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モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

ハンガリーと漬け丼と餃子で出社ギリギリXserve

2005-05-09 | ぷらぷらアーカイブ
「ヅケドンクイテェ」

――ハンガリーとスロヴァキアとの国境にある、巨大な大聖堂がそびえる街・エステルゴムから首都ブダペストへ行く乗りあいバスのなかで、ペンキ工らしいオヤジは確かにそう言った。しかも、明らかに酒くさい。

「Whaaaaaaaaaaaat???」

ぶっつけ本番のOTT(On the Travel Training)で鍛えぬかれた片言英語を駆使して、俺は彼にそう疑問符を投げかけた。

「ヅケドンハマチカンパチクレヨゥ?」
「……。Oh, I see!!!」

というやり取りがあとに続いた。ぜんぜん意味が分からないけど、とりあえず「I see」しといた。どうやら、このオヤジがさっきから一生懸命宣(のたま)っているのは、「ドイツ語」で構成されたセンテンスらしい。とはいえ、ドイツ語だと分かったところで俺は一切対処のしようがないので、「What?」と「I see」のみを駆使していると……バスのなかで、俺の周囲2、3席に、それはそれは寒々しい空気が充満してきた。オヤジは俺との会話をあきらめたのか、何事もなかったかのように外の景色へと視線を移した。

ハンガリーには、6泊8日で行った。ウィーン経由の飛行機で14時間の空の旅を終えると、そこは日本より7時間前の世界。なので、日本時間の朝に飛び立ったのに、その日の夕方に着く。

この地での俺のテーマは……

■日本では得られない何かをインプットする(文化とか経験とか)
■男を磨く(とにかく甲斐性をつける)

という2つの大項目を、「本気」と書いて「マジ」で大々的に掲げていた。心の中で。そして、なぜハンガリーなのかというと、友だちのハンガリーマニアが現地で長期滞在していて、いろいろロハで案内してもらえるから――という、とても横着な理由からだった。そう、ここで早くも根本的なひとつの問題が浮き彫りになる。

「そんなことで男を磨けるのかよ?(甲斐性つくのかよ?)」

……でもさ、「千里の道も一歩から」とか、「ゲームは1日1時間」とかっていうように、何事も、無理はいけねぇ。ましてや、俺にとっては初の能動的な海外旅行であるので、あまり無理をすると……命がヤバイ。インプットも甲斐性も、命あってのモノダネだぜ?――と、自らを言い聞かせ、俺はかの地へと旅立ったんだ。

ハンガリーでは、かなりいろいろなことをした。

■名所旧跡に行きまくる
■“世界一美しい”マクドナルドで昼マックをする
■世界遺産にも登録されたブダペストの夜景をこの目に焼き付ける
■西洋のお宝をこの目に焼き付けつつ「いい仕事ですね~」と宣(のたま)う
■(ちょっとセクハラな事情により)現地の人が怖がって寄りつかない本場の「トルコ風呂」に行く
■“ハンガリー人は日本人とルーツが同じ”ということを利用し、市場で値切る
■いかに反感を買おうとOTT(On the Travel Training)の片言英語ですべてを乗り切る
■ハンガリー料理を食いまくる
■キャフェに行きまくって西洋の本場感にひたりまくる
■ルイ14世が「ワインの王、王のワイン」と言った世界三大貴腐ワイン「トカイ・アスー」を飲みまくる
■フォーシーズンズで豪華ランチ(←ディナーではないのがミソ)をいただく
■本場の「教会コンサート」を満喫する
■「警察祭り」に飛び入り参加する
■ユダヤ資本のものすごく気合の入った戦争博物館に行く
■ハンガリー人のマブダチを作る
■スロヴァキアとの国境にあるキャフェで行き交う人々を眺めまくる
■CD屋に行って視聴しまくって「通!」といわれそうなCDを買いまくる
■本屋に行って立ち読みしまくって「通!」といわれそうな本を買いまくる
■カジノデビューを果たす

などなど、箇条書きでも書ききれないほどだ。そして、これらの詳細についてもすごく書きたいんだけど、かなりのボリュームになるため、追って書き遺して行きたいと思う。ほんと、冒頭のヅケドンオヤジのエピソードなんか、実は心底どうでもいい。

しかし……この旅で、俺は、先の2大テーマを完遂せしめることができたのだろうか……? そう、はなはだ疑問である。「Whaaaaaaaaaaaat???」と、自分に問いたい。もちろん、ヅケドンオヤジに、ではなく(←しつこい)。

たとえば、連休最終日かつ社会人になってからはじめて経験する1か月超のバカンスの最終日でもある昨日。我が新居であり目下ルームセパレート中の「高円寺サブカルトリニティー邸」では、某イケメン主催の餃子パーティーが開催された。そこで……今回はホスト側の一員であるにもかかわらず、完全にゲスト側に回ってしまっている……俺がいた。嗚呼、げに遠きかな甲斐性への道! そして、今日俺は新しい会社で新しい第一歩を踏み出す! あと30分後には家を出ないと!

っていうか、永らく続いた休みボケで朝起きる自信が全くなく、結局徹夜して出社ギリギリまでこんなブログ書いてるのって……どうよ?

大阪城と一体化してブルブル震えて眉毛ピクピクXserve

2004-10-25 | ぷらぷらアーカイブ
ビコーン!

その刹那――まるで「ウルトラクイズ」のボタンぶったたき音のごとく――軽快な電子音を奏でつつ、俺の“焼肉アンテナ”がかなぐり立つ。旨い旨いと泣き叫ぶ。そう、焼く時間はたった3秒でいい。トラベリング以下でいい。いや、もはや生だっていい。それくらい、新鮮でかつ、仕込みがちゃんとしている。旨い。旨すぎる……!

――その瞬間、俺の周りに大阪城が築城され、と同時に、俺の目、鼻、口から、まばゆいばかりに青白いレーザー光線が全方位に向けて照射される。大阪城は木端微塵となり、しかしかろうじて原型を留めたようだ……そして、気づくと俺は大阪城と一体化していた……。


うーまーいーぞぉぉおおおーーッ!

……それくらい、旨い焼肉を喰った。もちろん、大阪城ではなく……水道橋の京城という店で。ほんと~に旨かった。ただ、それだけ。

その後、以前イタい目に遭った代官山のイベントへ。あのとき誓った人生の到達点ともいうべき目標である「イタリアオヤジ」にはまだまだほど遠い今の俺に、よりにもよってこの空間でのリベンジはデンジャラスすぎる。実際、やたら元気で「マルコメ坊や」と「ジャイアン」を異種配合して巨大化させたような人までいたりして、とっても怖い。隅の方にある説教部屋みたいなところで、シーハービールを飲みながら、ひたすらブルブル震えていた。ほんと~に怖かった。ただ、それだけ。

さらにその後、渋谷の隠れバー「TANTRA」へ。何気ないオフィスビルを地下に潜ると、暗く……そして、妖艶に広がる、インドの性典「カーマスートラ」を具現化させたような、ぁゃιぃ空間。しかし、繰り広げられるトークは概してぁゃιさを帯びず、至ってまっとうなものであった。事実、俺が出口の無い小噺を披露していると、

「ええと、そのトークの行き着くとこって、結局どこッスか?」

と、眉毛をピクピクさせられながら言われてしまうこと三度(みたび)。嗚呼、ここで俺は、曹操がかの「赤壁の戦い」で詠んだ句を、ひとり思い出すのであった……。

酒に対し当に唄う人生 そもいくばくぞ
たとえば朝露のごとく去りにし日 甚だ多し
月明らかに星稀にして 鵜雀南に飛ぶ
樹を廻ること三度 枝のよるべきなし

ほら、この句にも三度(みたび)って出てくるでしょ? こんな調子ぶっこいた句を詠んだあと、奇跡ともいうべき東南の風は吹き、曹操軍百万は数万の呉軍に敗れ、ここに諸葛亮の「天下三分の計」への道程が築かれたのであります。

あ、やば……また、眉毛ピクピクさせちゃってるかも……。

「台風23号」でもうモーレツなXserve

2004-10-21 | ぷらぷらアーカイブ
まったく……どいつもこいつも、台風23号なんぞにビビッてンじゃねええええええよ!

え、俺様? もち、新宿のゴールデン街に行ってきた。台風=ゴールデン街。これ、基本。つーか、もう、注文しまくりだから。聞いたことも飲んだこともない、くそマイナーなクァクテェルどもを。これ、基本。つーか、これが言わば俺の「キーオブライフ」。もっと言うと、「オレだけのWell歌夢」。更に言うと、「すこし大人になる台風」……おっとっと、ちぃとばかしおイタがすぎちまったようだぜ……?

ところで、「ちぃ」と言えば「若槻千夏」ちゃんだ。これ、基本。つーか、もはやタイフーン。巻かれて飛ばされて呑まれたい……言わば、モーレツ☆タイフーン……?

「モーレツ」と言えば、昨日CXの深夜番組「NONFIX」で、「迷宮ゴールデン街 ~新人ディレクター漂流記~」ってのをやっていて、「唯尼庵」のキヨコさんが密着取材されてンの! そーだ、彼女はゴールデン街イチのモーレツキャラだ!……と思ったワケ。これ、基本。

つーか、平日の夜11時台の新宿発の小田急線が、いまだかつてこんなに空いていたことが……あったっけ……?


癒されまくってXserve

2004-10-14 | ぷらぷらアーカイブ
週末3連休、癒されまくった。なかなか得がたい素敵なサムシングだったので、ここに一部始終を記したい。

■癒され其ノ一:「世界一のプラネタリウム」

お台場にある、500万にもおよぶ星々を描きわける超ド級プラネタリウム「メガスター」。

・行きたい日の午前中に
・本人が並ばないと
・チケットがとれない
・しかも、チャンスは1日1回

という、だだだっ大人気かつ、ふふふっ冬場の朝勃ちのような、刹那いベストプレイスだ。
癒しのサウンド、癒しのナレーション、そして……降り注ぐ満天の星々……さらには天の川が……神々が神話を紡いだ天界と見紛うばかりに燦然と光り輝き、織姫と彦星は結ばれ、俺はむせび泣きながら「ツィンクルチョコレート」をかっ喰らいたくなるのであります。ちなみに、一緒に行った同僚の山○は、自慢のおちょぼ口をこれでもかっ、というくらい尖らせっぱなしだった……。

あ~、癒されたぁ~。

■癒され其ノ二:「秋の園遊会」

帰り路。山○が行きたい行きたいとうるさいので、新宿三丁目の「藤田バー」へ。しかし、あいにく店は開いてない。それでも山○がだだをこねるので仕方なく電話してみると、休日はお休みとのこと。「あ、そうなんすか、残念」と言うか言い終わらないかのうちに、「いま家で“秋の園遊会”やってるんだけど来ない?」と誘われる。園遊会なのに家たぁどういう了見だ? といぶかしみながらもマスターの家にお邪魔すると、そこはまさに“秋の園遊会”という源氏名にふさわしい、酒池肉林のレオマワールドだった……。

喰らえ! 夜な夜なサラリーマンたちが集う街に灯をともしてきた、伝説のうなぎちらしを……!
聴けよ! 元全日本モトクロスチャンピオンと、浅草の消防士が語る、高橋名人の印象を……!

041010_2121~01b.jpg

見よ! マスターのこの満ち足りた表情を……!

あ~、癒されたぁ~。

■癒され其ノ三:「ウイイレ大会」

園遊会を抜け出し、目黒へ移動。腹はすでにいっぱいだったが、かの地でさらに焼肉をかっ喰らう。そして、焼肉のあとは、「ウイニングイレブン大会」に決まってる。決まってるんだけど、何を隠そう俺はウイイレ初☆体験だ。初体験なので、勝てない。エディットされまくりの有り得ない五角形グラフのイレブンを率いても、ブータンとかに勝てない。結果、5人中最下位……。陽は高く昇った。幌をはずしたJEEPを走らせた。

あ~、癒され……ねええええええええええええよ、コンチクショウ!

ヽ( ;~;)丿うわ~ン。

「山○会」改め「お楽しみ会」でXserve

2004-10-03 | ぷらぷらアーカイブ
第1回、そして第2回と、ゆっくりかつ着実にその歴史を紡いできた、「山○会」。第3回にあたる今回は、外苑前に居を構えるコジャレBLOG界の貴公子――七不思議さん邸で、粛々と執り行われた。

外苑前という場所柄さながらに――「BRUTAS」もしくは昔CXで放送していた秋元康プロデュースの番組「ROOMS」にでも出てきそうなほど――コジャレまくった部屋だ(家主はそれほどコジャレてないのに……)。

本来は事務所物件であるその広いスペースには、古今東西のロボット――「ロビー・ザ・ロボット」から「ファミコン・ロボット」まで――がいたるところにディスプレーされているのをはじめ、外国製洗濯機のドラムを改造した箪笥、大小さまざまの天然水晶球、ソフトクリーム型の巨大ライト、そして――なぜか公開前の映画が鑑賞でききる――50インチのプラズマTVまでが揃っている。くぅ……住みてぇ。住みてぇよ、ここに。これで家賃13万(水道代込み)って、どんなコストパフォーマンスだよ。でも、俺が一人暮らししたとしても、そんなに払えねぇよ。ただ、ホームシアターは俺の勝ちだな……。

そんなことを思いながら、俺は持参してきたARIAの虎目エレアコギターをかき鳴らす……が……長渕剛の「巡恋歌」を、リクエストに応じて歌ったまではよかった。しかし、満を持して披露したビーチ・ボーイズの「Don't Worry Baby」は、誰も曲を知らなかったため期待していたコーラスは一切なく……俺の数あるオリジナルのなかでも一番の名(迷?)曲「ギャンブル・ラブ」は、もはや誰も聴いちゃいなく……しまいには、ミスターXに「黙れ」と言われてしまう始末……。そう、どうせアタイは……“歌を忘れたカナリヤ”……じゃなかった、“芸が行き詰まってとりあえず曲を出してみたお笑い芸人”……もとい、“ゴモラとレッドキングに喰われるウルトラマン”みたいな存在でさぁ(どうでさぁ?)。

今回は会場が広いということもあり、総参加者は10人を数えた。規模的に、「山○会」という言葉が持つ(いろいろな意味で)繊細なニュアンスは、すでに消え去っていた。これを表す新しいワーディングは、そう――

「お楽しみ会」。

ちなみに、今回の人員構成を大まかに説明すると、男2グループに対し、女1グループという感じだったのだが、この構成だと面白いほどに男同士の2グループ間の交流がまったく発生しない。これは――当たり前といえば当たり前なのかも知れないが――今さらながらにちょっと新鮮だった。

♪男と男の 間には 深くて暗い 川がある

と、俺が「黒の舟唄」をもじって密かに弾き語っていたのには、誰も気づかなかったようだ。

コンピイベントとイタリアオヤジとうどんの旨さでXserve

2004-09-26 | ぷらぷらアーカイブ
某コンピアルバムのイベント@代官山へ。予想してはいたんだけど、先日の「GREE Night 2.0」とは比べモノにならないくらい、ハイカルチャーなイベントであった。

LEON」風に喩えるならば、

・ちょいシックなイタリアオヤジが
・裏銀座の裏VIPたちと
・夜にアヤしく華ひらくちょいモテトークを
・“お金じゃなくてセンス”を武器に展開し
・コムスメに勝つ!

みたいな。

プロトカルチャーがマスカルチャーを侵食するとき――大音響とともに、壮大なカタルシスが訪れ、世界を革命する……!

みたいなことを、ついつい考えてしまう俺は、いわば「イタリアオヤジ」とは真逆の存在。「コムスメに勝つ」どころか、連戦連敗の惨状を喫する。アテンドに徹してくれたHくんOくんの貴重な工数が惜しまれる(時間単価いくらだ……?)。ていうか、そんなことしてくれなくてもいいのに……決めた! 俺は、いまから……今日この日から、「ちょいシックなイタリアオヤジ」に将来なるべく、目指すべく……邁進するゾ! お金はなくていいんだ!(ヤッター) 大事なのは、センス!(ぎゃふん) 最終的には、夜にアヤしく華ひらくちょいモテトークで、コムスメに勝つ!(ぜってー無理)

――イベントで傷つき、疲れ、磨耗し……いまはこんなに淋しくて、涙も涸れ果てて、もう2度と笑顔にはなれそうもなく……家に帰る気力すらなかったので、Hくんの家に転がりこむ。

嗚呼、そこですするうどんの旨さよ。金星と冥王星と月と太陽よ。ああ、君の心に僕は……住んでいますか?――そんな感じで、うどんでできたスキ(うどんスキ)を、あけっぴろげに開陳していると……

「最近、楽しそうだけど、小さくまとまってるっつーか、安くないですか?」
「努力しないなんて、もったいないですよ」

なんてな辛らつなお言葉が――
説教タイム( ゜Д゜)キタ━━━━━━━━━━━━━!!!!

これは、今日を振り返っての話じゃない。ここ最近の“俺評”だ。3つも年下の……いやいや、この際、年齢なんか関係ない。この手のことは昔から言われてきた俺だが、最近はこういうことを言ってくれるヤツはまれだ。乃木希典(のぎまれすけ)くらい、まれだ。変色度MAXのアレキサンドライトくらい、まれだ。まれであるということは、希少性が高いということであり、それが手に届くところにあるということは、とても幸せなことだ。

だが、「幸せ」なんて所詮「安い」ところにあるのでは?……というのも、紛れもなく最近の俺の感触ではあるんだ。
だが、「努力」らしい「努力」を生まれてこのかたまともにしたことがない……というのも、紛れもなく生来の俺の感触ではあるんだ。

来4半期は、がんばろう、と思った。
いろいろな意味で。

サーフィンデビューでXserve

2004-09-21 | ぷらぷらアーカイブ
サーフィン映画「ブルークラッシュ」にアテられてから一週間……ついに、ついに俺は……サーフィンデビュー……しちまったぜ?

これを書いている現在、俺はからだの節々がもういたくてしょうがない。おまけに右手の親指には原因不明の激痛が走っている。右足の親指にいたっては5ミリ四方ほど皮がむけちまっていて、あまつさえ中に砂が入り込んでいて取れやしない。

それでも、ああ、それでも……俺を捕らえて離さない、水面を走るというあの感覚――。エリマキトカゲも、ましてや水蜘蛛を履いた忍者なんかにも負けようはずがない。パドリングからテイクオフへと移行するその瞬間――オンショアに荒ぶる波のフェイスをことごとく制服していく俺は、水神ナーガか……はたまた蛇神清姫か。なーんて、波に乗れたのはせいぜいMAXで5秒くらいなんだけど。

まったくのはじめてなので、とりあえずスクールに入った。1時間ビデオを見させられたあと30分の陸上トレーニング、そのあと海での実践が約1時間半という計3時間コースで、5,150円(税込)ポッキリというのは安い……っ! スノボとかなら、確かこの3倍くらいしない? それに、山の斜面と違って海は平らだし、転んでも水なので痛くないというのはデカイ。パイプラインのビッグウェーブくらいデカイ。ジャンボ鶴田のジャンボラリアットくらいデカイ。下唇の裏にできた口内炎くらいデカイ(!)。

ただ……鵠沼海岸は、本当に汚いと思う。水は腐ったトムヤムクンみたいな色だし、砂浜はゴミだらけだ(足の指をケガしたのはこれのせい)。俺も、きっと地球から見れば汚い腐ったゴミみたいな存在だから、環境保全のためにももう死のうかな……みたいな気持ちにさえなってくる(ウソ)。

だが、駅から海岸へと続く街並みは情緒ゆたかで、

040919_1735~01.jpg「木造モルタル」という言葉がとてもしっくり来る散髪屋や、







040919_1737~01.jpgレトロなBMWの屋根つきスクーターなど、







これらの存在を見つけるにつけ、3連休という感慨を記憶に刻みつけるのだ。さらにいえば、それは「サーフィンデビュー」という一生に一度のキーワードとともに、俺の海馬に刻印されるのだ……BGMは、ビーチボーイズの「サーフィンU.S.A.」に決まってる。つーか、この日はずっと鼻ずさんでいた。たとえ、波に巻かれてすっころび、鼻のなかがいくら海水で「ツーン」としようが、俺のなかで芽生えつつあった“無類のサーフィン好き”としてのプライドが、そうさせたんだ。あらためて言おう。BGMは、ビーチボーイズの「サーフィンU.S.A.」に決まってる……。

040919_1904~01.jpg帰り路。町田で途中下車し、行き着けのタイ料理屋「マイペンライ」へ。







早い旨い安い! 鵠沼カラーのトムヤムクン! そして、

「この食器は銀ですか?」
「いや、アルミです」
「じゃぁこの燭台は銀でしょ」
「いや、すずです」

なんてトッポイ会話を、あえてデジャブさせる。
頭のなかでは、あいかわらず「サーフィンU.S.A.」が流れていた……。

メガスター見そこね原宿でおじや喰らって和スイーツXserve

2004-09-20 | ぷらぷらアーカイブ
ひょんなことから、東大出で恐妻家のおちょぼ口と、お台場にある世界一のプラネタリウム「MEGASTAR-II cosmos(メガスターII コスモス)」を見に行く予定だったが……当然のごとく巷のカポーに大人気とのことで、午前中にチケットが売り切れて……という憂き目に。いやむしろ、男2人でお台場でプラネタリウムを見れていた方が“憂き目”だったのかもしれないが――。

そんなわけで、気をとりなおして特別ゲストに某“古風なビッグネーム大統領”を迎え、なぜか……原宿で遊ぼうということに。

――原宿に到着。

オジヤンカフェ」で揚げパン入りのおじやを喰らって――むかし風邪をひいて学校を休んだときのような――スペシャルな気分を醸成しつつ、「アシストオン」でのちのちの処置に困る不必要な雑貨――ノンバッテリーライト、回すと鳥の声が出る木ネジ、完全二足歩行ロボット、方位磁石キーホルダーなどなど――を買い込む。

晩夏の沙羅双樹が生い茂る「東郷神社」で、正規のセオリーにのっとって手水(ちょうず)を済ませ、神前で2拝2拍手1拝したのちこうべをもたげると――眼前の本殿では、あまりに「和」な結婚式が、今まさにおごそかに……そして、しめやかにとり行われていた。しばし遠い目をしつつ、ながめる。

東郷神社の祭神が何かと気になり立て札をみやると、日露戦争でバルチック艦隊を破ったかの海軍大将「東郷平八郎」が祭神だった。「これは!」と思いおみくじを引いたら、「小吉」だった。ちぇ。だいたいが俺は、おみくじを引くと吉か小吉か凶か大凶あたりしか出ないんだ。一体、“何吉”だと、バルチック艦隊とかって撃破できるのかな、と思った。

さて、「バルチック艦隊」といえば、「和菓子」に決まってる。境内を竹下通り方面へ抜け「菓匠寿々木」へ。ここで、つめたい煎茶とくずもちをいただく。んまい。まんず、んまい――東郷神社で奮った俺のにわか大和魂が、和スイーツの甘さのなかへ溶け込んでゆき、つめたい煎茶が刹那るカタルシスを招致する。休日ボケのガキどもで密集する竹下通りからわずか20mほどなかへ入っただけなのに、たたみ8畳の部屋にいるのは……俺らだけ。

ガキの街で味わう、オトナの味。
オトナの味なのに、とってもスイーツ。

――至高のアンビバレンツの連鎖が続く。原宿という街の素顔をひとつ知った気がする。その奥深さに、「どうりで、筒井康隆なんかがしょっちゅう散歩してたりするわけだ」みたいなことを思う。と同時に、「筒井康隆なんて別にどうでもいいじゃん」みたいなことも思う。

結果的に、行き当たりばったりだったわりには、なかなかかなり充実したホリデーだった。

で……あれ、最初のそもそもの目的(メガスターよりさらに前の)って、なんだっけ……?

う~ん。ま、いっか。

「乃木坂」の由来――旧乃木邸でXserve

2004-09-15 | ぷらぷらアーカイブ
毎朝毎晩、俺は――千代田線の「乃木坂」駅を利用している。なぜって、通勤で。そして、「乃木坂」という地名の由来なんて、考えたこともなかった。なかったんだけど、ひょんなことからその由来を知るに至った。そう、そこにヒラヒラと舞う歴史のベールを1枚めくれば……ひとりの男の名が浮かぶんだ。

乃木希典(のぎまれすけ)――日露戦争を勝利に導いた、陸軍最高の「名将」。
乃木希典(のぎまれすけ)――世俗的欲望を絶ち、自らを徹底的に純化したひとりの「男」。
乃木希典(のぎまれすけ)――軍事的才能に関しては、無能の烙印を押された「演出家」。
乃木希典(のぎまれすけ)――近代随一の国民的英雄であり、「軍神」。

つまりは、明治の世に乃木将軍という軍人さんがいて、生きているときからとても有名だったと。そして、明治天皇が崩御した際に妻と共に後追い自殺して、さらに有名になったと。そしてさらにいつしか――彼の旧邸の周りは、「乃木」が付く地名であふれたいたと……まぁ、そういうわけなんですね。不思議発見!

そして、そんな彼の“清く気高い忠臣の志”が、周りの空間を――まるで原子レベルで励起するかのように――呼応させてか、すぐ近くの六本木トンネルは心霊スポット兼使い勝手のいい撮影ロケーションとして名を馳せ、なかんずく青山霊園では俺はなぜかこの夏の勝負をかけていたってなわけですよ……おっと、話が脱線しちまったぜ。

そして、毎年9月13日は、乃木大将の命日――。
その日は、年に一度2日間だけ、普段入れない旧乃木邸が公開される日。これは、無類の乃木大将好きとしては、行かない手はない。

――驚くほど質素なたたずまいだ。まるで、「おしん」とかが住んでいたような家だ。大きさも、大豪邸というほどではない。現在で例うならば、庶民が「ちょっと背伸びしてがんばっちゃいました」「それでも家を買いました」クラスだ。しかし、おしんの家には「大将が自決したときに着ていた血染めの肌着」なんてあろうはずもなく、その意味においては別宇宙の存在である――と、そう認識を改めざるを得ない。それはきっと……あえて有り体にいうならば、「歴史の重み」ってやつだ。

そうこうするうちに、ところどころに西洋家具で統一されたシーケンスが出てくる。そのなかのひとつが、↑の写真――「洋式トイレ」だったんだ。これを見つけるなり俺は……気に入った。とにかく、気に入った。そのわびさび。微に入り細を穿ちっぷり。洋式といえど、メリケン人のデカ尻の存在を、そのレゾンデートルからして否定するような瀟洒なたたずまい……そのどれをとっても、そう……一流。
嗚呼、一流のトイレで一流の用を足したひ……。

「これは、日本で最初の洋式トイレなんですよ」

誰も聞いちゃいないのに、係りのお兄さんが親切心から教えてくれた。もちろん、もう、俺は大興奮だ。

「マジッすか! マジッすか! すげぇ! すげぇ!」

そしてすかさず、

「便座のフタ、取って開けてみていいすか?」

と聞いた。お兄さんは、本当にいいヒトだった。迷わず、フタを取ろうとしてくれただけで、俺はもう万感が胸に迫った。

「あ。くっついてて、取れないです」

……いいんだよ、取れなくて。それは重要ではない。そもそも人生なんて、取れることと取れないことどっちが多いかっつったら、取れないことの方が多いんだよ。大事なのは、そのときの心意気だ。取れなかったからって、いちいちひがんでいるようじゃぁいけねぇってことよ。え、そう言うあんたはどうなんだって? 俺にそんなこと、本当に聞くのかい? 本当の本当かい? 俺は……そう、パラサイトシングルさ。「14コ年のはなれた弟の成長過程を見守りたいから」ってな言い訳は、お天道さまが許しても、俺の心意気がもうそろそろ許しちゃおかねーぜ? ってなことよ。乃木坂のあたりっていいよね。心霊スポットでもいいから、安い物件ないかなぁ~?

そんなわけで、最後に乃木神社でお参りして、乃木大将の絵本「いのち燃ゆる」を買って、帰りましたとさ。

この夏は忘れない――青山霊園でXserve

2004-08-27 | ぷらぷらアーカイブ
とてもキレイだった――外苑西通りをまたぐ青山陸橋から見える、六本木ヒルズは。あの中に……ミキティやらホリえもんがいるなんて信じがたいほど、それは神々しく……まばゆく輝いていた。

このまま歩いていくと……青山霊園の中心部。……中心部? 中心部か。うう、まじかよ……どうしよう。

そして俺は、頭の中で夢想する……煙草(ショートホープ)にZIPPOでシュバッと火をつけ、深々と吸い込んでから1拍 “間” を置いて吐き出す煙とともに――

「フゥーーーーーーッ」

と宣(のたま)う自分を。

いや、思えば、この夏勝負をかけたのは、俺だけじゃない。TWIGYフィーチャリングbirdとかで、夏をメロウに駆け巡ったアイツ。それか、ボーズとアニで「夏のせい」にしたかったアイツ。俺は、あえてトッド・ラングレンの「I Saw The Light」を高らかに歌い上げたかった……そう、マイクリレーは続くのだ。SHUREのワイヤレスマイクは、俺の右手に。熱いソウルも、俺の奥底に。グッドラックは、機上のアイツから。「目玉焼き焼けちゃいそう」なほど、熱いヤツをキメてやる!

――ある意味、アイツが期待していた奇跡は起こったのかもしれない。押し寄せる奔流は、約束の地へ導くべくモーセが召喚した “神の光” か。はたまた、単に一種の清々しさを内包するのみの “淡い苦味” か。いずれにしろ、ゴールドラッシュは終わったらしい。トッド・ラングレンの「I Saw The Light」は、いつのまにかビーチ・ボーイズの「Don't Worry Baby」に変わっていた――。

ありがとう。ありがとう。ありがとう。

明日からも、よろしくお願いいたします。

この夏、本州で一番キレイな海で、傍若無人Xserve

2004-08-19 | ぷらぷらアーカイブ
千葉南部の知られざる秘境――上総興津。ここになにがあるかというと、守谷海岸という海がある。そこにひっそりとたたずむビーチハウス(=海の家)、それが――

Smilegang

そう、ここがまさか……後世に「南房総の惨劇」として語り伝えられる、悲劇的事件の舞台になるとは……。

俺の会社の同僚に、ヘンなヤツがいる。つま先から頭のてっぺんまで、もうとにかくすべてがおかしく――実は「合コン大魔王」と影で呼ばれていることに傷ついているというナイーブな一面も持ってはいるが――基本的に傲慢にして不遜、勝手に不条理という名の酒を醸成しては、それを他人に塗りたくり、そのプロセスと相手がいやがるさまに歓びを見出だすという……いわば天性の梟雄であり、姦雄というべきその男――K。

そんな男と2人きりでこんなとこに来た俺がバカだった。アタイもうお婿にいけなひ……。

――確かに、海はキレイだった。本州を人と見立てると、ちょうど尾てい骨あたりに当たる守谷海岸には、黒潮がはるか沖から穢れなき海水を運んできてくれるらしい。海水浴にきてる客の数もそこそこで、とても東京から2時間弱でこれる場所とは思えない“タイムパフォーマンス”を発揮していた。

――確かに、守谷洞窟の近くの岩浜はすばらしかった。自然が作り出す波しぶきと、岩と断層のハーモニー(ハーマイオニーじゃないよ)は、ガキのころに行った南紀白浜「千畳敷」以来の感動を俺にもたらした。

でも、嗚呼――この、この俺の心をさいなめる良心の呵責は……何だ? 何なんだ? 何なんだようっっっ。

なんで……なんで、ビーチハウス「Smilegang」の人たちは、ロハでビールや枝豆、冷やし中華やアイスクリームをくれたんだ……。

なんで……なんで、ビーチハウス「Smilegang」の人たちは、全員ガングロチーマー風なのに、カタギの名刺をくれるんだ……。

なんで……なんで、ビーチハウス「Smilegang」の人たちは、帰りに駅まで送ってくれて、しかもお土産のナビまでしてくれるんだ……。

なんで……なんで、ビーチハウス「Smilegang」のジュークボックス「ecast」には、幻のインディーズ宅録バンド「プラモミリオンセラーズ」の曲が入っていたんだ……。

なんで……なんで……あ。これ以上のディテールは、ちょっと危険過ぎて書けないな。命あってのモノダネだぜ?

そうだ……Kよ。
キミは一体……誰? 誰なの?
もしかして……ヤクザの息子?
それとも、どこかの国、もしくは星から来た……在日?
いやいや実は……天皇のご落胤?
な~んてもしかして……あ。これ以上のエグザンポーは、ちょっと危険過ぎて書けないな。命あってのモノダネだぜ?

仕方がないので、私は明日からあなたのことを「ミスターX」(←「プロゴルファー猿」でタチの悪い影のプロゴルファーたちを差し向ける悪の黒幕)と呼びます。

というわけで、また連れてってください。
約束だお☆彡

高円寺のアジアンカフェでバドガール様がXserve

2004-08-10 | ぷらぷらアーカイブ
魅惑の街――高円寺。その魅惑の街に、魅惑のアジアンカフェがあって、海外渡航歴が豊富ないやし系のマスターがいて、なおかつ今月末で閉まってしまうときたら……無類のアジア好きとしては、行かないわけにはいかない。

アジアンミュージックカフェ「asyl(アジール)

そもそも、俺が生まれたのは阿佐ヶ谷であり、言うまでもなく、高円寺とは地理的にも文化的にも地続きだ。体の構成要素の約半分が、“高円寺マター”であると断言してもいい。そして突然――得も言われぬ何かが、俺を襲った。ものごころつくかつかないかのあの頃の刹那い記憶――幼なじみの隣りの豆腐屋の女の子にもらったシロクマのぬいぐるみと、そのシロクマにまつわる家族の愛憎劇――が、俺の脳幹を打ち震わす。愛憎劇の終着駅は、もちろん……そう、いつものバッドエンドだ。

ああ……母さん。なぜ……なぜ、あの日シロクマくんを燃えないゴミの日に出してしまったんだい?……確かに、確かに……彼の後頭部は、俺の不注意で電気ストーブの熱風にさらされ、焦げちぢれていたかもしれない。1日中家のなかを引きずりまわしていたせいで、色んなエキスやら、ダニやらなんかともシンクロ率が異様に高かったかもしれない。でも、でも……!

――俺は、あの日のことを思い出すと、浜口庫之助の「涙くんさよなら」のメロデーを鼻ずさまずにはいられないんだ。

♪シロクマくん さよなら
♪さよなら シロクマくん
♪また 会う日まで (See you again)
                 ↑ココが悲しみのピーク。

そんなことは兎にも角にも、である。

時代は――今――シロクマのぬいぐるみなどではなく――バドガール――様。
そう認識を改めざるを得ない事態に直面した。

店のなかにこれ見よがしにディスプレーされている、バドガール様の衣装。いやし系だとばっかり思っていたマスターは、時間の経過とともに徐々にその本性をあらわにしていく。目を細め、不遜な笑みを右の頬に浮かべつつ「いいねぇ」「いいねぇ」を連呼し始める……そう、マスターは、マスターは……実は……いやし系ではなく……いやらし系だったんだ(ギャフン!)。

一緒に杯を酌み交わしていたはずの婦女子が――キューティーハニーもびっくりの早ワザで――バドガール様になってしまうという、2004年の高円寺の夏。これを、ミラクルと言わずして、何をミラクルと言おう……?(衣桜?)

――俺は、思わず、永井真理子の「ミラクルガール」のメロデーを鼻ずさまずにはいられなかったんだ。

♪ミラクル(バド)ガール 奇跡はいつでも 衣装のサイズ次第
♪ミラクル(バド)ガール オヤジの瞳は いつもギラギラよ
                         ↑ココが実況そのまま。

ありがとう、Asyl。
ありがとう、バドガール様。
ありがとう、高円寺の、街の灯。

・追記
バドガール様が降臨あそばされる前に、高円寺の女もきっと近くにいるだろうから呼んでみたんだけど、彼女はバイト中で電話にでれなくて、本当によかったと思う。よかったのかな?

山○かつてない1万2千円でXserve

2004-07-25 | ぷらぷらアーカイブ
約1か月ぶりに――ある一部でいろいろな意味で伝説として語り継がれている飲み会――「山○会」の第2回。今回は、ゴールデン街ではなく、そこから四谷方面に少し歩いたこのへんにある、「ドンキホーテ」こと藤田Barに白羽の矢が立ったんだ。

それはそれは恐ろしいくらいに、ネタが満載だった前回とはうってかわって、今回は静かに流れる時間のなかで、触れ合うグラスの音色もまた加速度的に忘却の暗がりのなかへ消えゆく。泣く子も怒りだす変人マスター=藤田さんのマシンガントークも、カウンターから離れたテーブル席だったことと、めずらしく――これは本当に相当めずらしい――ほかの客で大入りだったことが幸いし、聞くチャンスがほとんどない。唯一、彼がしその葉の残っている皿を見つめて「味覚障害?」と宣(のたま)い、一瞬その場がのっぴきならない雰囲気に襲われたことくらいだ。

これは……例えるならそう――アダルトリッチ。アダルトという言葉をひとたびこのBLOGで記そうものなら、たちどころにいかがわしい響きを帯びるから不思議だ。

不思議といえば、前回バックレた方の山○がやたらと大人しかった。いろいろ思うところがあったようだ。そりゃ、こないだバックレた先が実は自宅ではなく、ゴールデン街のど真ん中にある駐車場で、明け方酔っ払いに蹴っ飛ばされ、朦朧としつつもやっとのことで帰宅したら奥さんに「駐車場で寝るような人と結婚した覚えはない」と激怒され、翌日埋め合わせでディズニーランドに連れてった――なんていう得がたい経験をすれば、人間すべからく思うところのひとつやふたつ、いやがおうにもできてしかるべきなんだろう……と思って、切なくなった。また、某氏の暗躍も微妙に影響していたようで、ある意味申し訳なくもあった。

申し訳なくもあったんだけど、あろうことかヤツは……帰りたがった。やたら、帰りたがった。俺の心積もりに少なからずあった、“2次会はゴールデン街でしっぽり”という野望が、もろくも崩れ去った。

かくして俺は、ふたたび夜の新宿にひとり取り残された。このさみしさときたら……!

始発まではまだたっぷりと2時間はありやがる――ゴールデン街でひとり飲み直す気になんてとてもなれなかったブロークンハートな俺は、タクシーで小田急線をひたすら――ただ、ひたすら下ったんだ。

……1万2千円でした。

川崎経由のスカイダイビングで流血Xserve

2004-07-20 | ぷらぷらアーカイブ
ギニャー! も、もう……はははは、8時……? ……だよ全員集合? ……済み?
朝起きたら、すでに午前8時を回っていた。俺は、あせった。かな~り、あせった。なぜなら、その日は朝の7時30分に某所で待ち合わせる段取りだったからだ。

やべー……また、やっちまった……速攻で身支度を整え、埼玉は桶川に――みんなはクルマでだけど――俺はひとり電車で赴くこととなった。

スカイダイビング。
そんなもの、生まれてこのかた、金輪際俺の人生のエンサイクロペディアには、あらわれ出でようもないと思っていた。それを、「東京スカイダイビングクラブ」なんて――バブル期に粗製されたような――ひねりの無いネーミングを冠した場所で、小金を払えば体験できる……だって? ケッ。その手にはのらねえぜ、旦那。あっしの夢を知ってるかい? まぁまぁ、そう肩肘張らずに聞いてやっておくんなせぇよ。あっしの夢はねぇ……

「宇宙(そら)を翔ぶ」
「宇宙(そら)を駆ける」
「宇宙(そら)を創る」

……ですぜ? たった、数十秒だか数分ぽっち宙に浮いてるだけなんて余興なんざ、あっしにとっちゃぁひゃくとり虫なみにスケールが小さいってなもんでさぁ(どうでさぁ?)。な~んつって。本当は――超期待っすよ! マジ期待っすよ! 4,000メートル上空なんて、じぇ~んじぇんコワく9th(ナインス)。今この瞬間の俺ときたら、牧瀬理穂嬢ばりに、「東京上空いらっしゃいませ」ってなもんだぜ?

バイザウェイ。
湘南新宿ライン」という路線がある。これが、非常にややこしい。なぜ、埼玉に行くのに、湘南で新宿なんだよ――そんなことを思っていたら、埼玉に向かっていたはずが……いつのまにか川崎に着いていた。

……ふざけんじゃねぇ。ふざけんじゃねぇYo! 俺は、埼玉に行きたいんだ。断じて、川崎じゃない。最近デジカメが海没したり、原チャをパクられたりと不運続きなので、川崎大師で厄除けしたいなぁ……とは正直ちょっとぱかし思っていたけど、それは断じて今日ではない。今日ではないんだ……けど、もしかしてこれは……神様。厄除けしないでスカイダイブすると……ヤバイってことですカ?

その後も何度か電車を乗り間違えたり、乗り換えを間違えそうになったりしたので、駅員さんに最短ルートを確認。なんとか大宮までたどり着いたころには、すでに正午に近かった。そのあと、自分としてはベストチョイス! ……と思っていたはずの大宮からのタクシー乗車が結果的に大失敗! ……てなこともありつつも、なんとか13時ころ現地到着。家を出てからすでに4時間半(本来かかる時間の倍くらい?)が経過していた。

さぁ、翔ぶぞ! 宇宙(そら)ではないけど! 埼玉の荒川の河川敷の上空だけど! この時期の温暖湿潤気候帯特有のランバダのようなウェットさを帯びた、不快指数300%を超えるダイオキシンと光化学スモッグがうすら漂う魅惑の曇り空だけど!

ゴーーーーーーーーーーッ…… ッズバシャァアアアア ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

――擬音で例えるなら、こんな感じだ。
4,000メートルの上空から飛行機から飛び降りるので、助走期間など一切なく――いきなりフォルテッシシモだ!――風を切る音が世界を包む。急激な気圧の変化が俺の鼻腔を刺激し、地上のあらゆるオブジェクトが「スーパーファミコン」の回転・拡大・縮小機能のデモみたく俺の視覚を刺激する――時間の感覚が飛んだ。ピサの斜塔からガリレオが落っことしたリンゴを思い出した。これは……そう……紛れもない――自由落下だ。

パラシュートがけたたましく開くと突然――静寂が訪れた。1,000フィートを切ると、上空の肌寒さがまるで白昼夢だったかのようなリアルな暖気に襲われるらしい。それを感じる余裕が――いきなり休符記号だ!――できた。あまりに静かだったので、「ジョジョの奇妙な冒険」でおなじみの地響きが、頭のなかでついさっきまでの“別世界”の余韻のように鳴っていた。

江口洋介とブラザーKONを足して2で割ったようなインストラクターが、心配気にこちらを見つめている――なんだ、俺の涙目を見て笑いものにしようっていうのか? ざけんじゃねーぜ? 俺は……やってやるぜ? ――その予想はまたたくまに外れた。鼻血だ。顔面一面、鼻血で覆われていたんだ。

そう、流血だよ。埼玉くんだりまで来て。しかも、なぜか川崎経由で。ヘンなオッサンを背中にしょって命まで預けて。残ったのは……鼻血。しかも、なぜか黄色い。すごく、黄色い……なんで。なんで、黄色いんだよ。ふざけんじゃねーよ。

先生、あのね。
本当、楽しかったんです。
正直な話、また行きたいです。
実は、ビデオを撮ってもらいました。
みんな、見ると笑います。
お日様も、笑っています。
鼻血の黄色さまでは、伝えきれていない内容なのが、とても残念なんです。

絶海の孤島「日間賀島」でデジカメ海没Xserve

2004-07-14 | ぷらぷらアーカイブ
先週の金曜日の深夜……いや、正確には土曜日の未明――。俺は、フェリー乗り場のバス停の長いすで、野宿を決め込んでいた。「ゥヴーン……ゥヴーン」と、蚊が耳元にまとわりつくのを必死に振り払いながら、“蚊は二酸化炭素に反応して寄ってくる”というセオリーを思い出した。鼻と口――つまりは顔全体――をハンケチで覆い隠すと、蚊の羽音は聞こえなくなった。朝になって、フェリー乗り場特有のかしましい“季節の豆知識”が放送されるころには、全身という全身が蚊に刺されていた――。

日間賀(ひまか)島」。
こんな思いまでして、俺が行かなければならなかった、愛知は知多半島の先にある、絶海の孤島。

そもそもなぜ野宿するハメになったかといえば、そこまで乗ってきたクルマが「プジョー206CC」だったために、とても大人4人が寝に入ることができなかったからなのだが……眠い目をこすりつつ現地にたどり着いた我々を待っていたのは、文字通り信じられない光景の連続だった。

・島に着くなり無垢な旅行者を痛烈に歓迎する巨大なタコのオブジェ
 →「のび太の海底鬼岩城」に出てきた大ダコもびっくり。
・これでもかというくらいにはためく「鳥羽一郎」の文字刺繍入り大漁旗
 →「のび太の海底鬼岩城」に出てきたポセイドンもびっくり。
・ノーヘルかつ二人乗りでさっそうと走り去るネイティブ島民のバイク
 →「のび太の海底鬼岩城」に出てきたバギーちゃんもびっくり。

心に一抹の不安がよぎる――ここは、ホントに日本国内なのだろうか……? 聞けば、この島は国定公園であるらしい……これって、もしかして、治外法権?
たまった恥垢を思わず指にとってしまったときのような、やるせなさと、わくわく感がいやがおうにも脳天を襲いやがるぜ。

そして、襲われたのは、俺の脳天だけではなかったんだ。
……。はっきしいって、調子こいてました……。

ああ、ドンキホーテで――3千円ポッキリの割には2メートルもあって生地も丈夫でオールまで付いている――ビニールボートを買って、その日砂浜で40分かけてふくらまし、得意満面で海原へ進水したまではいい。そして、たまにはわざと転覆してみせたり、湘南なんかよりは100倍キレイな水中にさんざめく小魚たちと、水中チェイスHQを繰り広げたのもまたよしとしよう。

しかし、あのときの……そう、あのときのあの感覚は生涯忘れることができないだろう。それは、今もズシリと心の臓に響いてキやがるンだ。

水から上がった俺の水着のポッケは……ちょっと……いや、今思うとかなり……必要以上に重かった。まさか、それはないでしょ! と思いながら、ムリヤリ――大人としての人生の余裕を演出しようと――唱歌「ふしぎなポケット」を鼻ずさむ。そして、歌詞に忠実にポケットを叩いてみる。すると、ポケットに入っていたのは増えたビスケットではなく――

デジカメだった。

もちろん、電源は入るはずもなく、バッテリーの接触部ははまっ茶色に変色している。いやな沈黙が、俺のコスモ(小宇宙)を包み込む。本気で、「ラストハルマゲドン」をちゃんとやっておくべきだった……そして、「3丁目のタマ」をもっとを愛してやるべきだった……と、支離滅裂な思考がここぞとばかりに無双乱舞する。

かくして、私が愛用するデジカメ「DiMAGE X」は、その天寿を全うしたのでありました。ついこのあいだ、PC接続用のUSBケーブルを買い足したばっかりっだったのに。どっかのババァが脳内「三途の川」で悲痛にさけぶ。「オマエノチカラハソンナモノカ!」――と。

夜。島はちょうど祭りのスケジュールだった。屋台、ほうろく流し、花火大会。特に花火大会の最後の方で打ち上げられた、いきなり「ひゅ~ぅぅぅ~っ」という助走タイムが一切無い肝をつんざく甲高い音とともに、天空をジグザグに駆け上る無数の花火がすごかった。それは、あの例のやんちゃなおたまじゃくしとそっくりだったので、生命の力強さを印象づけられたのと同時に、「ファイナルファンタジーX」の幻想的なモチーフ、「異界送り」を思い出させた。

花火が終わる直前になって、ドリフのたらいをひっくり返したような豪雨に見舞われた。愛知で観測史上最高記録の降水量だったらしい。島の消防団のガレージに雨宿りさせてもらった。迎えに来てくれた民宿のおやじが、「すごいネェ。こんなことははじめてだぁネェ」と言っていた。合言葉は、「記録よりも記憶に残る旅」。

雨が、すべてを洗い流してくれた。