所は一番奥にあった。
その胴でできた門扉には、ちゃんと三ツ葉葵の紋章がさり気なく飾られていた。
名古屋城からこの定光寺まで、尾張の殿様がお参りに来る時に通った道が我が家のすぐ側にある。
「殿様街道」という愛称がついて、地元に住む人に親しまれている。
ここがその終点だったと実感する。
お殿様は籠や馬で行かれただろうが、歩いてついて行く従者は大変だったことだろう。
それとも、殿様のお付きで城外に行ける、たまの出張という感じで、楽しみもあったのだろうか。
遠い昔に想いを馳せるのも、楽しい。