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モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

転職2週目Xserve

2005-05-23 | ヌルヌルアーカイブ
あー、やばい。やばいヤバイやばい。なんなんだ、この期待度の高さは。買いかぶりすぎだっての。思えば、こんなことは中坊のころにもあった――

「となりのクラスの1部(←長野では「組」をこう言う)に、すげー背のデカいヤツが入ったらしいぜ!」

親の転勤で、香川県高松市から長野県諏訪市へと引っ越した当時、俺の身長は170cmを超えており、中学生の割にはかなり背がデカかった。比較的都会だった高松と違い、“ド”のつく田舎である諏訪では転校生はかな~りめずらしく、まるで「はりきりダレルと麗しの転校生」に出てくる“転校生”なみの扱いを受ける。ましてや、無駄に背がデカいヤツが入ったのだ。実は前の中学校で、ブチ切れ気味のクラスメートに「運動神経マイナス100!」とか、「ウド!」とか「じじい!」などの暴言を吐かれまくれ、なんかの球技の球を思いっきりぶつけられたりしていたぶられまくるほど、俺が運動オンチだってことは誰も知らない。図らずも、クラスの話題はもっぱら俺でもちきりとなる。

「彼は、バスケ部に入るらしいよ」
「いいや、バレー部だって聞いたよ」

あー、やばい。やばいヤバイやばい。なんなんだ、この期待度の高さは。買いかぶりすぎだっての。しかも、同じクラスのバスケ部員とバレー部員が同時に勧誘にきて……ああ、しまいにゃケンカしてるよ。やばいヤバイやばい。

――っていう感じに似てるわけですよ。今の俺の状況が。関連会社の内々定を辞退したこととかさ、なんでみんな知ってんの? なんかエライ人まで「ウチを選んでくれてありがとう!」ってわざわざ言いに来てくれるし。それとこれ(俺の仕事の実力)は、一見関係あるようで、実は全然関係なくない?(なくなくない?) だいたい面接なんて、さすがに20数社も連続で受ければ、赤面症の俺ですら百戦錬磨になれる、単なるプチテクニカルな小ワザアワーだぜ? やばいヤバイやばい。周りはみんなすごい若い。すごく仕事できる。だけど俺はこの世界はほとんど未経験。しまいには、同期の20歳くらいの子の方が、俺よりぜんぜんイケてる研修課題を出してくる始末……やばい。

で、中坊のときは結局どうなったのかというと、体育の時間にすべての事実が白日の下に晒され……クラスのバスケ部員とバレー部員も、ものすごくナチュラルに仲直りしたのでした。

めでたしめでたし。

めでたくねーっ。

転職1週目Xserve

2005-05-16 | ヌルヌルアーカイブ
初日から、波乱含みだった。徹夜明けだった朝、眠い目をこすりながら――♪いまは・もう・うごかない――勝どき橋のたもとで研修を終え、いざ職場たる銀座の某ビルへ意気揚揚と出陣! しかし、出陣したはいいが俺の配属部署がみつからない。受付のお姉さんが首をかしげながら案内してくれたフロアを小一時間うろつくが、一向に見つからない。俺は赤面症である。小一時間うろついている三十路手前のとっつぁん坊やは、明らかにぁゃι ぃ。明からにぁゃι ぃ行動とっている自分は、とっても恥ずかしい。なので、顔が赤くなる。そして、顔が赤くなっていることを自ら察知し、ますます赤くなる……。

「何かご用ですか?」

とある優しいお姉さんが、話しかけてくれた。そのときの俺にとって、このお姉さんはまるで……そう、さしずめ大天使ガブリエル。とはいえ、「コンスタンティン」とかいうキアヌ・リーブス主演の意味不明映画に出てくる、マヌケな大天使もどきとは明らかに一線を画する。まず第一に、スマイルが違う。それはさておき、そのお姉さんのご好意に甘えて調べてもらったところ、

「その部署は霞ヶ関にありますよ」

はぁ? である。入社時のあらゆる資料は――まるで「ラピュタ」の飛行石のように――何の迷いもなく、ただまっすぐと銀座を指していた。定期代も、もちろん銀座で申請していた。また、場所によって仕事内容も変わってくる。それが、実は霞ヶ関でした、とはどういう了見だ?

いぶかしみながらも、さっそく霞ヶ関に移動する。電車代がもったいないので、歩いて移動する(約15分)。移動しながら、人事にクレームの電話を入れる。どうやら手違いがあったらしい。俺は若干の憤りを覚えながらも、実は喜んでいた。ああ、よかった。手違いで。“なんかの試練”とか、“入社時に誰もが問答無用で経験させられる儀式”とかじゃなくて、本当によかった……。

席に着いてふと見上げると、「歓迎 笠井 剛 さん」という垂れ幕があってびっくりした。なんだか、こういうのって社風を表しているよなぁ。前の会社じゃ絶対にありえないそのオブジェクトを見て、TV局の社内で吊るされてる「カノッサの屈辱 関東視聴率7%突破」みたいな垂れ幕を思い出した。そういえば、こんなものまで作ってもらって歓迎されるのって、人生初の経験かも……。

おどろいたことはほかにもある。まず、アシスタントがいる。となりの席に座っていて、わからないことは何でも教えてくれる。必要な文房具まで持ってきてくれる。これにはおどろいた。なんだか、保育園で保育されているみたいな気分になってくる。いままで新人といえば、ミソクソにこき使われた経験しかなかったのに……これは、裏を返せば、もし使えないヤツだと判断されると……ブルルッ!

あと、このブログが見れない。ファイヤーウォールでひっかかってしまい、「業務に関係のない不適切なページです」みたいな画面が出る。これにはおどろいた。いったい、このブログのどこが業務上不適切だっていうんだ?(十分不適切) 合点のいかない俺は、goo BLOG上のほかのブログも見てみる……見られるジャン!(ラムネもあるジャン) ここで、俺の生来の探究心に火がついた。もう、だれも俺をとめられないぜ……? 調べていくと、どうやらページ上に卑猥な言葉があるとNGになるらしいと発覚。そこで、オ○ニーとか卑猥な言葉を削除したり、「エ○エ○アーカイブ」とか伏せ字にしてみたりしたけど、まだ見れない。おかしい。あ、卑猥なコメント発見! こいつのせいだ、とデリート照準を合わすも、せっかく人様が書き込んでくれたコメントをむげに削除はできない。しょうがない。ログが流れるまでガマンするか……。というわけで、今後本ブログは卑猥な言葉のないまっとうなブログに生まれ変われます(おそらく多分きっと)。

ひととおりセッティングが終わったところで、何かが足りないことに気づく。一体なにがたりないんだろう……そうだ、ウーロン茶だ! というわけで、100円パックのウーロン茶を買いに行く。霞ヶ関ビルは某ビルと違って人が少ない。並ばないですぐに買えた。これを机の上にセッティングした。これでやっと俺のワーキングスタイルが整った。その後、MTGでの自己紹介や、初日からさっそくの部長からの個人洗礼などを受け、新しい会社での初日は終わった。
ウーロンがねぇとはじまらねぇYo!

ところで、会社に行くまでの経路がややこしい。最初の駅までめちゃめちゃ歩くか、近場の駅から2回乗り換えるか。乗り換えるにも選択肢が15くらいある。一番ラクなのは、高田馬場→渋谷経由だが、高田馬場→日本橋経由だと3割ほど安い。そして、がんばって新高円寺まで30分歩くと、霞ヶ関まで一本でいける。これだとさらに5割くらい安い。そんなこんなで、経路については依然悩み中。

そして、入社後の俺を待っていたのは、

・オモシロ自己紹介作成!
・キャッチ30本勝負!

などなど、まるで学生時代に戻ったかのように課題が盛りだくさんな、研修研修研修……の毎日だった。あー、楽しい。

ハンガリーと漬け丼と餃子で出社ギリギリXserve

2005-05-09 | ぷらぷらアーカイブ
「ヅケドンクイテェ」

――ハンガリーとスロヴァキアとの国境にある、巨大な大聖堂がそびえる街・エステルゴムから首都ブダペストへ行く乗りあいバスのなかで、ペンキ工らしいオヤジは確かにそう言った。しかも、明らかに酒くさい。

「Whaaaaaaaaaaaat???」

ぶっつけ本番のOTT(On the Travel Training)で鍛えぬかれた片言英語を駆使して、俺は彼にそう疑問符を投げかけた。

「ヅケドンハマチカンパチクレヨゥ?」
「……。Oh, I see!!!」

というやり取りがあとに続いた。ぜんぜん意味が分からないけど、とりあえず「I see」しといた。どうやら、このオヤジがさっきから一生懸命宣(のたま)っているのは、「ドイツ語」で構成されたセンテンスらしい。とはいえ、ドイツ語だと分かったところで俺は一切対処のしようがないので、「What?」と「I see」のみを駆使していると……バスのなかで、俺の周囲2、3席に、それはそれは寒々しい空気が充満してきた。オヤジは俺との会話をあきらめたのか、何事もなかったかのように外の景色へと視線を移した。

ハンガリーには、6泊8日で行った。ウィーン経由の飛行機で14時間の空の旅を終えると、そこは日本より7時間前の世界。なので、日本時間の朝に飛び立ったのに、その日の夕方に着く。

この地での俺のテーマは……

■日本では得られない何かをインプットする(文化とか経験とか)
■男を磨く(とにかく甲斐性をつける)

という2つの大項目を、「本気」と書いて「マジ」で大々的に掲げていた。心の中で。そして、なぜハンガリーなのかというと、友だちのハンガリーマニアが現地で長期滞在していて、いろいろロハで案内してもらえるから――という、とても横着な理由からだった。そう、ここで早くも根本的なひとつの問題が浮き彫りになる。

「そんなことで男を磨けるのかよ?(甲斐性つくのかよ?)」

……でもさ、「千里の道も一歩から」とか、「ゲームは1日1時間」とかっていうように、何事も、無理はいけねぇ。ましてや、俺にとっては初の能動的な海外旅行であるので、あまり無理をすると……命がヤバイ。インプットも甲斐性も、命あってのモノダネだぜ?――と、自らを言い聞かせ、俺はかの地へと旅立ったんだ。

ハンガリーでは、かなりいろいろなことをした。

■名所旧跡に行きまくる
■“世界一美しい”マクドナルドで昼マックをする
■世界遺産にも登録されたブダペストの夜景をこの目に焼き付ける
■西洋のお宝をこの目に焼き付けつつ「いい仕事ですね~」と宣(のたま)う
■(ちょっとセクハラな事情により)現地の人が怖がって寄りつかない本場の「トルコ風呂」に行く
■“ハンガリー人は日本人とルーツが同じ”ということを利用し、市場で値切る
■いかに反感を買おうとOTT(On the Travel Training)の片言英語ですべてを乗り切る
■ハンガリー料理を食いまくる
■キャフェに行きまくって西洋の本場感にひたりまくる
■ルイ14世が「ワインの王、王のワイン」と言った世界三大貴腐ワイン「トカイ・アスー」を飲みまくる
■フォーシーズンズで豪華ランチ(←ディナーではないのがミソ)をいただく
■本場の「教会コンサート」を満喫する
■「警察祭り」に飛び入り参加する
■ユダヤ資本のものすごく気合の入った戦争博物館に行く
■ハンガリー人のマブダチを作る
■スロヴァキアとの国境にあるキャフェで行き交う人々を眺めまくる
■CD屋に行って視聴しまくって「通!」といわれそうなCDを買いまくる
■本屋に行って立ち読みしまくって「通!」といわれそうな本を買いまくる
■カジノデビューを果たす

などなど、箇条書きでも書ききれないほどだ。そして、これらの詳細についてもすごく書きたいんだけど、かなりのボリュームになるため、追って書き遺して行きたいと思う。ほんと、冒頭のヅケドンオヤジのエピソードなんか、実は心底どうでもいい。

しかし……この旅で、俺は、先の2大テーマを完遂せしめることができたのだろうか……? そう、はなはだ疑問である。「Whaaaaaaaaaaaat???」と、自分に問いたい。もちろん、ヅケドンオヤジに、ではなく(←しつこい)。

たとえば、連休最終日かつ社会人になってからはじめて経験する1か月超のバカンスの最終日でもある昨日。我が新居であり目下ルームセパレート中の「高円寺サブカルトリニティー邸」では、某イケメン主催の餃子パーティーが開催された。そこで……今回はホスト側の一員であるにもかかわらず、完全にゲスト側に回ってしまっている……俺がいた。嗚呼、げに遠きかな甲斐性への道! そして、今日俺は新しい会社で新しい第一歩を踏み出す! あと30分後には家を出ないと!

っていうか、永らく続いた休みボケで朝起きる自信が全くなく、結局徹夜して出社ギリギリまでこんなブログ書いてるのって……どうよ?

大事なところが流血Xserve

2005-05-06 | ヌルヌルアーカイブ
犬に咬まれた。左手の人差し指という、日常生活を営むうえで非常にユースフルな部位を。

……いてぇ。ジンジンいてぇ。いつもなら心地よく感じられる、この胸の奥で刻まれる確かな鼓動が、今日という日に限っては、まるで悪夢のドラムンベースだ。それは、普段気にすることのない生と死のボーダーラインをはっきりと浮き立たせ、俺というちっぽけな存在を、何かしらの際へと追いやる。

洗面所で傷口の汚れと血を洗い流し、「マキロン」で消毒する……が、血が一向に止まらない。傷が思いのほか深いようだ。右手の親指と人差し指で、無傷の先端(指先)を触ってみる――(チクチクっと鈍い感触)――ほっ。どうやら、神経は大丈夫らしい。化膿止め軟膏「メモ」を、まるで歯磨き粉のCMみたく大量に塗りたくった包帯を作り、そいつを患部にぐるぐる巻きにしたところで、やっと血が止まってきた。

流血&気分が落ち着いてきたところで、今般の衝撃的流血障害の事件現場である庭の様子を見てみると……主犯格たる犬は悪びれた様子もなく、犬小屋のなかで鎮座ましまし、あまつさえ――まるで目の前の愚かな地球人類をあざけ笑うかのように――片目だけで、こちらの様子を伺っていたんだ。

俺は、自分のなかにふつふつと沸き上がってきたある種の煮えたぎるような感情を、おさえきれなくなった。気づくと、手には竹刀が握られていた。

「このうらみ、はらさでおくべきか」

そう口走ったかどうかは定かではない。しかし、とにかくそのときの俺の気持ちは、そんなような感じだったと思う。

ブンッ――と、竹刀が中空を切る音が聴こえた。次の瞬間……

バシィイッ――と、竹刀が何かを捉えた手応えを得る。しかし……きょとんとしている、主犯格。

そう、例え主犯といえど、例え犬畜生といえど、竹刀でブッ叩くことなどできない、ピースフルな俺がいた……聞けば、先日オヤジが同じくコヤツに咬まれたとき、オヤジは血まみれの手で近くに置いてあった体育館シューズを拾い、心ゆくまで犬めをセッカンしたらしい。

「血まみれ体育館シューズ」と、「土ボコリを巻き上げるだけの竹刀」。

ゴールデンウィークも終盤に差し掛かった気だるい午後、俺の思考はジャックされる。どこまでもシュールで、どこまでもやるせない、この犬と血をめぐる父子の対比に……。

「俺がいったい何をした? お前の首すじを……撫でてやっただけだろう?」
「お前あのとき、気持ち良さそうな顔してたじゃないか……?」
「だいたいお前……俺とお前とは、もう3年来の付き合いじゃなかったの?」
「あの頃の優しいお前はどこに行っちまったんだ? ……ワン太夫(←犬の名前)よ」


自分のセリフがだんだんと昼ドラチックになってきたことに気づいたとき、右手に握りしめた竹刀は“ツンツクツン”していた。

まるで、アラレちゃんがウンチを見つけたときのように。犬めを。